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山田平安堂(やまだへいあんどう)代官山本店|宮内庁御用達の漆器専門店

山田平安堂(やまだへいあんどう)代官山本店|宮内庁御用達の漆器専門店

この記事は、2023年3月17日時点の情報です。

漆の放つ光沢感と雅やかな佇まいが至高の品格を漂わせる「漆器」。古くは位の高い人物が用いる器として重宝され、現代においても趣のある美しさが世界で認められる日本の伝統工芸品のひとつとして数えられます。

山田平安堂

しかしながら美しさのあまり高級なイメージが先行し、存在を認めつつも日常生活に取り入れられない人は多いはず。たしかに手頃な食器が出まわる中では少なからず値が張る漆器ですが、桁違いの値段ではないうえに取り扱いも簡単。自宅で過ごす時間を大切にする人であれば、テーブルウェア・コレクションに取り入れない手はないでしょう。

山田平安堂

今回はそんな漆器を身近に感じることのできる漆器専門店「山田平安堂」の代官山本店をご紹介します。東急東横線の代官山駅から徒歩3分、代官山ヒルサイドテラスG棟の2階に、風格とともにエレガントな雰囲気をまとうスペシャリティストアが佇みます。足を踏み入れた瞬間から漆器の数々に魅了される、特別なひと時を味わってみてくださいね。

漆器専門店、山田平安堂のブランドコンセプト

山田平安堂山田平安堂の4代目当主・山田健太氏

山田平安堂は「漆器を通じてライフスタイルを豊かにする」ことをコンセプトに掲げる漆器専門店です。全盛期に比べるとシュリンクしつつある漆器市場ですが、それは漆器の魅力が衰退したわけではなく「時代に合わせた漆器の提案をしなかった結果」だと考える山田平安堂の代表・山田健太氏。現代のライフスタイルの中でも「活きる漆器づくり」を心掛け、漆器が旧来のように身近なものとなる努力を重ねています。

山田平安堂

実際のところ食器として活用されることの多い漆器ですが、それだけにこだわらずインテリアやアクセサリーなど様々な生活の中で、「いかに漆が美しく活きるか」を考え商品づくりをしていると山田氏は話します。山田平安堂の店舗には、結婚祝いなどお祝い事のギフトだけでなく、自宅用に暮らしの道具を充実させるため訪問するお客様も多いと言います。

1919年にはじまる山田平安堂の創業ストーリー

山田平安堂創業者・山田孝之助氏と戦前の平安堂

山田平安堂は、京都の漆器屋で修業を積んでいた初代・山田孝之助氏がその雅やかな漆器に魅了され、1919年(大正8年)日本橋にて創業したことにはじまります。社名に「平安」という京都にちなんだ名称を取り入れ、当時は実用的で無骨な漆器が多かった東京で煌びやかな京漆器を販売しました。今回インタビューに応じてくださった山田健太氏は、4代目の当主にあたります。

宮内庁や各国の大使館でも取り扱われる漆器

山田平安堂

山田平安堂は、宮内庁が宮内省と呼ばれていた時代から漆器を納める「宮内庁御用達」の業者として認められています。また、外務省や各国の大使館にも漆器を収める役割も担っていると言います。会津塗・山中塗・輪島塗に代表されるように、漆器には数々の産地や塗り技法がある中で、山田平安堂が選ばれる理由は何なのでしょうか。

山田平安堂

山田氏は、当時選ばれた理由は分かっていないとしながらも「値付けと品質とのバランスが問われることかと思います。世界各国の方々に誇れるような高品質を担保しながら手に取りやすい価格帯に努めています」と言います。日本の伝統を担う漆器屋としての誇りを持ち、使う人々の気持ちを考えて商品を納めることで100年もの信頼を得てきたのでしょう。

新たな取り組みにより漆器がもつ魅力を普及

山田平安堂GODIVA・Chopardとのコラボレーション

山田平安堂には「常に新しいことに取り組む」というDNAが創業当時から流れていると話す山田氏。世界屈指のハイジュエリーブランド「Chopard(ショパール)」や、国際的なチョコレートメーカー「GODIVA(ゴディバ)」をはじめとする多種多彩なブランドとのタイアップにも意欲的に取り組みます。

山田平安堂Stolzle Lausitz・SWAROVSKIとのコラボレーション

ジャンルの垣根を超えたコラボレーションを通じて、漆器に馴染みのなかった世代や国々の人達にも魅力を発信しつづけることで、漆器業界のリーディングカンパニーとして発展を遂げてきました。これはどの企業にも出来得ることではなく、山田平安堂のチャレンジスピリッツが正しく機能していることを証明しているのだと感じます。

山田平安堂He & Bar(Heiando Bar)

また、「漆の美しさを、五感を通じて体験していただきたい」という想いをもち、漆の質感を活かした空間コーディネートにも精力的に取り組んでいるのだそうです。その一環として、漆塗りのバーカウンターなど店内の随所に漆を施したオーセンティックバー「He & Bar(Heiando Bar)」を運営しています。

