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【裏地桂子さん】令和のギフトはどうあるべき?心地よい「贈りもの」のすゝめ。

【裏地桂子さん】令和のギフトはどうあるべき?心地よい「贈りもの」のすゝめ。

SNSの発達によって情報収集が手軽になるとともに、きわめて極端な意見も衆論として目にするようになった令和時代。ささやかな贈り物でも不安やプレッシャーを感じることがありますよね。また、情報が多過ぎて決めきれず、贈り物をする行為自体を億劫に感じてしまうことも少なくありません。

そんな現代のギフト事情について、ギフトコンシェルジュはどう感じているのでしょうか。相手が心地よく感じるためには「普段からのコミュニケーションが大事」と話す裏地桂子さんに、最近のギフト論争からギフト選びの秘訣など、気になることを隅々までインタビューしました。

記事の後半では、ギフトコンシェルジュの第一人者である裏地桂子さんが実際に贈っているイチオシギフト(三種の神器)をご紹介するとともに、裏地さんご自身が貰って嬉しいものも挙げていただきました。贈りもの選びのヒントになる情報が満載の、裏地さんインタビュー記事 “vol.2” をお楽しみください。

この記事はこんな人におすすめ!

  • 贈りもの上手な人のギフト選びを参考にしてみたい人
  • 裏地桂子さんが実際に贈っているギフトに興味がある人

[ 取材対象者 ]裏地桂子さん

ギフトコンシュルジュ/文筆家/草月流師範
ハイエンドな女性誌のライターとして活躍後、雑誌や企画展などの商品セレクションをはじめ、ブランディング、ショップのプロデュースや商品企画、商品開発などを手がける。著者多数。毎日、更新のInstagramも人気。


[ インタビュアー ]河野ひろこ/ギフトコンシェルジュ

看護師時代に培ったホスピタリティを活かし「人となり」を想像したプレゼントの見立てが得意。二児の子育てに日々奮闘しながらも、ギフトセレクトとショップ・カフェ巡りがライフワーク。

昔ながらの贈答習慣や近年のギフト論争で感じること

人気テレビ番組でのマナー論争産休クッキー騒動など、近年ではSNSを中心としてギフトマナーについて物議を醸すことがあります。昔ながらの贈答習慣や謂われ、立場による相違など、ギフトはさまざまな意見があって然るべきで、ギフトコンシェルジュの裏地桂子さんも「どちらの言い分もあり」と話します。

裏地さん

相手が不快になるならギフトとして成立しないとは思います。ただ、知らなかったわごめんなさいでいいと思いますし、気にならない人はありがとうで終わるだけですよね。

裏地さん自身、意味が込められた伝統マナーは遵守する必要性を感じているものの、故事つけ的なタブーについては「一概に、否定しないで欲しい」と考えています。たとえば、結婚祝いのワレモノや刃物など、”縁が切れる”から避けるべきと言われていてもそれが欲しい人もいるので、”悪いものをバサッと切ってね”と伝えれば良いのです。

他にも、ハンカチは”別れを連想させる”から避けるべき、靴下は”下に見ている印象がある”ので目上の人には避けるべきなど、贈り物によってさまざまな俗信があります。そういったものであっても、”とても素敵だから”とか”お揃いでつけてね”とひと言でも添えることが大切だと裏地さんは言います。

裏地さん

ただ、あえて問題を起こしそうなものを選ばなくてもいいと思います。よほど思い入れがあったり親しい間柄なら別ですが。

インタビュアー

素敵なギフトは沢山あるので、あえてそれに固執しなくてもいいですよね。私も裏地さんと同じ想いでしたので安心しました。

裏地桂子さんが実践する、ギフト選びの流儀とは

裏地さんの情報収集は、実際に足を運んでインプットすることが中心的です。さまざまな土地に赴いたときにも、お土産屋さんをひと通り見てまわり、自分の琴線にふれたものを思い留めておくそうです。他には、知人からの頂きものや新商品の案内など、知らなかったものは積極的にチェックすると言います。

裏地さん

なんでも百聞は一見に如かずです。食べ物も誰かが美味しいって言っても、本当に美味しい?って思いますよね。自分で選ばないと良さは分かりません。

裏地さんがギフト選びで最初に気にすることは金額(予算)。「○○のギフトに何がいいですか?」とよく聞かれるそうですが、必ず「おいくらぐらいですか?」と価格帯を確認します。ご自身の経験上、値の張るものはとても難しく、割と気軽なものの方が喜ばれることが多いそうです。

また、TPO(時間・場所・場面)も大切だと感じています。いくつぐらいの方で、男性か女性か、家族構成はどうか、もちろん贈る目的も欠かせません。そのうえで、特に自分が愛用しているもの、好きな食べものなどだと本当に気に入っていることが伝わるのでおすすめだと裏地さんは言います。

