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二つの伝統工芸品が融合した「九谷和グラス」
九谷和グラスとは、石川県の伝統工芸である「九谷焼」と、東京に地場産業として古くから伝わる「江戸硝子」を特殊技術によって融合したグラスのことです。製造販売している会社は、石川県能美市に本社を構える「清峰堂(せいほうどう)」。自前の遊磁窯と伝統的な窯元を駆使しながら九谷焼製品を生み出しています。九谷和グラスのコンセプトとは
清峰堂の広報・田中氏によれば、九谷和グラスのコンセプトは「和洋空間の調和」。日本に受け継がれてきた九谷焼と、江戸硝子を中心とした手作りの吹きガラスの技術を掛け合わせ、現在の生活様式に取り入れるために創造されました。二つの伝統技術が融合することで、新しいカタチの伝統工芸品が誕生したと言ってもよいでしょう。 九谷和グラスのロゴマークは、和の趣とモダンな雰囲気との調和がシンプルに表されています。赤い丸は、日の丸をイメージし日本の伝統的な工芸品であることを、赤い丸の中で交わる抜きのラインはグラスのシルエットを表現していて、赤ワインが注がれている様子がモチーフとなっています。九谷焼と江戸硝子、二つが一つになるまで
九谷焼と江戸硝子は、これまで出逢うことがなかった二つの伝統工芸。九谷焼は、1655年頃からはじまる「古九谷」から発展した石川県加賀地方で生産される陶磁器。九谷五彩という独特な色彩や、金襴手という技法をはじめとする華やかさが特徴です。江戸硝子は、明治9年頃から発展した東京の地場産業。世界水準の輝きと光沢、そして透明感を持ち、硬く傷がつきにくい特徴を持っています。製作工程に欠かせない職人たちの手仕事
九谷和グラスの九谷焼部分は石川県で、手作りガラスは東京の工房でそれぞれ作ったのち、清峰堂で接合しています。九谷焼は、製土所・素地づくり職人・絵付け職人など、各工程をその道に通じた職人に製作を依頼。職人の手仕事が成せる業の結晶ということが分かります。 ガラス部分に江戸硝子を選んだ理由については「工業製品とは違った温かみを感じられることから、手作りの吹きガラスに決めたそうです」と田中氏が説明してくれました。どの商品も完全に同一ではないため、ひとつひとつ輝き方が微妙に異なることもまた、手作りならではの魅力と言います。伝統工芸の新しい可能性、九谷和グラスの魅力
九谷和グラスの最大の魅力は一目瞭然の美しさ。そして、「九谷焼×江戸硝子」の組み合わせを基にした豊富なラインナップ。それぞれのパーツを詳しく知っておくとより一層楽しむことが出来ます。ここでは、絵柄・ガラス・形状などそれぞれの部分について触れていきます。伝統柄からモダンデザインまで種々様々
九谷和グラスの脚部分を飾る九谷焼は、伝統的な絵柄もあれば現代的なデザインもあり九谷和グラスの印象を左右するパーツ。選んだ絵柄によって雰囲気がガラリと変わる点も、九谷和グラスの大きな魅力です。 伝統的な画風として代表的な絵柄は「青粒鉄仙(あおちぶてっせん)」と「白粒鉄仙(しろちぶてっせん)」。青色や白色の細かい粒を点で打ち続け金色で鉄仙の花を描く伝統的な絵付け技法で、根気を要する職人技から生まれた逸品です。 また、大正時代にデザインされた「金花詰(きんはなづめ)」も九谷焼を代表する絵柄です。様々な花を敷き詰め描き、金色の線で縁取りや模様を描きこんだ様子は、まさに「加賀百万石」を体現する豪華絢爛なデザイン。繊細な意匠を間近で見るとその技巧に息をのみます。 九谷焼の歴代画風のひとつ「吉田屋」を取り入れた「ぶどう」「鉄仙」「山茶花」は、豪快華麗な古九谷を受け継ぎながらも現代風にアレンジを加えた絵柄。九谷五彩と呼ばれる赤・緑・紫・黄色・紺青の五原色のうち、赤を使わずに素地全体を塗りつぶした重厚感のある仕上がりが特徴です。 また、「銀舟(ぎんしゅう)」と呼ばれる絵付師が手掛ける「街の広場」「花のタペストリー」「フラワー」「フラワーハウス」「めばえ」は、温もりのある可愛らしい絵柄が特徴的。伝統的な技術や絵の具などを受け継ぎ用いながらも、ソフトで受け入れやすい絵柄は、現代のテーブルを飾り華やげます。 清峰堂が誇る遊磁窯オリジナルの絵柄は、九谷焼の伝統的なデザインをアレンジした「令和金花詰(れいわきんはなづめ)」。自社で絵付けを施しているため、出荷数に限りがある希有な商品です。作家のオリジナル絵柄も豊富にあるため、一期一会の出逢いを思わず手にしたくなります。江戸硝子の柄と和グラスの美しい形状
