謝意を丁寧に表す手段「お礼状」を送るタイミングと書き方マナー

冠婚葬祭などでお祝いの品物やご祝儀(不祝儀)をもらったり、ビジネスシーンなどで誰かにお世話になったりしたとき、相手の方に対して謝意を述べるのはとても大切なことです。日本古来の習慣として、より丁寧な印象を与えることのできるお礼の方法に、「お礼状」という手段があることをご存知でしょうか?

お礼状マナー

本記事では、相手に好印象を与え、関係性をより円滑にしてくれるお礼状について、その意味や送るシチュエーション、書き方や出し方のマナーなどをご紹介します。お礼状のマナーを身につけて、今後の機会に是非ともお役立てください。

お礼状とは

お礼状とは、感謝の気持ちを伝え、人付き合いを円滑にするために送る手紙のことを意味します。正式には「礼状れいじょう」といいますが、手紙の性質上、「御礼状おんれいじょう」や「お礼状れいじょう」などと、敬意を表す接頭辞をつけて丁寧な言い回しにすることが多いようです。

お礼状マナー

一般的には、社会生活の中でお世話になったり、贈り物をいただいたりしたときに、お礼状という手紙を送ることがマナーといわれており、略式的に電話でお礼の気持ちを伝えた場合も、お礼状という形で改めて謝意を述べることが、より敬意を表せる手段とされています。

お礼状を送るシチュエーション

お礼状を送るシチュエーションとしては、お祝いに対するお返しを贈るときに一言添えたい場合や、電話やメールではお礼を伝える手段として失礼だと思う場合などがあります。一般には、さほど親しい仲ではなく、特に印象を良くしておきたい相手や、目上の方など礼儀を重んじる相手にお礼状を送ることが多いようです。

お礼状マナー

お礼を伝えるとき、電話での挨拶は略式的なため、手紙のお礼状で謝意を表すことが正式なマナーとされていますが、ビジネスシーンなどではメールでお礼を伝えることも一般的となっています。ここでは、具体例を交えてお礼状を送るシチュエーションをご紹介します。

お祝いや贈り物をもらったとき

何かのお祝いとしてご祝儀や品物をもらった場合、原則的にはそのお返しを贈ることがマナー(通例)です。そのとき、お返しの品物にお礼状を添えるか、品物を贈らない場合もお礼状だけでも送ることが望ましいとされています。

お礼状マナー

お返しにお礼状を添えるシチュエーションとしては、成人祝い、卒業祝い、就職祝い、結婚祝い、出産祝い、昇進(栄転)祝い、退職(転職)祝い、就任祝い、開店(開業)祝い、新築祝い、入院のお見舞い、快気祝いなどがあります。お中元やお歳暮については、それ自体が日頃の感謝(お礼)という意味合いであるため、お返しは原則不要ですが、お礼状を送ることで相手とのコミュニケーションが図れます。

冠婚葬祭に参列してくれたとき

冠婚葬祭では、主に結婚式や葬儀に参列してくれた人に対して、お礼状を送ることがあります。ただし、結婚披露宴に出席した人には引出物を、葬儀に参列した人には会葬御礼を渡すことが通例であるため、一般的にお礼状は不要とされています。祝電や弔電などの電報をもらった場合には、お礼状を送ることがマナーです。

お礼状マナー

葬儀(法事/法要)に関しては注意が必要で、不幸に対してお礼を述べることは失礼という考え方から、弔事ではお礼状ではなく電話やはがきでお礼を伝えることが多いといわれています。ただし、香典返しを送る場合、四十九日法要が終わったタイミング(忌明け法要後)で、香典返しにお礼状(挨拶状)を添えることがあります。

ビジネスシーンでお世話になったとき

ビジネスの場では、人間関係だけでなく利害が発生する関係性も多いため、相手に対して好印象を与えるお礼状が非常に重要な位置付けになる場合があります。一般的には、取引先や人を紹介してもらったとき、接待や会食を受けたとき、営業訪問で時間を取らせてしまったときなどがお礼状を送る機会だといわれています。

お礼状マナー

また、近年では就職活動でお世話になった人に感謝を示すとともに、他の就活生や同期と差をつけるために、お礼状を用いるケースもあるといいます。代表的な例としては、看護や保育分野で多い実習の後、インターンシップや研修の後、そして、就職の内定通知をもらった後にお礼状を送ることがあるようです。

お礼状マナー

就職活動やインターンなどでは、複数人で対応してくれることが多いため、宛先を複数人にしたメールでのお礼が一般的といわれています。また、手紙は投函してから到着するまでに2~3日ほどかかり、開封の手間もあることから、スピーディーにお礼を示せるメールという手段が、ビジネスシーンでは相応しいと考えられます。

その他のシチュエーション

お礼状を送るシチュエーションは他にも、相手の両親に結婚の挨拶をした後や、両家の顔合わせ後、結納を終えた後など、今後の付き合いを円滑にしたい場面で送ることが良いとされています。さらに、自身が主催する個展や展覧会などのイベントに来てくれた人に対して、感謝を示す意味でもお礼状を用いることがあるようです。