山田平安堂

漆でしか表現することのできない重厚感と粋が詰まったバーの店内は、まさに唯一無二の空間。六本木という土地柄、日本に訪れた外国人のお客様にも思い出として残ります。フードやドリンクの器として漆器が光芒を放ち、記念日など大切な人と過ごすひと時も贅沢に彩ってくれることでしょう。

伝統工芸品である漆器を、後世に残すために

山田平安堂ウルシの木と葉

使い手だけでなく、漆職人や原材料の減少傾向にも悩みを抱える漆産業。漆は国内で使われている約98%を中国産の輸入品で賄っていたり、器となる木材でさえ林業の衰退も相まって入手困難な状況が続いていると言います。たしかに私たちがよく目にするテーブルウェアは、安価なプラスチックや陶器のものが中心的な存在になっています。

山田平安堂

また、高齢化した漆職人の引退や廃業によって伝統技術が失われ、つくれる漆器の種類が減ってきているという現実は、今も歯止めがかかりません。このような憂うべき事態を受けて、山田平安堂では自社工場において職人の育成や技術継承にも力を入れています。その取り組みによって、高度な技術を要する商品を維持・継承したり、今の代で復刻したデザインもあるそうです。

山田平安堂(代官山)のモダンで開放的な雰囲気

山田平安堂

先代によって30年前に造られたという山田平安堂の代官山本店。重々しい雰囲気の漆器屋が多かった当時では画期的な、イタリア製什器で統一された開放的な空間設計が特徴的です。漆器専門店として100年続く先人達の伝統と技術を大切に受け継ぎながら、現代のライフスタイルに合う漆器や、オリジナリティに富んだ新しい漆器を提案しています。

敷居の高い漆器を「身近に感じる」店づくり

山田平安堂

特に若い世代にとってハードルが高く感じられる漆器を、よりカジュアルに感じてもらえるような、山田平安堂ならではの心配りがあります。スタッフが専用スーツを着用していると、お客様にも緊張感を与えるような張り詰めた空気になると考え、スタッフの服装をあえて普段着スタイルにしているのです。

山田平安堂

「ハレの日(特別な日)」も「ケの日(日常の生活)」も、さまざまな用途の漆器が揃えられているため、「気楽に立ち寄って、気楽に触れて、気楽にお声掛けいただける空気感を大切にしている」と言います。山田氏の話に耳を傾けていると、厳然たる漆器のイメージが、少しずつ物柔らかな親近感へと変わっていくように感じます。

四季折々の風景を感じさせるディスプレイ

山田平安堂

山田平安堂の店内ディスプレイは、季節に応じて展示内容が変わります。今回のインタビュー取材は2月の中ほどということもあり、桃の節句に合わせた雛人形が飾られます。漆の艶や煌びやかな金箔が雛人形を引き立て、華々しいひな祭りを演出しているかのよう。移りゆく季節を表現した展示も、山田平安堂の最たる魅力のひとつです。

漆器のある生活を想起させるような工夫

山田平安堂

漆器と聞けば、正月の風物詩であるおせち料理の重箱や、生後100日を記念したお食い初めの食器など、和食のお祝い膳に用いられるイメージがありますよね。山田平安堂では、もっとカジュアルに日常生活に寄りそうパートナーとして捉えてほしいという想いから、器を活かした家庭料理のレシピカードを商品の傍らに置く工夫がされています。

山田平安堂

レシピには、野菜のグリルやサラダなど手軽なものから、バターチキンカレーや油淋鶏など挑戦しがいのある多国籍グルメなどもあり、使用シーンを想起させるとともに、もっと自由に漆器を楽しんで良いのだと感じさせてくれます。特に黒塗りや赤塗りの漆器は、クリーム系など乳白色の料理が見事に映え、センスを感じさせる一品へと格上げすることでしょう。

山田平安堂で気になった漆塗りのアイテム3選

山田平安堂

800アイテムほどの漆アイテムが常に展示される山田平安堂の代官山本店。お椀・お盆・小鉢・サラダボウル・重箱・プレート・酒器などを筆頭に、花生や写真立てなどのインテリア、文箱や万年筆などのステーショナリー、箸や箸置きなどのカトラリー類など、そのラインナップは多彩を極めます。ここでは、その中でも筆者が特に気になった漆アイテムをご紹介します。

No.1 – 丸皿(花園/牡丹唐草)

山田平安堂丸皿 牡丹唐草

一家に一枚欲しいと筆者が秘めやかに狙っている漆器が、職人が一筆ずつ描いた草花に心和まされる直径25.5cmの『丸皿(花園/牡丹唐草)』。漆塗りでありながら洋食器のようなテイストさえ感じられ、サンドイッチやオードブルのプレートとして使っても相性が良さそうです。

山田平安堂

牡丹の花を唐草模様のように描いた『牡丹唐草』は、お正月やクリスマスにグリルした丸鶏をのせて食卓の中心的存在に据えたいプレート。黒漆のラウンドプレートに四季折々の植物を描いた『花園』は、鮮やかな草花の装飾が漆に映える美しい一皿です。どちらも名入れ可能なので、結婚祝いや稀有な贈答シーンにもピッタリです。