用いられる江戸硝子は、九谷和グラスのためだけに設えた金型で作られています。手作りの吹きガラスの特性上、気泡が入っていることもありますが、それもまた唯一無二の作品の魅力。オパール・無地・斜・チューリップ・格子など、愛着の湧く柄選び取りましょう。 九谷和グラスの形状としては、主に冷酒グラス・馬上グラス・フリーグラス・麦酒グラス・ワイングラス・ロックグラス・ショットグラス・デザートグラスの8種類。サイズ違いを含めると13種にものぼり、それぞれの形状は著名なデザイナーが監修したものです。スタイリッシュな美しさは、和洋のテーブルコーディネートにマッチするよう緻密に計算されています。1248通りの九谷和グラスからセミオーダー
九谷焼の絵柄は定番だけでも32種類、ガラスの柄は5種、形状は8種類。これらを組み合わせてセミオーダーの九谷和グラスを作ることも可能です。まずグラスの形状を選び、次にガラスの種類・脚のデザインを選びます。形状によっては扱っていないガラスの柄もありますが、1248通りの九谷和グラスの中からセミオーダーができ、贈り相手にふさわしい一脚を作り上げることができます。清峰堂がもの作りで大切にしていること
九谷和グラスは、ひとつひとつ手作りで製作されているため、微妙な風合いの違いが生まれる可能性があると言います。それを埋めるため丁寧な手仕事へのこだわりと技術追究が欠かせず、「生活に溶け込む九谷焼」をモットーに、お客様の立場に立って商品を贈り出せる体制を作り上げています。 特に、九谷焼と江戸硝子との接合は技術的にも難しく、平面研削機を導入しながらグラスも脚も傾きを1万分の1mmまで調整し、接合クオリティを高める不断の努力に抜かりがありません。手作りであるにも関わらず手作りを感じさせない、そんな仕上がりが手に取った人に使い心地と安心感を与えています。九谷和グラスの開発秘話とその後の反響
清峰堂の九谷和グラスは「九谷焼磁器とガラスが非常に取れにくい」と自信をのぞかせる広報の田中氏は、接合技術の開発に大変な苦労があったと語ります。代表の清水則徳氏が約3年を費やし、寝る間も惜しみ試作を繰り返して開発に成功したのが2003年頃。 しかし、それまで世間に出回っていた商品が簡単に接合が取れるモノだったため、そのイメージが払拭できず販売店に受け入れてもらえなかったと言います。渡りに船となった出来事が、2006年のグッドデザイン賞(新領域デザイン部門)の受賞。接合技術にスポットライトが当たり評価されることで、強度や耐久性が証明され程なく受け入れられるようになりました。 また、中部経済産業局の地域産業資源活用事業認定を受け、さらに経済産業省「明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社」にも選出された清峰堂。産業九谷の発展と後継者不足解消のために尽力しつづけています。無二の接合技術が九谷和グラスを生み出した
初めて洋食器として九谷焼がテーブルに乗ったのは1991年頃。当時は、上部が磁器で下部が金属のスタイルでしたが、九谷焼と金属の接合が甘く、分裂してしまうことも多かったと言います。 そういった中で訪れた転機は、徽章メーカーから「磁器とガラスを使った盾を作ってほしい」と依頼があったことに始まります。開発担当者が依頼元とのミーティングで試作品を持参した際に、なんと接合部分がポロッと取れてしまったのだそうです。 危機に直面した担当者は、会社を挙げて接合部分が取れない接合技術の開発に乗り出しました。そして苦心の先、2003年頃に特殊技術の開発に成功。最善を求め今もなお改良を重ね続けていると言います。肝心要となる接合技術は、企業秘密として守られています。実物を見て取り選べるショップも必訪
