自由が丘や代官山など、お洒落な街が連なる東急東横線の沿線にある「学芸大学駅」。駅名の「学芸大学」は、この地に東京学芸大学があったことに由来し、1964年に小金井市へ移転したあとも名残を残しています。
メインストリームから一線を画した独自の発展を遂げ、オリジナリティの溢れるショップが邸宅街に馴染む学芸大学駅には、本格コーヒーが人気のカフェや厳選された食料品を取り揃えたショップなど、こだわり派の人におすすめしたいお店がたくさんあります。
© OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA
今回の街歩きの中心的なテーマは「カフェ巡り」。また、最近筆者が家での生活スタイルを見直していることもあり、道中では「おうちで楽しめる美味しいもの」も探してみます。11時ごろにオープンするショップが多いため、少し早めの10時半から学芸大学駅に降り立ち、目当てのカフェへと向かいます。
目次
① 学大市場
まずは学芸大学駅の西口から「公園通り」に沿って歩きます。ほんの1分ほど歩くと「学大市場(がくだいいちば)」が見えてきます。こちらは高架下を活用したスペースにカフェやレストラン、デリカなどが連なったマーケットになっています。
2021年からスタートした高架下のリニューアルプロジェクト「GAKUDAI KOUKASHITA」によってリニューアルされた学大市場をはじめとして、2024年春にはコワーキングスペースやギャラリーを備えたエリア、カルチャーショップ、飲食店を集めたエリアなどがオープン予定。
高架下の商業施設がさらにグレードアップして豊かな空間に変わっていきそうです。駅前で立地もよく、ふらりと立ち寄りやすい施設になりそうだと感じます。
② マッターホーン
カフェに向かう途中で見つけたレトロな洋菓子店「マッターホーン」。年季を感じるエントランスと可愛らしいショーウィンドウに惹かれ、引き込まれるように入店します。
昔ながらのプティガトーやアントルメ、焼き菓子など、たくさんの洋菓子が並んでいます(喫茶も併設しています)。手土産やギフト、もちろんティータイムにも、胸を躍らせるお菓子はいかがでしょう。つい立ち寄りたくなる魔性の洋菓子店を見つけてしまいました。
③ WR.(ダブリューアール)
公園通りから一旦それて邸宅街を3分ほど歩くと、ひっそりとした雰囲気に佇む看板を目印に「WR.(ダブリューアール)」が見つかります。スペシャリティコーヒーやクラフトビールに力を入れているカフェです。
平日10時40分頃の入店で、パソコン作業をする人やコーヒータイムを楽しむ人など、落ち着いた雰囲気です。また、店員さんと常連さんが交わす言葉は軽やかで居心地の良さが感じられます。
コンクリートの素材感が活かされた内装にシンプルなウッドインテリアを設えた店内は清潔感があり、大きな窓から取り込まれた自然光で照らされています。ドリンクはコーヒー・ラテ系・クラフトビール、フードはスコーン・バナナブレッドなどが選べます。こだわりのコーヒー豆は厳選された産地から取り寄せた個性が光るシングルオリジンで、浅めに焙煎することでスッキリと飲みやすく仕上げているそう。
店員さんに丁寧に説明していただいた中から悩んだ末、一日の始まりの一杯にケニアコーヒーとバナナブレッドを注文。苦みの少ないアッサリした味わいと、トマトに似たフルーティな酸味を持つケニアコーヒー。そして甘すぎず食べやすいバナナブレッドで、街歩きをするためのエネルギーをチャージ。WR. は8時半からオープンしているので、出勤前の朝カフェにも利用できます。
④ Chè 333(チェー・バーバーバー)
東急東横線を南北に跨ぐ「碑文谷公園通り」には、お洒落で目を引くショップが並んでいます。中でも事前に調べていて気になったお店が、ベトナム雑貨と料理の「Chè 333(チェー バーバーバー)」。入口すぐにカウンター3席ほどのイートインスペースがあり、アパレルやベトナム雑貨がズラリと並んでいます。
