雰囲気の良いバーでお酒を嗜むだけでは飽き足らず、同時に自宅やギフト用途でのお酒をセレクトしたいと言う想いを抱くことはありませんか? 国内屈指のお洒落タウンとして知られる中目黒に2021年オープンした「&SPIRITS(アンドスピリッツ)」は、バーを併設した “飲める” 蒸留酒セレクトショップです。
400種類以上もの豊富なラインナップを誇る都内最大級の蒸留酒専門店で、自分好みのスピリッツを選べるひと時は至福のエンターテイメント。休日に目黒川沿いを散歩しつつ、隠れ家的なバーでグラスを傾け、気に入った蒸留酒を持ち帰る。そんな一挙三得の贅沢な愉しみがここにはあります。
目次
&SPIRITS(アンドスピリッツ)のコンセプト
蒸留酒専門店「&SPIRITS(アンドスピリッツ)」のコンセプトは、”飲める” 蒸留酒セレクトショップ。世界各国のジン・ラム・テキーラ・ウィスキー・ウォッカ・アブサン・アクアビット・カシャッサ・フルーツブランデーなど、多種多彩な蒸留酒を販売する一方で、併設されたバーカウンターにて気になる銘柄を好きな飲み方で愉しめる、蒸留酒特化型のショップ&バーです。
アンドスピリッツでは、蒸留酒を購入するだけでなく、様々な「体験」ができる酒屋だということが注目すべきポイント。ビールやワインなど一般的に浸透した醸造酒に対して、蒸留酒は注目されながらも比較的珍しいお酒です。味や香りが分からないまま、容量の大きいボトルを買うことには抵抗感があるでしょう。
そういった敷居を下げるべく、その場で蒸留酒の味わいを体験してからショッピングが出来る店づくりは、消費者目線でも画期的なシステムだと感じます。「体験」とは、それぞれのボトルの味を知ることだけにとどまりません。メーカーや専門家との&SPIRITSコラボレーションを通じて、美味しい飲み方やアイデアを発見するような、蒸留酒の潜在能力に触れる機会が創出されます。
ブランド名に込められた想い
蒸留酒の代表格でもあるジンの市場規模は、2018年に本場スコットランドのウイスキー市場を金額ベースで抜いたと言われるほどで、近年日本でも一大センセーションを巻き起こしています。しかし、自分の身近な人を思い浮かべてみると、ビール・日本酒・ワインと比べて、ジンやラムをストックしていることは少ないと感じるでしょう。
イノベーションを起こし続け、世界中で評価の高まる「蒸留酒(スピリッツ)」の裾野を広げ、醸造酒と同じように身近なものとしていきたい。そんな想いから、店名を「アンドスピリッツ」と名付けたと店長の黒田氏は話します。”spirits” には、蒸留酒の他に「魂」や「精神」という意味があり、お客様にサーブする一滴一杯に傾ける深い情熱を感じることができます。
店名の由来は「&」に込められたコラボレーションへの想いも含まれていると言います。オープン当初よりタッグを組む「Bar BenFiddich(バー ベンフィディック)」や様々な人・メーカーとの「〇〇&スピリッツ」といったタイアップを通して、蒸留酒の魅力を広めていく活動を根底の思想としています。取材時も「スパイス&スピリッツ」と銘打たれたコラボメニューに興味を惹かれました。
アンドスピリッツでは、店頭に飾られた象徴的なブランドロゴにも注目してみましょう。ロゴの色味は、蒸留酒自体であったりコラボレーション相手こそが「主役」という想いから、黒子のごとく下支え的役割を果たせるようモノトーンで統一。ロゴのデザインに刮目すると、グラスの文字に雫をつけて蒸留酒らしさを演出するとともに、タイアップでもバランスが取りやすい配慮がされています。
