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実用性が高いハンカチーフは、デザインや価格帯のバリエーションが多いことからもプレゼントに選びやすいですよね。ただ「ハンカチーフのプレゼントはタブー」という声もどこからか聞こえてきて、自然と避けている方もいるのではないでしょうか?
たしかにハンカチーフは、涙を拭くものという考え方から別れを連想させたり、故人の顔に白い布をかける慣習によって不吉なイメージがあったりと、限定的にネガティブな意味合いもあります。しかし、贈ることが一概に非常識という訳ではありません。意外と知られていないポジティブな意味合いもあり、適切なマナーを守ることで謂われを気にする人にも配慮ができます。
この記事では、ハンカチーフのプレゼントにはどのような意味があるのか? どのような相手やシーンで贈ると印象が良く、もしくは避けるべきなのか? など、ハンカチーフに関する真相をまとめました。さらに、ハンカチーフの贈り物がより特別になるアイデアもあわせてご紹介します。
ハンカチを贈る意味、日本や海外でのタブーとは?
ハンカチーフのプレゼントには、どういった意味が込められているのかご存知でしょうか? ここでは、ハンカチーフがタブー視される理由、日本と海外での考え方に差があるのかなど、5つのポイントに分けて解説していきます。
涙を拭くためにつかわれ別れを連想させる
ハンカチーフは葬儀のような悲しいシーンで涙を拭うための必需品あり、「別れ」や「悲しみ」を連想させます。そのため、伝統的な儀式を重んじる日本では、古くからプレゼントとしてタブー視される傾向があります。
特に、葬儀用のハンカチーフは白色や黒色、グレーなどの無地がマナーとされているため、色や装飾(模様)の有無によって連想されやすくなることに注意しましょう。
また、贈るタイミングやシーンに配慮することも大切です。相手の身内に不幸があったときや、別れを連想してほしくないお祝いなど、受け取る人の気持ちを想像することを忘れないようにしましょう。
この場合、悲しい出来事があったばかりの相手には贈らない、結婚や出産といったシーンで祝儀にする場合は一言メッセージを添えるなど、渡し方を工夫することで誤解を回避できることもあります。
マーキングというメッセージ性がある
日常的に使うアイテムを贈る行為には、それを使っている相手を見て「自分のもの」と思う隠れた心理が働いていると言われています。そのため、ハンカチーフを贈ることを「マーキング」というメッセージ性に捉える方もいるので注意が必要です。
また、プレゼントを贈る相手によっては、過度な期待を抱いて「マーキングされている」と誤解や勘違いをする方もいるかもしれません。具体的に、既婚者や本命以外の相手にハンカチーフをプレゼントすることは、誤解が生じないように注意しなければいけません。
手切れの意思表示という考え方がある
儀式や贈答で縁起を担ぐ日本の文化には、言葉の組み合わせによって縁起が悪いとする「忌み言葉」や、言葉自体に魂が宿っていると信じる「言霊信仰」があり、ネガティブな言い回しを避けようとする習慣が現代でも根強く残っています。
ハンカチーフを漢字で「手巾(しゅきん)」と書くことは、芥川龍之介の短編小説のタイトルからも有名です。そして、手巾を訓読みすると「てぎれ」と読めるため、関係を断つ意味の「手切れ」の意思表示と考えられることがあります。ただし、現代ではハンカチーフを手巾と呼ぶことが皆無なので、気に留められることは少なくなりました。
日本では故人の顔に白い布をかける慣習がある
無地の白いハンカチーフは不祝儀をイメージさせてしまう可能性があるため、特にプレゼントでは避けたほうが良いでしょう。日本では亡くなった方の顔に「打ち覆い」と呼ばれる白い布をかける慣習があります。諸説ありますが「死者の尊厳を守る」「万が一蘇生した際に気付けるように」といった理由があるためです。
他にも、白色には「清浄の色で、死の穢れを祓う」「亡くなることを予期していなかったため、染める暇もなかった」といった意味が込められることがあります。このことから、白色は葬儀など弔事でよく使われる色でもあり、死や別れを連想させやすいのです。
海外では特に注意が必要な謂われがある
ビジネスシーンから日常生活に至るまで、グローバル化が進む現代においては、日本と海外の文化や習慣の違いにも注意しなければいけません。ハンカチーフのプレゼントで特に注意が必要な国地域は、日本を含めた東アジア諸国です。
たとえば、中国でハンカチーフを贈ることは「関係を断つ(送巾離根)」という意味を持っていると言われ、悲しいことを招く贈り物と捉えられたりもします。また、日本と同様に台湾・韓国・ベトナムなどでも葬儀で使うものというイメージがあり、別れを連想することからタブー視されています。
ハンカチのプレゼントには良い意味もある?
