東急田園都市線・用賀駅から用賀中町通りを北上し、「駒大高校入口」の交差点を脇道に進むと、螺旋階段が目を引くクラシックな建物が現れます。まるで革小物店や喫茶店のような佇まいのお店が、今回ご紹介する精肉店「TOKYO COWBOY(トウキョウカウボーイ)」。厳選した黒毛和牛をフルオーダーカットで提供しています。
今までにない新しいことをやってみたいという気持ちから、型にはまらない開拓者をイメージして「COWBOY」を店名に冠したと言います。コンセプトは「最高の美味しさを求めて、フルオーダーカットで和牛を提供する精肉店」。ミートコンシェルジュやミートキープなど、真新しいキーワードが飛び交う同店は、黒毛和牛という最上級の肉に更なる付加価値を添えます。
目次
精肉店ブランドを立ち上げた経緯とは
元々は証券会社に勤めていたという代表の上野氏。リーマンショックをきっかけに投資家にとって魅力的な金融商品をつくれない状況が長く続き、仕事に対するやりがいを見失ってしまったそうです。
そんな混沌の最中で「自分がやりたいことは、金融商品と違って目に見えて、商品を提供することでお客様と喜びを共有でき、海外でも展開できること」だと気付き、自身で新しいビジネスを立ち上げる決意をしました。
より良い商材を探る中で、美味しさという喜びを共有でき、海外でも通用する日本独自の食文化「Japanese WAGYU」に辿り着きました。まったく異なる職種から精肉業界に飛び込んだことで、常識にとらわれないアイデアを持つことができたと言います。オープンの地には、肉を自宅で調理して食べる生活習慣をもつ家族層が多いエリアとして世田谷区を選びました。
いざ蓋を開けてみると「想定していたよりも幅広いニーズがありました」と上野氏は話します。当初は世田谷区界隈に住む家族層を中心に想定していましたが、遠方から足を運ぶほどの需要もありました。食事に気遣っているアスリートや、子供に本物のお肉を食べさせたいという人など、目的は様々。
「和牛はトレーディングにも似た要素がある一方で、金融商品と違って賞味期限がある。なので、タイムリミットがある中で利益を出さなきゃいけない部分では究極のトレーディングかと思います」と和牛の取り扱いの難しさについて話す上野氏。一見交わることのない業種ではあるものの、通ずるものを見出して価値を生み出しています。
独自に設定した厳しい基準をクリアした黒毛和牛のみ
黒毛和牛という、それだけで稀少なお肉を仕入れるTOKYO COWBOYでは、およそ40箇所もの部位を取り扱い、ローストビーフやハンバーグなどを含めると50種類弱の商品数をラインナップします。独自の基準を設け、ミートコンシェルジュが厳選する肉は、流行に左右されない芯の通った美味しさです。
仕入れる肉は、「黒毛和牛」「メス牛」「30カ月を超える月齢」というスクリーニングからはじまり、ミートコンシェルジュが更に目利きして厳選したもの。メス牛の方がオス牛よりも脂の融点が低いため、さっぱりとしていて、後味も雑味が少なくクリアな味わい。また、30カ月を超えると、熟成を必要とせず牛本来の味を楽しむことができると言います。
ブランドに固執せず仕入れるこだわり
TOKYO COWBOYでは、ブランドを持たない和牛を積極的に仕入れていることも特徴です。これは、ブランドがなくても真心こめて牛を育てている日本全国の農家をサポートしたいという想いからきています。
肉にさほど詳しくない消費者は、どうしてもブランド牛に飛びつきがちな側面もあるでしょう。そこで、TOKYO COWBOYがセレクトショップのように肉を厳選し紹介することで、今まで知りえなかった農家の肉に出会えることも魅力です。
TOKYO COWBOYに選ばれることで農家の人も誇らしい気持ちになりますよね。「将来的には最も仕入れた農家に表彰するなどして、ブランディングのお手伝いができたら」と上野氏は言います。生産者と消費者を繋ぐ架け橋のようなお店でもあります。
西海岸を思わせるスタイリッシュ&クールな店構え
サーモンピンクに塗られた外観や年季の入った螺旋階段から、一見するとお肉屋さんとは分からず、喫茶店や雑貨屋のようにも見えるTOKYO COWBOYの店舗。入口前には駐車スペースがあり、車でサッと立ち寄りやすい点も魅力です。
店内に足を踏み入れると、打ちっぱなしを思わせる床と白いレンガの壁面、そして大きく設置されたショーケースが目に飛び込みます。ちょっとしたショッピングのつもりが、少しだけお洒落して来店したくなる素敵な空間に惹きつけられます。