ショップ&バーが誕生した経緯
アンドスピリッツは、蒸留酒の手軽さや奥深さを人々に届ける「WEBメディア」が元の始まりだったと言います。そこでは、蒸留酒の飲み方やペアリングのおつまみが紹介されていましたが、それを体験できるリアルな場所を提供したい想いから中目黒に店舗をかまえました。現在では店舗が主体となり、メディアも店舗ありきとして変貌を遂げています。
店長の黒田氏が参画したのも中目黒店立ち上げのタイミング。元はアパレル業界で長く勤めていたそうですが、結婚を機に離職。その後出産を経て子育て中心の生活を送っていましたが、子供が大きくになるにつれ自身の人生を見つめ直し、以前から好きだったお酒に携わりながらチャンスを掴みたいという想いで新たな業界に飛び込みました。
まったくの素人から始めたこともあり、今でも昼夜を問わず知識の習得に努め、日々スピリッツと向き合っていると黒田氏は言います。アパレル出身ならではのお客様を出口まで見送る習慣も残っていて、「その度にスタッフに笑われます」と頬を緩めます。おもてなしの精神はサービスや陳列の見せ方にもあらわれ、酒類業界でこれまでにない新しい風が吹いていると感じました。
ガレージ感を活かしたモダンでエレガントな店舗
目黒川沿いの落ち着いた立地にかまえるアンドスピリッツは、中目黒という土地、そしてこの物件に惚れ込んだことが、店舗設営の決め手になったと言います。蒸留酒といえば、30~40代で醸造酒が体に合わなくなってきたり、飲み方が落ち着いてじっくりお酒と向き合いたい人が試すには絶好のジャンル。そんな世代をメインターゲットに据えた経緯からも、中目黒の土地柄がマッチしました。
オープンから1年弱を迎えた現在ではその意図が奏功し、周辺に住む30~40代の方々が多く来店するとともに、評判を聞きつけた20代の学生や社会人など若い世代、そして50~60代の方に至るまで、男女問わず幅広く受け入れられるようになりました。次の日に引きずりにくいと言われる蒸留酒は、時間をかけてじっくりと嗜む大人のお酒として人気を集めています。
アンドスピリッツの店舗は、もともと1階が車庫で地下が倉庫になった物件だったそうです。それを前テナントがレストランとイベントスペースに内装を整えた後、アンドスピリッツが居抜きの形態で引き継ぎました。決め手となったガレージ感は、大人の隠れ家を思わせる落ち着いた雰囲気。賑やかなイメージが強い酒屋でありながら、じっくりと蒸留酒に向き合える無二の魅力を成しています。
本格的なカクテルが用意された「1階のBar」
扉を開くと目前に広がるバーカウンターは、期待感が先行する本格的な佇まい。1階のバーでは、日中も常時グラスでの有料試飲が可能で、蒸留酒のカクテルも提供するバータイムが18時以降となります。季節に合わせた「マンスリーカクテル」をバーテンダーが考案したり、イベントのテーマ性に沿ったカクテルが登場したり、蒸留酒の魅力と潜在能力を引き出しながら、何度訪れても飽きさせない工夫が散りばめられています。
アンドスピリッツの特色として、蒸留酒専門店ならではの豊富な品揃えの中から、ボトル指定してオーダーすることが可能。たとえば、「YASO GIN(ヤソジン)150」を、一番美味しい飲み方でといった注文や、柑橘強めのジンでジントニックを作って欲しいなど。好きな蒸留酒を美味しく飲みたい人、特定のカクテルを飲みたい人、双方の期待に応えてくれるため、様々な角度からお酒を楽しむことができます。
バーカウンターで試飲メニューをCheck!