先の章ではハンカチーフの悪い意味合いをご紹介したため、タブーが多くて贈ってはいけないのでは? と思われたかもしれません。しかしながら、ハンカチーフを贈ること自体が一概にNGなわけではなく、良い意味合いも存在します。
中世ヨーロッパでは婚約のしるし
中世ヨーロッパにおいてハンカチーフは、レースや刺繍で贅沢を凝らしたアクセサリーとして上流階級の人々の間で使われるようになり、次第に庶民の間でもエチケットとして身に着けられるようになりました。そして、この頃から「婚約のしるし」としての意味を持つようになります。
戦場へと向かう恋人に自分の代わりとなるようイニシャル入りのハンカチーフを贈ったり、人目を忍んで想いを通わせる約束の印として使ったり、婚約指輪の代わりにしたりすることが盛んに行なわれていたようです。恋人に贈るならOK
中世ヨーロッパから続く「婚約の印」は、現代でも恋人への「マーキング」の意味合いとして残っています。したがって、時と場所を問わず身に着けておけるハンカチーフを、意中の相手に想いを伝える場面(デートのフィナーレやプロポーズなど)でプレゼントすることは、ロマンチックな演出としてピッタリではないでしょうか。
送別会などで贈られたりもする
ハンカチーフがタブー視される理由でも触れた「別れ」や「涙を拭くもの」という意味。これは悪いとらえ方ばかりではありません。次のステップに進むための送別会や前向きな別れのシーンでは、「涙を拭いて前を向こう」「これまでの関係に縛られず、新たな道を進んでほしい」という意味合いをもたせることができます。
男性や女性で意味に違いはある?
男性から女性にハンカチーフを贈る場合、「あなたのことが気になっている」というアピールを込めることができます。マーキングのメッセージ性があると説明したように、「手元に置いておきたい」「誰にも渡さない」といった多少強めな表現性も見え隠れします。
お互いの想いが通じつつある関係であれば問題ありませんが、まだ相手の気持ちがわからない段階でのプレゼントであれば注意が必要です。ハンカチーフは常に持ち歩くもので、直接肌に触れるセンシティブなものという認識をもっておきましょう。
感謝の心を表現できる
日頃の感謝を伝えたいとき、ハンカチーフはコンパクトで値段もお手頃なことから、贈った相手に気を遣わせないアイテム。また、日々の生活で使えて何枚あっても困らないので、感謝の気持ちを伝えるのにうってつけなプチプラギフトです。
ハンカチーフを渡すときには、手紙やメッセージカード、サブギフトでお菓子の詰め合わせや香りのアイテムを添えて華やかさをプラスしても素敵です。別れやマーキングというイメージが払拭され、前向きな意味合いのギフトとして受け取ってもらえそうです。
小さい布にすぎないが想いを込めやすい
ハンカチーフを持ち歩く習慣がある人にとって、使い勝手を優先的にかんがえて質は二の次になってしまいがち。生地の質感やデザインにこだわったハンカチーフをプレゼントすることで、生活に欠かせないアイテムに上質さが加わり、日常のなかにちょっとした贅沢を届けることができます。
また、ハンカチーフは布という特性上、刺繍やプリントなどでイニシャルやメッセージを入れやすく、特別感を出すのにうってつけなアイテム。受け取った人はその想いが伝わりやすく、小さくリーズナブルでありながらも優秀なギフトツールだといえます。
ハンカチのプレゼントがふさわしい場面や相手
タブーと良い意味をそれぞれ踏まえると、ハンカチーフをどのような場面や相手にプレゼントするのがふさわしいのか見えてきます。ここでは6つのシーンにフォーカスして考えていきます。それぞれのシーンに適した贈り方を知って、ここぞという場面でハンカチーフを贈ってみませんか?
バレンタインデーやホワイトデー
「婚約の印」として贈られた経緯のあるハンカチーフは、バレンタインデーやホワイトデーのギフトにピッタリです。いつもそばに恋人の存在を感じられるアイテムとして大切にしてもらえることでしょう。ただし、「別れ」のメッセージに受け取られないよう、イニシャルを入れたり、手紙やメッセージカードを添えたりするなど根底にある気持ちが伝わるようひと手間加えましょう。
ただし、既婚の異性にハンカチーフを贈ることは注意が必要です。これは、配偶者が贈った覚えのない新しいものを身につけると浮気を疑われたり、配偶者の同性からプレゼントされることを嫌がったりするためです。他意がなくても贈った相手の家庭で不和につながることは避けるようにしましょう。
結婚祝い
ヨーロッパにおける結婚式の伝統的なおまじない「サムシングフォー」。サムシングフォーは、「サムシングオールド(古いもの)」、「サムシングニュー(新しいもの)」、「サムシングボロード(借りたもの)」、「サムシングブルー(青いもの)」の4つのアイテムで、これらを結婚式のなかに取り入れると幸せになれると考えられています。
たとえば、このなかの「サムシングニュー」にかけてレースのハンカチーフ、「サムシングブルー」にかけてブルーの生地やイニシャル刺繍をいれたハンカチーフなど、サムシングフォーを表現することで、家族や友人に向けて贈る「はなむけ」の意味を持たすことができます。
卒業や退職などの送別会・お別れ会