No.2 – みつ飴シリーズ

山田平安堂取鉢 みつ飴 よもぎ/みたらし/ニッキ

てろりとした質感が魅力の『みつ飴』シリーズは、風格ある漆のイメージから一転して瑞々しくも可愛らしさを感じるライン。「伝統の技法を生かしながら、漆器の新たな表情を楽しめる器を」という職人の想いが込められたアイデア商品だと言います。

山田平安堂

明るい色で彩色し、その上から透き色を重ねることで独特な艶が生まれます。深い透明感が魅力的な『よもぎ』、とろけそうな質感が際立つ『みたらし』、パッと目を惹く鮮やかな『ニッキ』など、どことなく懐かしさを感じるような色合いにも心が和みます。

山田平安堂みつ飴シリーズ

ぜんざいやあんみつの盛り付けに相応しい『取鉢』、上生菓子やお団子を置き提供したくなる『菊皿』や『小判皿』、アイスクリームやかき氷を上品に魅せることができる『サラダボウル(小)』など器の形も様々なので、それぞれの人が思い描く「おうち和カフェ」を実現してみてはいかがでしょう。

No.3 – ラペルピン

山田平安堂ラペルピン 梅結び

スーツやジャケットの襟元に開いている小穴(フラワーホール)に差し込むアクセサリー『ラペルピン』は、ネクタイだけでは物足りない首周りのお洒落な遊び心を演出することができるファッションアイテムです。

山田平安堂

家内安全・厄除けなどの意味をもつ『だるま』や、幸福を招く『千鳥』など、日本の縁起物をモチーフにしているので、お祝い事のパーティシーンや海外の方とのミーティングでも目を惹き話題となって活躍しそうです。天然木を使用し、蒔絵や漆絵の技法で作られているため、長寿祝いや退職祝いにもふさわしい贈り物となるでしょう。

4代目当主が考える、山田平安堂の魅力とは

山田平安堂

山田平安堂が取り扱う漆器について「購入の決め手となる “緊急性” には欠ける」と笑みを交えて語る山田氏。だからこそ「親元をはなれ新生活を始めるタイミングや大切な人のお祝いシーンなど、”重要性” のあるライフステージで漆器を思いだして欲しい」と続けます。

山田平安堂

「子供が生まれたから、手との馴染みが良く、使うほどに深みが増すような漆器を買ってみよう」とか「お世話になった上司が退職するから、記念品としてカタチに残る一級品を選んでみよう」など。「ライフステージの節目でふと思い浮かぶようなブランドとして認知され、長い人生の中でも特別思い入れのある一品になれたらと思います(山田氏)」。

山田平安堂

家庭にあるすべての食器を漆器で揃えることは難しいことですが、「お膳・椀・箸など日本人の食生活の中心に据わる食器を漆器で揃える人が増えたなら嬉しい」と表情を緩める山田氏。漆器のイメージが一変した筆者としては、椀や箸だけにとどまらず、もっと自由に、もっと生活に寄りそった使い方を心掛けてみると、暮らしが豊かになるのではと考えを巡らせるようになりました。

食卓や居住空間に優美な品格をそえる漆アイテム

コロナ禍には、記念品など「祝賀用商品」の売れ行きが芳しくなかった一方で、自宅で食事を楽しむために「家庭用食器」が見直され伸張したと言います。最盛期を過ぎたとはいえ、いつの時代も漆塗の器には特別感を抱くもの。食卓や居住空間に優美な品格をそえる漆アイテムを、大切な人やご自身に贈ってみてはいかがでしょう。

山田平安堂

漆器のさまざまな使い道や使い心地を感じることのできる「山田平安堂(代官山本店)」は、老舗でありながら若い世代でも入りやすい親近感を覚えます。代官山はお洒落なブティックやカフェなどが軒を連ね、一息つける商業施設が居並ぶプロムナードエリア。散歩やデートの合間をぬって山田平安堂を訪れてみてくださいね。

ショップの詳しい情報

店名山田平安堂 代官山本店
住所〒150-0033
東京都渋谷区猿楽町18-12 ヒルサイドテラスG棟 2F
営業時間[平日・土曜]10:30 ~ 19:00
[日曜・祝日]10:30 ~ 18:30
休業日無休(年末年始・盆休みあり)
最寄駅東急東横線「代官山駅」から徒歩3、4分
地下鉄日比谷線「恵比寿駅」から徒歩10分
JR「恵比寿駅(西口改札口)」から徒歩15分
渋谷駅から東急トランセ(バス)でヒルサイドテラス前下車
電話番号03-3464-5541
ホームページhttps://www.yamada-heiando.jp/
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河野 ひろこ

河野 ひろこ

ギフトコンシェルジュ/コンテンツライター/縁起物アドバイザー。看護師時代に培ったホスピタリティを活かし、贈り相手の「人となり」を想像したプレゼントの見立てを得意とする。子育てに奮闘しながらも、週に1回以上の東京まち歩きとショップ巡りがライフワーク。

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