お礼状を送るタイミング

お礼状を送るタイミング(時期)は、基本的にその日のうちか翌日が望ましいとされています。即座に手紙を書くことが困難な場合は、当日中か翌日の早い時間にまず電話かメールでお礼を伝え、遅くても3日~1週間以内にはお礼状を送付しましょう。お礼状が遅れてしまうようであれば、手紙の文中にお詫びの言葉を添えます。

お礼状マナー

ただし、一部のシチュエーションでは、お礼状を送るタイミングに気をつける必要があります。お見舞いや退院祝い(快気祝い)をもらった場面では、自身の体調や生活状況が落ち着いてから、相手を安心させるような内容でお礼状を送りましょう。また、葬儀に参列してくれた人や香典返しを送る人に対しては、忌が明けた後(四十九日法要後)にお礼状を送ることがマナーです。

封筒・便箋・ハガキの選び方

お礼状に関しては、封書(封筒と便箋)を用いることが正式的なマナーです。茶封筒は事務的な用途で使われるため、封筒も便箋も茶色は避け、白色で無地のシンプルなものを選ぶようにしましょう。特に礼儀を尽くしたい場合は、罫線の入った縦書きの便箋を使い、万年筆で手書きの文章にすることが望ましいようです。あらたまったシーンでは二重の封筒も使われますが、二度と重なることがないように不祝儀では使わないことがマナーです。

お礼状マナー

親しい仲であればハガキを用いることも問題ないとされていますが、特に目上の方に対しては、略式的であるハガキでお礼状を送ることはマナーに反するので避けましょう。また、ハガキでお礼状を送る場合は、絵柄の入ったハガキを選んだり、「ハガキにて失礼いたします」などの一言を添えるようにしましょう。

お礼状の書き方

お礼状の書き方としては、万年筆か黒色のボールペンを用いて、手書き(直筆)で書くようにし、縦書きの用紙(便箋)の右から左に向かって、句読点を使わずに謝意を述べることが正式的なマナーです。ただし、相手との関係性によって、横書きにしたり句読点を使ったりしても問題ないでしょう。

お礼状マナー

文章の書き方には決まった形式があり、拝啓などの「頭語」から始まり、敬具などの「結語」で締めます。頭語と結語の間には、時候の挨拶や相手の健康を気遣う「前文」、お礼の言葉やその後の結果・経過を報告する「主文」、結びの挨拶や今後の決意・抱負を述べる「末文」で構成します(あくまでもお礼を伝える手紙であるため、前文は不要という考え方もあります)。

お礼状マナー

通常は、結語の後に日付や差出人名を記す「後付け」を書きますが、ハガキの場合はこれを省略しても良いとされています。また、香典返しのお礼状は一般に不要とされていますが、受け取った報告を一言知らせるのであれば「喜んで」などの言葉は避けて、あくまでもお悔やみの形で伝えるようにしましょう。

① 頭語
一般的な頭語としては、「拝啓はいけい」、「拝呈はいてい」、「啓上けいじょう」がよく使われます。目上の方に対して丁寧な頭語を付けたい場合は、「謹啓きんけい」、「謹呈きんてい」、「恭啓きょうけい」を使います。親しい仲で前文を省略する場合は、「前略ぜんりゃく」、「冠省かんしょう」、「前文お許しください」、「前略失礼いたします」などが使われます。

② 前文
頭語を含む前文では、時候の挨拶、相手の健康を気遣う言葉、ご無沙汰している場合はそのお詫びなどを述べます。ただし、お詫びの手紙では、申し訳ないという気持ちを伝えることが目的となるため、時候の挨拶は書かずに本題に入りましょう。また、お見舞いの手紙では、相手の容態や被害の状況に応じて時候の挨拶は省くようにしましょう。

③ 主文
主文では、いただいたお祝いや品物などに対するお礼の言葉、力添えに対するお礼、結果・経過の報告などについて述べます。書き出しは、「さて」、「ところで」、「このたびは」、「さっそくですが」などの起語を用いて始まり、手紙の目的や用件を簡潔に述べるようにしましょう。

④ 末文
末文には、相手の健康や無事を願う言葉や、用件を総括する言葉など、結びの挨拶を書くようにします。また、特に伝えておきたいことがあるならば、今後の決意や抱負や、今後の支援をお願いする言葉などを入れると良いでしょう。

⑤ 結語
結語は基本的に頭語と対になるため、「拝啓」には「敬具けいぐ」、「拝呈」には「敬白けいはく」、「啓上」には「拝具はいぐ」、「謹啓」には「謹言きんげん」、「謹呈」には「謹白きんぱく」、「恭啓」には「敬白けいはく」を用います。また、前文を省略する場合は、「草々そうそう」や「不一ふいつ」などが使われます。

⑥ 後付け
手紙の最後には、後付けと呼ばれる、手紙を書いた日付、差出人名、宛名(横書きでは頭語の前に書く)を書きます。前述の通り、ハガキの場合は、後付けを省略しても良いとされています。日付について、正式には年月日で書きますが、月日だけでも問題ないとされ、お祝い事の場合は〇月〇日吉日と書くこともあります。