せっかくの贈り物なので、九谷和グラスを実物で見て選びたい人もいるでしょう。清峰堂には、石川県能美市の本社併設のショップ&ショールーム「ギャラリー陶創館」を始めとして、百貨店を中心に全国に取扱店舗があります。 店舗には、パンフレットに乗っていない限定の絵柄や一点物などを含めて100種類以上の豊富なラインナップが陳列され魅力を感じます。また、ガラスが破損した際の修理受付も店舗にて行っています。限られた商品を手に取ることができるので、ぜひ訪問したいですね。九谷和グラスをギフトで贈るメリット
ここでは、九谷和グラスを贈ることの魅力を深堀していきます。大前提として、伝統工芸品ならではの風格や日本らしさ、華やかさは上等な贈り物となる所以でしょう。 日本古来からの縁起柄を豊富に揃う点も魅力です。中でも「宝づくし」は打ち出の小槌や巻物など縁起物がぎゅっと詰まった賑やかな絵柄。九谷焼らしい赤や緑が使われていて贈り物にもぴったり。「うさぎ文」や「ぶどう」など可愛らしい絵柄も、さりげなく縁起物を取り入れられてオススメです。 グラスギフトの謂われに注目すると、ヨーロッパでは乾杯の「カチャン」という音が魔除けの意味合いをもち縁起が良いとされています。特にフランスでは、グラスを贈った人も貰った人も幸せになれるという言い伝えが信じられています。九谷和グラスのセレクトポイント
オンラインショップの運営も担当する広報の田中氏は、形や絵柄に併せて贈り相手が好きな飲み物も考慮すると良いのではと話します。ワインラバーに贈るならワイングラス、日本酒マニアなら冷酒グラス、普段からお茶を嗜む人ならフリーグラスなど、用途や絵柄で相手の好みに寄り添った一脚を選びたいですね。 九谷和グラスの取扱店舗に直接来店されるお客様は「あの人はこういうデザインが好きかな」などと会話を楽しみながら選んでいると言います。自分の好みも織り交ぜながら、贈り相手のことを思い浮かべギフトを選ぶ時間は、幸せが訪れてきそうな素敵なひと時になることでしょう。デザイン性が若い世代にも受け入れられる
九谷和グラスの良さは、手作りの伝統的な部分を踏襲しながらも現代のシチュエーションに合うようデザインされていることだと広報の田中氏は言います。まさに和洋空間の調和というコンセプトが具現化されていると感じます。伝統的な工芸品や九谷焼が好きな人にも、料理やテーブルコーディネートが好きな人にも、それぞれの気持ちに寄り添える贈り物になりそうです。 九谷焼はミドルやシニア世代に贈るイメージが強いですが、九谷和グラスのお客様は20~30代の女性が多いと言います。現代のテーブルにも合う九谷和グラスだからこそ、若い世代にも受け入れられ喜んでもらえるのでしょう。伝統工芸品の重厚感を感じる逸品から、柔らかな雰囲気のモダンテイストまで幅広く網羅した九谷和グラスは懐が深い商品だと感じます。ギフトラッピングとアフターフォローについて
清峰堂のオンラインショップでは、通常包装・リボン掛け・熨斗掛けを無料で対応しています。その他にも、要望があれば最大限対応できるようにしているそうなので、メッセージ欄に要望を記入してお伝えください。 長く愉しむための取り扱いや手入れの仕方は商品に同封されているので受け取る人にも安心です。注目したいのはガラスが割れた際の対応。脚が無事ならガラス部分と九谷焼部分の接合を外し、ガラス交換修理することが可能です。グラスの種類によって修理料金は変わるため、依頼時はメールなどでお問い合わせください。シチュエーション別に考えるおすすめギフト
贈る相手に合わせてグラスの種類や絵柄を選べる素敵な九谷和グラスギフト。可愛らしいものが好きな人なら花柄、日頃からワインをたしなんでいる夫婦にはペアワイングラスなど、相手のライフスタイルや嗜好に合わせた贈り物となります。ここでは、シチュエーションごとのおすすめギフトをご提案します。- 結婚祝いに贈るならペアグラス
- 両親に贈りたい初任給ギフトや長寿祝い
- 好みを心得た友人への誕生日プレゼント
- 引越し・新築祝いに相応しいギフトセット