壁には、商品として販売しているフライパンやバッグが掛かっていて、サーフショップさながらのディスプレイ。カルフォルニアや湘南など海のそばに暮らした経験がある上野氏のアイデアで、サーフライフやカルフォルニアテイストを取り込んだそうです。
国内の精肉店だと昔ながらの和テイストが強い店が多いですが、TOKYO COWBOYは創業何十年というお店ではありません。それならば人とは違った雰囲気の店構えでも面白いかと思いデザインしています。
理路整然と塊肉が並ぶ、魅惑のショーケース
TOKYO COWBOYのブランドアイコンとも言えるショーケースには、貫禄のある塊肉が鎮座します。右側の冷蔵庫には焼肉やBBQに適した部位、中央はステーキカットに適した部位、左側はスライス(すき焼きやしゃぶしゃぶ肉)と、特徴ごとに保管。さらに、赤身・中間・サシが乗っているものが段で分けられ、煮込み用の肉やハンバーグ・筋・ローストビーフが並びます。
店内にソファとテーブルがセッティングされているのは、お客様の要望を聞いてからカットするTOKYO COWBOYならではのおもてなし。肉をカットしている待ち時間でも、ソファに座ってゆっくりくつろげる工夫が施されています。
ソファの近くには、TOKYO COWBOYが厳選した調理器具やオリジナル雑貨が並ぶ物販コーナーもあります。精肉店に来たことを忘れてしまいそうなディスプレイは、肉のセレクトだけでなく、肉を中心としたライフスタイルも提案してくれているようです。
肉の案内人「ミートコンシェルジュ」が常駐
TOKYO COWBOYには、お客様に対して肉を提供する中で専門的なアドバイスをしてくれる「ミートコンシェルジュ」がいます。ミートコンシェルジュは、肉の味わい・サシの程度・調理方法・人数などから、お客様それぞれの要望に合った肉をチョイスする、いわば「肉の案内人」。
贈り物の相談はもちろんのこと、肉の部位についてもっと詳しく知りたい人や自分の理想の肉を探し求める人にもおすすめです。ミートコンシェルジュは基本的に常駐しているため、不明点があれば、遠慮なく相談しましょう。
肉の「フルオーダーカット」で鮮度を保つ
本当に美味しい肉を食べてもらいたい、という想いから生まれたTOKYO COWBOY。肉は空気に触れるほど鮮度が落ちるため、切りたての肉を食べることが、美味しいにつながると考えています。そこで考案された「フルオーダーカット」のスタイルです。
大切なイベントを美味しいお肉で過ごしてほしい
和牛は言わずもがな高価な食材で、特別な日に購入することが多い傾向にあります。思い出に残る大切な機会だからこそ、自身が納得できる良質なものを手に入れたいと思うはず。TOKYO COWBOYでは、味わいだけでなく、人それぞれ微妙に異なる厚みの好みまでを汲み取ってくれる、肉好きには堪らない配慮があるのです。
オーダーした後にカットされると、お客様が「自分が選んだ」という気持ちを持つことができる、と上野氏は言います。家族で来店して、ミートコンシェルジュに「今日は皆でいいステーキを食べたいんだ」と伝え、それぞれの好みに合わせて2~3種類の肉を選ぶ。それだけでイベント感のある楽しさが湧き上がってくるように思います。
とっておきのハレの日に、特別感をさらに演出してくれる精肉店。そんな場所を知っていると家族に対しても鼻が高いですし、ここなら間違いないと思える安心感があってイベント事で助かります。自分のために切り分けられたフルオーダーカットのお肉を眺めていると、得意満面な様子がこみ上げてくることでしょう。
自分の肉を「ミートキープ」で管理してもらう
ブロック単位で肉を購入し、そのブロック肉をTOKYO COWBOYが管理・保管する、日本で初めての独自サービスが「ミートキープ」です。ワインやフルーツのように、時間の経過とともに表情を変える「肉の味」を楽しむことができるサービスは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。
大きな肉を所有する、夢のようなサービス
ワインのボトルキープのように、自分の肉を自慢できるようなサービスがあったら気持ちいいだろうな、というアイデアから生まれたミートキープ。基本的に2キロ以上の肉からミートキープが可能で、カット方法や量をオーダーすると、その都度カットしていきます。残りのブロック肉は、再度真空パックにしてケースで保管されます。
「食感」「香り」「旨味」など肉の成長を楽しみながら、最高の状態を味わえるだけでなく、通常の量り売りよりもグラム当たりの価格の方が割安なのでお得感もあります。また、お気に入りの肉を食べたいときに好きなカット方法で注文できることや、自分の肉を丁寧に管理してくれる点にも特別感を感じることでしょう。