お礼状の例文

■ 開店祝いのお礼
拝啓 ΟΟの候、ΟΟ様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は、弊社をお引き立てを賜り、心よりお礼申し上げます。
 
さて、弊社ОΟ店の開店に際し、立派な胡蝶蘭をお送りいただだきましたこと、厚くお礼申し上げます。当店が、この地に開店できましたのも皆様の暖かい励ましがあったからだと感謝いたしております。このうえは、一層の精進をし、お店を盛り上げてまいる所存ですので、今後ともご厚情を賜りますようお願い申し上げます。

貴社の一層のご繁栄を祈念しましてお礼とご挨拶まで申し上げます。

敬具ProPortal文例集「贈り物 お礼状 文例と書き方」より引用

■ 退院のご報告
前略 先日はお忙しい中、足をお運びくださり、ありがとうございました。ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。日頃不摂生をしているつもりはありませんが、やはり何が起こるかわからないと痛感しております。

体が自由に動かない中、○○様をはじめ皆様からの温かな思いやりが何よりも励みとなり、おかげさまで○月○日に退院できることになりました。しばらくぶりの帰宅ですから、家族ともども嬉しい思いでいっぱいです。早く元気な姿でお会いできるよう、しばらくは静養に努めます。

○○様とご家族の皆様におかれましても、どうかお体に気をつけてお過ごしください。まずは書面にてお礼まで。感謝を込めて。

草々手紙の書き方「くらしの文例(お礼/感謝)」より引用

■ 祝電のお礼状
拝啓 秋たけなわの好季節、皆様にはますますご清祥のことと拝察いたしております。

先日は、私どもの結婚に際し、心温まるご祝電をいただきまして、誠にありがとうございました。○○様から頂戴した温かいお言葉を胸に、笑い溢れる幸せな家庭を築いていく所存でございます。

至らぬ私どもではございますが、今後ともご指導ご助言の程、お願い申し上げます。まずは書中にて、御礼とご挨拶を申し上げます。

敬具手紙の書き方大事典「結婚祝いのお礼状」より引用

■ 営業先へのお礼
拝啓 昨日はご多忙中にもかかわらずお時間を頂戴し、ありがとうございました。

お話をお伺いできたおかげで、貴社の現状や加藤様のお考えを私なりに掴むことができました。次回お目にかかる際には、お役にたてるご提案を持参したいと思っています。

まずは、お礼を申し上げたくお便りいたしました。 どうか今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

敬具ビジネスマナーと基礎知識「お礼のはがき」より引用

封筒の表書きと裏書き

和封筒の場合、封筒の表面(表書き)には、上部の赤枠内(郵便番号枠)に郵便番号、右側に相手の住所(宛先)、中央に相手の氏名(宛名)を書き、左上に切手を貼ります。宛名は、郵便番号の最初の3桁を書く幅内に収めるようにし、宛先は宛名よりも小さめの文字で、一行に収まりきらないようであればキリの良いところで改行して書きます。

お礼状マナー

和封筒の裏面(裏書き)には、自分の住所、自分の氏名、日付を書きます。センターラインがある場合、その線より右側に住所、左側に氏名を書くことが正式なマナーです(住所よりも氏名を少し大きく書く)。ただし、裏面にも郵便番号を書く枠が印刷されている場合など、近年では左側に住所と氏名を並べて書くことも多くなってきています。裏面の左上には漢数字で日付を書きましょう。

便箋の折り方と封筒への入れ方

和封筒に手紙(便箋)を入れるとき、便箋の折り方は三つ折りが基本であり、入りきらないときには四つ折りにします。三つ折りの折り方は、縦書きの用紙であれば、先に下側の1/3を折り上げてから、上側の1/3を折り下げます。四つ折りの場合は、先に下側の1/2を折り上げてから、もう一度下側の1/2を折り上げます。

お礼状マナー

封筒に入れるときは、封筒の裏から見て、手紙の書き出し(☆)が右上にくるように封入して、のり付けします。封締めには、「〆」が一般的で、お祝い事には「寿」や「賀」も使われます。「〆」を使うときは、「×(バツ)」に見えないように気をつけましょう。

お礼状マナー

三つ折りの仕方は、様々な方法が知られていますが、ほとんどの方法で正確には1/3とならないことに注意してください。ぴったり1/3にしたい場合は、A4用紙であれば縦の長さが297mmであることから、定規などで99mmのところに印をつけて折り込む方法を取りましょう。

お礼状マナー

意外と知られていない「お礼状」というお礼の手段は、温かみのある手紙だからこそ感謝の気持ちがより伝わり、他者とも差がつく優れたツールです。この機会に是非ともお礼状を活用して、素晴らしい人間関係を築いてみてください。

お礼状マナー

これからも、贈答マナーに関する、皆様の疑問を解決していきます。「これってどうすればいいの?」という疑問も大募集していますので、ご遠慮なくお問い合わせフォームからご連絡ください。

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