アンドスピリッツに訪れたら、まずはバーカウンターで一杯試飲をしてみましょう。重厚感のあるクールなカウンターで飲むお酒はまた格別。並べられたボトルも一般的なバーとは異なり新鮮味のあるラインナップで、スタッフと話しながら時間をかけてじっくりと蒸留酒の世界に浸ることができます。
アンドスピリッツでのカクテル提供は18時からですが、蒸留酒の有料試飲は12時から可能です。読み物としても面白い蒸留酒のメニューブックをめくりながら、ストレート・ロック・水割り・トニック割りなど、好きな飲み方で香りと味わいを楽しんでください。
バータイムには、ジン・ラム・テキーラ・ウイスキーなどを使った40種類以上のカクテルを注文できます。カクテルメニューは、人気の「マンスリーカクテル」を始めとして、意外と知られていない「世界で最も売れているカクテルランキング」なども掲載され、バーテンダーに各々紹介してもらいながら蒸留酒の魅力に迫ることができます。
金・土限定で有名店のバーテンダーが立つ
アンドスピリッツでは、毎週金曜・土曜の18時から「The World’s 50 Best Bars」にもランクインした、鹿山博康氏が率いる「Bar BenFiddich」とのスペシャルコラボレーションが開催されます。Bar BenFiddich や Bar B&F から週代わりでバーテンダーがカウンターに立ち、名店で培われた本格的なカクテルを振る舞ってくれます。
日本のバー業界でその名を轟かせるベンフィディックは予約困難で知られ、その妙技をアンドスピリッツで間近に見れることは貴重な体験です。「世界で影響力のあるバーテンダー」にも個人名でランキングされる鹿山博康氏。その血脈が受け継がれたバーテンダーとの「Bar BenFiddich &SPIRITS」コラボレーション企画は、アンドスピリッツでも常に人気を集めています。
400種類の蒸留酒がならぶ「地下のLiquor Store」
1階のバーカウンターで蒸留酒の試飲を終えたら、ムーディーなネオンに導かれ、地下の「Liquor Store」にいざ参陣と行きましょう。ズラリとならぶ蒸留酒の品揃えは400種類以上。ジン・ラム・ウイスキーなど人気のジャンルから、アクアビット・カシャッサ・コルンなど世界各地のニッチな蒸留酒までをカバーする豊富なラインナップです。
量販店で手軽に購入できるものではなく、珍しいものや限定品、認知度は低いながらも美味しい蒸留酒をチョイスするよう心掛けているそうで、初心者から玄人まで幅広く楽しめるラインナップを目指していると言います。店長の黒田氏曰く、日本での蒸留酒文化を広めていきたい想いから、日本人らしい繊細さを感じる国産蒸留酒に力を入れていて、「JAPANESE SPIRITS」の棚にもぜひ注目してみてください。
商品を選びやすくする工夫・こだわり
蒸留酒と一口に言っても、ジンを好きな人やウイスキーを好きな人など、飲み口やアルコール感で好みが分かれます。地下のリカーストアでは、ジャンルや産地別に分かりやすく展示され、お客様の選びやすさを重視したこだわりが垣間見えます。400種類以上の蒸留酒を扱うだけあって、理路整然と並べられた陳列のセンスと計画性には目を見張るものがあります。
一般的な酒屋のように並べられたボトルから選ぶだけでなく、1階のバーでメニューブックを見ながら選べることもアンドスピリッツの特徴。ブックにはそれぞれの説明書きが添えられているため、商品のことをよく知ったうえでオーダーできます。バーのカクテルもすべて地下の蒸留酒から作られていると言い、バーでの体験が購入につながるよう工夫されています。
&SPIRITSで人気のあるカクテルとドリンク各種
アンドスピリッツで最も人気を集めるカクテルは、バーテンダーが趣向を凝らした「Monthly Cocktail(マンスリーカクテル)」。取材時のラインアップは「パッションフルーツのジンフィズ」「チリマンゴーのホワイトレディ」「∞8 エンドレスエイト」と、毎月3種類が登場します。特にジンフィズシリーズが人気で、ショットで飲むことが苦手な人でも自宅で楽しむときの参考になります。