筆者が特に見たかったものが、バッチャン焼き。その色彩や主に蓮が描かれる花柄は、異国情緒に溢れた魅力があります。Che 333 は定番のバッチャン焼きに加えて、ヴィンテージものやソンべ焼きを実際に手に取って選べる数少ないショップ。期待以上のお買い物ができること間違いありません。ベトナムが好きな方、興味がある方はぜひ訪ねてください。
⑤ GOOD FORTUNE FACTORY
碑文谷公園通りの突き当たりを学芸大学駅の方面に曲がると、可愛らしいショップ「GOOD FORTUNE FACTORY」が見つかります。ワインとそれにピッタリなおつまみが豊富に揃っていて、甘いものはドライフルーツやナッツを使ったフィグロク、しょっぱいものはサラミやテリーヌなど、レパートリーが幅広いうえに興味を引かれるものばかり。
ここではどの商品を選んだとしても、自宅用にもホームパーティーの手土産にも間違いなしの安心感があります。さらに、ピクルスやジャムなど好きな組み合わせで贈れるギフトボックスが用意されているので、きちんとしたい時の贈り物でも活躍しそうです。
ちなみに、街歩き前に掲げた「おうちで楽しめる美味しいもの」の第一弾として、イチジクやレーズン、ナッツなどを混ぜ固めた「フィグロク・プレーン」と「豚肉のリエット」をゲットしました。おつまみについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
⑥ Euro Art(ユーロアール)
東急東横線の線路と並走する鮫洲大山線を歩きます。五本木の交差点まで行くとヨーロッパ各国のチーズが集まるチーズ専門店「Euro Art(ユーロアール)」があります。扉を開けると、もわんと漂うチーズの複雑な香りが鼻を刺激します。ショーケースにはフランス・イタリア・スイス・オランダ・スペインなど、たくさんのチーズが並びワクワク。
とはいえ、チーズ初心者な私。癖が強いものはハードルが高いので店主さんに相談すると「好みに合いそうなもの」だったり、「どの国の・どの地方で・どの動物から」など、丁寧に教えてくれました。持ち歩き時間や好みからソフトの「ルブロション」、ハードの「マンチェゴ・ビエホ」をチョイス。
「初心者といっても個人の好みであって、3歳の子供がブルーチーズを食べたくてショーケースに張り付いて離れない事があるくらいですよ」という店主さんの言葉で気楽に選ぶことができました。
「説明書きを写真に撮っていきますか?」と、写真映えするセッティングをしていただきました!なんともサービス精神旺盛の店主さんに楽しませてもらい、「おうちで楽しめる美味しいもの」第二弾は、少し冒険したチーズとなりました。
⑦ Bubbles Chill(バブルズチル)
時刻は12時半。本日2軒目のカフェにてランチをいただきます。ユーロアールからほんの1分ほど、五本木の通りに面したところにガラス張りの建物「Bubbles Chill(バブルズチル)」があります。グレー調のシンプルなインテリアが落ち着いた雰囲気を漂わせ、リフレッシュに、デスクワークに、いろいろな過ごし方ができそうです。
ランチはホットドッグやサバサンドなど、数種類とのドリンクセットが選べ、その中からサバサンドとカフェラテのセットをオーダーして2階席へ向かいます。2階は一面がガラス張りになっているため見晴らし良好、先にカフェラテをいただきながらサバサンドを待ちます。
運ばれてきたサバサンドは、ハーブやスパイスと一緒にカリッと焼き上げられてくどくなく満足感があります。カフェラテとの相性も抜群です。ここではデザートにチーズケーキや、「目黒ひいらぎ」のあんこを使ったどら焼き、あんバターなどもいただけるので、朝は9時からモーニングに、昼にはランチやティータイム、19時からはカフェバーに、一日中楽しめるカフェになっています。
⑧ BOOK AND SONS
街歩きは後半戦、駅の東側を散策します。まず訪れたのは住宅街にひっそりと佇む「BOOK AND SONS」。タイポグラフィーを中心にグラフィックデザイン関連の書籍を扱う古本屋で、マニアックかつ貴重な本が洗練された空間に並べられています。
デザインを学ぶ人、ただ興味がある人、気軽に入店してじっくりと本を選び、立ち読みすることができるこの本屋さんで造詣を深めるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