ギフトシーンでも活用できる便利な使い勝手
当初は、入荷したての状態から2~3週間で変化していく食感や風味の違いを楽しんでもらいたい、というコンセプトの下で開始されたサービス。しかしながら、近年はお中元やお歳暮などの贈答シーンで、自分のミートキープを活用する使い方が増えてきていると言います。
普段から気に入って食べている肉なので、贈り手自身で味の担保ができる安心感があります。「ミートキープの肉を、ステーキで3枚、〇〇さんに贈ってください」というオーダーの仕方があるのは予想外だった、と上野氏は振り返ります。まさに大人買いといった、粋で格好良い注文方法で、相手と同じ肉を共有する仲間意識も芽生えそうです。
デイリーで食べたい取扱商品をピックアップ
良質な黒毛和牛を取り揃えるTOKYO COWBOYには、デイリーで食べたい肉も豊富にラインナップ。商品には肉の部位や特徴、おすすめの食べ方などを記したカードが添えられているので、ライトな読み物としても楽しめます。
絶妙な火の通りが病みつきのローストビーフ
日常生活の中にちょっぴり心が浮き立つ時間を作ってくれるお惣菜が、ローストビーフ。TOKYO COWBOYでは、サシの入り方が異なる3種類のローストビーフを常に用意しています。そんなローストビーフもその場でカットして提供しています。
筆者が注文したお肉の部位は3種類の内、赤身の部位をセレクト。サシが程よく入ったロゼ色のローストビーフが美しく並べられ、見た目からエンターテインメント。しっとりとジューシーな旨味を含んだ肉が、口の中で優しくほどけていきます。「今まで食べた中で一番美味しいローストビーフだった」と夫も大絶賛。こちらも贈り物におあつらえ向きです。
テイクアウトで注文できるのが「WAGYU ROST BEEF SANDWICH」。大葉と特製ソースで仕上げた大人のサンドイッチです。こちらの商品もオーダーが入ってから作るため、新鮮な肉の旨味を味わうことができます。
スティックステーキで肉の食べ比べを愉しむ
TOKYO COWBOYの焼印が入った桐箱を開けるとお目見えする、スティック状にカットされた和牛ステーキ。「スティックステーキギフト」は、厳選された4種類の和牛部位を一挙に堪能できる贅沢なギフトボックスです。
サシの入った部位から赤身まで、ミートコンシュルジュの厳選した肉が届くため、ミートラバーの心を掴む贈り物になること間違いありません。焼肉店に行くよりもラフに自宅で肉を楽しみたい人にとって、大満足の逸品を是非試してみたいところです。
黒毛和牛ホルモンの専門ブランドがオープン
入手困難なホルモンを家庭でも楽しんでもらいたいとの想いから、黒毛和牛ホルモン専門ブランド「DOWNTOWN COWBOY(ダウンタウンカウボーイ)」を展開している同店。厳選した良質の和牛ホルモンを中心に、和牛のタンやハラミなどを取り扱います。オンラインのみの商品提供となりますが、事前に伝えれば店舗でも受け渡しも可能です。
肌寒い日には、和牛ホホ肉の煮込み料理、牛テールの出汁を使ったスープなどはいかがでしょう。気候が安定してきたら、和牛のタンやハラミを使って豪快にバーベキューなど、希少な部位が料理の幅を広げてくれるとともに楽しみまで広がります。
新しい精肉店のカタチ、TOKYO COWBOYの魅力
感染症拡大の影響で外食が規制されている中、気分的にも落ち込んでしまう部分があるでしょう。そんなとき、美味しい和牛を家族で囲んで、ちょっとでも笑顔になれる時間や空間をもってもらえたら嬉しい、と上野氏は話します。TOKYO COWBOYには、ギフト用途はもちろんのこと、日常使いのお肉もあるため気軽に訪れてみてください。
「本当に美味しいお肉を楽しんでもらいたい」という想いで作り上げられたTOKYO COWBOY。ショーケースに並ぶ肉は、どれも魅惑の輝きを放っています。ミートコンシェルジュがあなたに合った肉を提案し、最高の状態が保たれたフレッシュな美味しさに出逢えることでしょう。今まで味わったことのない感動を引き起こす、いま注目の精肉店です。
トウキョウカウボーイの詳しい情報
店名 | TOKYO COWBOY(トウキョウカウボーイ) |
---|---|
住所 | 〒158-0098 東京都世田谷区上用賀1-10-16 |
営業時間 | 10:00 ~ 18:00 |
定休日 | 水曜日 |
最寄駅 | 東急田園都市線・用賀駅から徒歩10〜15分 |
電話番号 | 03-6805-6933 |
HP | http://www.tokyocowboy.jp/ |
SNS |
本記事は2022年2月23日時点の情報です。