そして、金土限定の「Bar BenFiddich」コラボレーションメニュー「Special Cocktail(スペシャルカクテル)」も確かな信頼のおける人気カクテル。「選ばれし者の苦味飲料」や「前世チョコレートだった僕が転生したらラムだった件」などカクテルの名称もユニークで、組み合わせのセンスと美味しさはツウをも唸らせます。金土に訪れたなら、ひと通り飲んでみたい逸品カクテルです。
素材やボタニカル感など、スピリッツ本来の味を確かめながら新たな境地を開拓したい人には、「ジンの飲み比べ」をおすすめします。「フローラル3種」「ジャパニーズ3種」など、ジンの特徴別に用意されたメニューから好きな3種を選べ、バーカウンターにゆっくり座りながら味わいを比較してお気に入りの一本を見つけることができます。
おつまみメニューは「ドライフルーツ&ナッツ」「チョコレート」「燻製ホッケ」の3種類が主体。特に、炙ってピンクペッパーをまぶした燻製ホッケは、ひと手間くわえた美味しさが人気です。著者が以前父へのプレゼント選びで訪れた際に、桑の実が入ったドライフルーツ&ナッツをLINE追加の特典で戴いたことがありましたが、普段はドライフルーツを避ける父も美味しく食べていたことが印象的でした。
楽しい企画が続々と登場するイベントにも注目
蒸留酒をその場で「体験」できることをコンセプトに掲げるアンドスピリッツでは、毎月さまざまなイベントが開催されています。特に「〇〇&スピリッツ」と題されたコラボレーション企画が活況で、前述の「Bar BenFiddich &SPIRITS」はオープン当初から続く人気イベント。8月の時点で、既に12月前半までのイベントが決定していると言います。
7~8月にかけて行なわれた「SPICE &SPIRITS」は、元バカルディジャパン広報で、現在はお酒のスペシャリストとして幅広く活動する児島麻理子氏の著書「おうちでつくれる かんたんスパイスカクテル」の発売を記念したイベント企画。児島氏とともにスイーツブランド「toroa(トロア)」との3社コラボで実現したスペシャルメニューが好評を得ました。
toroaの人気商品「とろ生チーズケーキ」に、ターメリックとピンクペッパーがトッピングされたペアリングメニューは、贅沢に一捻りされた絶品スイーツ。ジュニパーベリーが入ったジンライムティーは、アールグレイベースにしっかりとジンの香りが残り、お酒を飲めない日にもピッタリな仕上がり。毎日開催されたイベントには、児島氏をはじめ多くのゲストが来店し、大盛況で幕を閉じました。
- おわりに
「何時どんな方が訪れても、蒸留酒を楽しんでもらえるお店でありたい」と店長の黒田氏が語るように、敷居は低く裾野は広い店構えこそがアンドスピリッツの最大の魅力。カウンターバーは勇気が要るという人にも、奥に酒屋があると足を踏み入れやすく、新しい世界に飛び込むきっかけをもらえるお店だと感じます。
スピリッツ初心者であっても、豊富な品揃えの店内を覗いてみるだけで楽しめ、後学のために利用することも大歓迎だと黒田氏は言います。玄人でも目を見張るような商品セレクトが心掛けられているため、プレゼントで贈ればマニアックな蒸留酒ラバーも唸らせるはず。訪れたなら思いがけず琴線に触れるような、至高の体験が出迎えてくれることでしょう。
アンドスピリッツの詳しい情報
店名 | &SPIRITS(アンドスピリッツ) |
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住所 | 〒153-0051 東京都目黒区上目黒1-14-6メゾンベルウッド1F/B1F |
営業時間 | 12:00 ~ 23:00(カクテル提供は18:00以降) |
定休日 | 無し |
最寄駅 | 東急東横線/東京メトロ日比谷線・中目黒駅から徒歩4分 |
電話番号 | 03-6416-5417 |
HP | https://andspirits.com/ |
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本記事は2022年9月11日時点の情報です。