⑨ Hummingbird coffee
本日3件目のカフェは、これまでのスタイリッシュなものとは趣を変えてアンティークに浸ります。隠れ家のようにひっそりとした入り口は地図が頼り。扉をくぐれば店内を上品なアンティーク、そしてまろやかな陽光と音楽が満たし、読書・閑話など穏やかに過ぎていく時間を楽しむことができます。おすすめのメニューは、こだわりのコーヒーや季節で変わるレアチーズケーキ。
黒ごまレアチーズケーキとジンジャエールをいただきます。黒ごまの風味が引き立ち、滑らかな口触りのチーズケーキは是非食べて欲しい一品。静かに、ゆったりと流れる時間がたまらなく幸せに感じられ、ジンジャエールの泡がキラキラと輝くのをいつまでも眺めていられます。流れる音楽、お湯を沸かす音、コーヒーを淹れる音ひとつひとつが心を落ち着けます。1人になりたいとき、心を落ち着けたいとき、訪れて欲しいカフェです。
⑩ 写真屋「monogram」
駅の方面へ戻り、東口周辺を巡ります。写真屋「monogram」は、フィルム現像やプリント、フィルムカメラ向けのカメラグッズを販売しています。レトロな雰囲気を出すことができるフィルムカメラは人気上昇中。フィルムカメラを持っていなくても、ショップを訪れると興味をそそられますね。
⑪ yuyujin 釉遊人
monogramの向かいにある「yuyujin 釉遊人」は、土ものやガラスの器を扱う食器屋さん。いくつもの窯や作家さんの器が揃っていて、いろいろな器を比べて、手作りの温かみがあるものを選びたい方におすすめです。
⑫ WOODBERRY COFFEE
学芸大学駅の東口から続く「学芸大学東口商店街」は、この街に暮らす人にとってのビッグマーケット。スーパーや薬局、飲食店が集まって老若男女問わず訪れて賑わいを見せています。
15時頃に本日のカフェ巡りを締めくくるべく「WOODBERRY COFFEE」を訪れました。駅からのアクセスが良いうえ、ティータイムだったため残念ながら満席。この日はお天気も良かったのでテラス席で団らんを楽しむ学生さんの姿がありました。産地で直接買い付けたダイレクトトレードのコーヒーをはじめ、サンドやベジタリアン向けのフードメニューもあるためランチにも利用できます。商店街の賑わいを感じつつ、待ち合わせにもちょうど良い立地で美味しいコーヒーがいただけます。
⑬ Mercatino(メルカティーノ)
WOODBERRY COFFEのすぐ、目黒区を中心にサービスを展開する、マルシェ&デリカの「Mercatino(メルカティーノ)」でディナー用のデリカを購入していきます。イタリアのメルカート[市場]をモチーフに、新鮮な野菜・デリカ・食材・ワインなどを揃え、店内奥に目的のデリカが並びます。7種類から選べるお肉中心のメインディッシュと、いくつかの副菜には、どれもお値段以上のボリュームに色とりどりの野菜が使われていて足しげく通って全メニューを制覇したいほど。
「おうちで楽しめる美味しいもの」の締めくくりは「ローストポークとグリル野菜」と「きのこマリネ」。満足感とバランスのいい食事がとってもお得にいただけるメルカティーノで、ご褒美ディナーはいかがですか?
- おわりに
学芸大学で巡った4件のカフェは、どちらも自信をもってお勧めできる場所ばかり。お散歩したい方、気分を変えたい方、気になるカフェを見つける参考にしていただけると嬉しいです。
また、この日のディナーは学芸大学の選りすぐりが集まり大変賑やかに。GOOD FORTUNE FACTORY、ユーロアール、メルカティーノで購入した「おうちで楽しめる美味しいもの」は、ワインに合う美味しいものになりました。カフェ好きさん、ワイン好きさん、今週末は学芸大学駅へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
システムエンジニアからフリーランスへ転身。趣味はアンティーク集めやギター演奏、お茶(紅茶・中国茶・茶道)、金継ぎ、オイルランプ集めなど多岐にわたる。中国茶エキスパート”シニア”の資格を持ち、インドアライフを追求している。