「手切れ」の意味をもつハンカチーフも、新しいステージに向けた卒業や定年退職のように、前向きな別れや門出のシーンではポジティブなメッセージとしてとらえることができます。「涙を拭いてお互いの道を進もう」「新たな環境で汗を拭いて頑張れ」など、相手にエールを送り、背中を押す力強いメッセージ性をもった贈り物になることでしょう。
内祝いなどささやかな返礼品
職場の同僚や友人からまとめて結婚祝いをもらったときの内祝いや、快気内祝いのように、数多く配りたいお返しのシーンでは、「控えめな価格」で「持ち運びが簡単、かさばらないこと」がお互いの負担になりにくいプチギフトの秘訣です。
「あとに残らない」という意味を込めた消耗品(消えもの)としても、ハンカチーフは活躍します。このとき、無地の白色を避けたり、縁起の良い柄やモチーフを選んだりすることで、タブーを感じさせずに贈ることができます。
母の日や父の日
毎年やってくる母の日や父の日は、何を贈れば喜んでもらえるか頭を悩ませるイベントの一つ。そんなときは、シンプルにハンカチーフで感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょう。上質な素材や好みの柄、刺繍などにこだわることで、お母さんやお父さんのことを思い浮かべながら選び、大切に想っているという気持ちが伝わることでしょう。
誕生日プレゼント
両親や友達に誕生日プレゼントを選ぶ場面で、メインのプレゼントに「ちょい足し」できるアイテムが欲しいと思ったことはありませんか? デザインが豊富なハンカチーフなら、相手の好みやイメージにあった1枚を選ぶことができます。サブギフトとして添えることで、「あなたに喜んでもらいたい」という気持ちが一層伝わることでしょう。
ハンカチのギフトをより特別にする方法
ハンカチーフのポジティブ・ネガティブな両方のイメージを考慮しつつ、ハンカチーフのギフトをより特別なものにする5つの方法をご紹介します。贈るシチュエーションや伝えたいメッセージ性に合わせて気になるものを活用してみてくださいね。
相手のイニシャルを入れる
イニシャルを入れた(名入れを施した)ハンカチーフは、「ネガティブな意味合いはなく、喜んでもらえることを考えて選んだ」ということが伝わりやすく喜ばれます。イニシャルが入っているアイテムは、自分専用の持ち物という特別感があってうれしいですよね。
さらに、イニシャル刺繍のように色が選べるのであれば、相手の好みの色でイニシャルを入れるとさらに気に入ってもらえます。シンプルながら温かいメッセージのようでもあり、相手の所有欲を掻き立てるワンポイント演出になります。
モチーフ刺繍で縁起を担ぐ
縁起の良いモチーフ刺繍は、ハンカチーフの特別感をさらに格上げしてくれます。特に、幸運をもたらす「ラッキーモチーフ」は相手の状況やシーンに合わせたさまざまな意味合いがあるので、モチーフの意味を込めた刺繍ハンカチーフを大切な人に贈ってみてはいかがでしょうか。
定番の「ハート」は心臓・愛・感情の象徴で、片思いや、愛を長続きさせたいときに。「クローバー」は幸運の象徴で、4枚の葉つきだと愛・健康・富・名声を意味します。動物モチーフであれば、「ウサギ」は上昇・飛躍の象徴で、目標を実現させたいときに。「フクロウ」は知恵や知性の象徴で夜目が利くことから、見通し良く幸先が明るいスタートや商売繁盛の意味を込めるなど、相手が力を入れていることに沿った意味のモチーフで縁起を担ぎ、応援や祈りの気持ちが伝えられます。
ハンカチーフの色に意味をこめる
色の持つ意味やイメージの力に想いをのせてみても素敵です。元気付けたい相手には「オレンジ」、リラックスしてほしいときには「グリーン」がベースになっているハンカチーフを選んでも良いでしょう。他には、贈り相手のパーソナルカラーや推し色(応援している人のメンバーカラー)で選んでみても喜ばれそうです。
手紙やメッセージカードを添える
ギフトに手紙やメッセージカードを添えれば、日頃の感謝やお祝いの気持ちを畏まらず素直に伝えることができます。「いつもありがとう、これからもよろしくね」とか「願いが叶うように応援しているよ」など、ハンカチーフに込めた意味を実際に綴ることで、想いをより明確に表現して特別なプレゼントにしてくれるでしょう。
小道具も合わせて贈る
大判のハンカチーフをスカーフやバッグに変身させるような、便利なパーツを一緒に贈ることで使用シーンを広げてあげることができます。ブローチやヘアゴムを添えればスカーフの留め具にできて、ハンカチーフのパーツとして使わないときはファッションアイテムとして活躍します。ハンカチーフを一輪の花に見立てた「ハンカチブーケ」のような商品も登場しているため、ギフトシーンを華やかに演出したいときの一助になるでしょう。
贈る人も贈られる人も楽しいプレゼント選びを
ハンカチーフは、最適なシーンで贈れば喜んでもらえる素敵なプレゼントです。ハンカチーフに込める意味を考えてプレゼント選びをする時間は、贈り手にとっても楽しいひとときです。現代ではあまり気にされていないタブーや、曖昧なルールのせいで気に入ったハンカチーフを贈らないなんて寂しいことです。OKラインを把握して、楽しくハンカチーフのプレゼント選びをしてくださいね。