裏地さん

でもやっぱり関係性によりますよ。親しい友達なら全然違うものを差し上げますし。

インタビュアー

関係性が一番ですよね。好みが全然分からない人のギフトを考えるのは、楽しくもあり難しさもあります。

裏地さん

でも、ハマったらすごい嬉しいですよね。

インタビュアー

相手の素直な反応って分かりますもんね。

金額・TPOの次は、相手の好み。具体的には、モノがいい人なのか、消えモノがいい人なのか。裏地さん自身、一番無難なのはシャンパンだと考えていて、ワインよりも好みが限定されず、相手が飲めない人だとしても誰かに差し上げられることが利点だと言います。金額帯が分かりやすいのも魅力とのこと。

相手にとって心地よい贈りものをするためには、予算・目的・関係性・年齢・性別・家族構成・好みなど、その人の属性や人間性を知っておく必要があります。そのために、普段からのコミュニケーションが大事であり、贈りものを成功させる秘訣なのだと感じました。

裏地さん自身が好きなものも気になります。伺ってみると、まずはシャンパン。そして、生花、季節のフルーツ、フルーツポンチ(神田・近江屋洋菓子店)、ほうじ茶(京都・柳桜園茶舗)、チョコレートでした。過去にいただいた食器、化粧品、ハンドソープ、ルームフレグランス、調味料なども嬉しかったそうです。

裏地桂子さんが”リアル”に贈っているプレゼント

毎日とは言わないまでも、贈りものの機会はプチギフトを含めて、かなり多いと話す裏地さん。旅先の美味しいものだったり、お誕生日プレゼントだったり、お礼の品だったり。季節のご挨拶、クリスマスなどその機会はたくさん。

裏地さん

還暦のときにお茶事を開いて、ウサギ(生まれ年の干支)の箸置きをつくり皆さまに配りました。悩みましたが箸置きなら軽いし、もらって嫌ではないと。

インタビュアー

季節のお茶会やお稽古でも、手土産を持参することはありますか?

裏地さん

お茶会では、会費とは別に「お水屋見舞い」という感謝や慰労のしるしを贈ることがあり、その台として菓子折りなどを添えます。


ここで記事の本題である、裏地さんが普段から贈っている「鉄板ギフト」も教えていただきました。

裏地桂子さんのおすすめギフト

  1. シャンパン
  2. フラワーボックス
  3. チョコレート・タオルハンカチ

おすすめNo.1のシャンパンは、ご自身も好きで値段感が分かっていることが強み。分かりやすいところではドンペリ、少しお手頃だとアンリ・ジローのエスプリ・ナチュール、その間の価格帯で女性ならベルエポックなど、その時々でご自身の流行があり、その中から選んでいます。

フラワーボックスは、身近なご友人の長寿祝いで活躍しているギフト。60歳(還暦)、70歳(古希)、77歳(喜寿)など、花で数字を表現して入れてもらうと、とても喜ばれるそうです。重いので配送していただくのですが、箱をあけた時の華やかさだけでなく、お水をあげて手入れすることで2週間ほどはもち飾って楽しんでいただけると言います。

チョコレートは、小さなバッグに詰まったマリベルのチョコが最近いただいてお気に入り。色味もさまざまで季節によっても変わり、本当にバックのように開くので可愛いと評判で、2024年はよく贈りものにしたそうです。タオルハンカチは、FEILERや近沢レース店をよく使うそうで、遊び心のある柄を選んでいます。

インタビュアー

今日のお召し物も季節感のあるものを身に付けられていて、四季を楽しんでいらっしゃることが素敵です!

東京拠点の人形町で買えるものであれば、柳屋のたい焼き、人形町今半のコロッケ、清寿軒の小判どら焼きが定番だと言います。手土産はいらないと言われたときは、冷凍もできて嫌いな人があまりいない高級食パンを選ぶそうで、お気に入りはセントル ザ・ベーカリー銀座1丁目の角食とのことです。

裏地さん

もらって嬉しいものって、実は少ないと思うんです。

インタビュアー

やはり美味しいものとか実用品が落としどころになることが多いですよね。

裏地さん

すごく高いものだと「どうしてこれなの?」とか「他にあったでしょ?」思うじゃないですか。

裏地さん

「ごめん、代わり映えしないけど誕生日はシャンパンで」って。結局それが一番うれしいと思っています。

コミュニケーション力と好奇心が贈りもの上手の秘訣

二部構成にわたってお届けした裏地桂子さんのインタビュー記事。相手のことを理解するためのコミュニケーション力、ギフトにとどまらず多くの引き出しをもつための好奇心。そして、自分自身が常にごきげんであることが大切だと教えてくださいました。この記事からご覧になった方は、ギフトコンシェルジュの在り方についての記事もぜひご覧ください。


河野 ひろこ

河野 ひろこ

ギフトコンシェルジュ、コンテンツライター、縁起物アドバイザー。看護師時代に培ったホスピタリティを活かし、贈り相手の「人となり」を想像したプレゼントの見立てが得意。子育てに奮闘しながらも、週に1回以上の東京まち歩きとショップ巡りを10年来ライフワークにしている。

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