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贈答マナー

お歳暮マナーは奥が深い?熨斗・お返し・喪中対応の要点をつかむ

お歳暮マナーは奥が深い?熨斗・お返し・喪中対応の要点をつかむ

暑かった夏の時期が過ぎ去り、木々の色付きとともに肌寒い秋の風を感じるようになると、今年一年の終わりを意識せずにはいられませんよね。年末年始はイベントが盛り沢山。ギフトシーンにおいても、重要な伝統文化のひとつ「お歳暮」の季節が訪れます。

お歳暮のマナー

日頃から何かとお世話になっている家族や上司・取引先、そして、いつも心にかけていながらご無沙汰をしている友人・知人に対して、一年の感謝の気持ちを込めた「お歳暮」を贈ってみませんか? 直前で焦ることのないよう、早い時期からお歳暮ギフトを意識することで、暮れの締めくくりをそつなくこなしましょう。

お歳暮の意味・由来とは?

お歳暮とは、一年間お世話になった家族や上司・取引先・友人・知人に対して、年末の時期に暮れの挨拶をするとともに、今年一年の感謝の気持ちを込めてギフトを贈る、日本独自の贈答習慣を意味します。

お歳暮の意味

もともとお歳暮は、古代中国の道教の「三元思想」に由来するといわれています。旧暦の1月15日を「上元」、7月15日を「中元」、10月15日を「下元」と呼び、それぞれを神様の誕生した日としてお供えする行事がかつてよりありました。ちょうど上元の時期は、お正月に先祖の霊を迎える「御霊祭」という日本古来の習慣の時期と重なり、これが現代に通ずるお歳暮の由来になったそうです。

お歳暮の由来

お歳暮の贈答習慣が社会的に一般化された経緯は、江戸時代にまでさかのぼります。この頃は、武士や商人が組合長や取引相手に対して、暮れの時期に感謝の気持ちを込めた贈り物を持参して回る「歳暮回り( “歳暮” は “年の暮れ” の意)」という行事があり、次第にこの贈り物自体を「お歳暮」と意味するようになったという説が有力視されています。

お歳暮を贈る時期はいつからいつまで?

お歳暮を贈る時期は、11月下旬から12月20日前後までが一般的で、遅くとも12月28日までには贈ることが社会的なマナーとされています。関西地方では昔からの慣習が根強く、お歳暮の時期は12月13日から20日までの短い期間で贈ることが多いようです。

日本古来の習わしでは、12月13日から20日にかけて行なわれる「すす払い」という新年を迎える準備の時期に、お歳暮を贈ることが元々のマナーとされていました。しかし、すす払いの文化は年月とともに薄れていきます。また、年末の繁忙期を外すという心配りからも、近年ではお歳暮の時期が次第に前倒しとなり、11月下旬に贈ることも認められるようになってきました。

お歳暮を贈る時期

では、いつまでにお歳暮を贈ればよいかというと、年末ぎりぎりでは帰省や年越しの準備で忙しくなるため、クリスマスが過ぎた12月28日までが時期の目安だといわれています(出来れば12月20日前後の時期が望ましい)。このタイミングに間に合わなかった場合、新年が明けた1月15日までは「御年賀」、1月15日を過ぎたら「寒中見舞い」として贈ることがマナーとなっています。

お歳暮のタイミングを逃したら

また、お歳暮の時期には地域差があるということを、念頭に入れておきましょう。関東地方(東日本)では、前述のように11月下旬~12月28日、関西地方(西日本)では、昔からの慣習を守る傾向が強いため、12月13日~20日前後の時期にお歳暮を贈ることがマナーです。いつまでにお歳暮を贈らなければならないのか、相手の住んでいる地域を確認して、適切な時期に贈ることを心掛けましょう。

同じようで違う、お中元とお歳暮の違い

日本では「お歳暮」によく似た習慣として「お中元」という贈答文化がありますが、その違いはルーツによるものだといわれています。お歳暮は先祖の霊を迎える「御霊祭」が起源とされ、お中元は仏教行事の「盂蘭盆会うらぼんえ」という死者の罪をつぐない、その苦しみを除くための供養が始まりとされています。

お中元とお歳暮の違い

ただし、社会的概念として次第に定着した意味合いは、どちらも日頃の感謝の気持ちを込めた贈り物のイベントということになっています。つまり、現代においては、お盆の「お中元」と年末の「お歳暮」といった時期の違いのみであり、根本的な違いは意識する必要はないと考えられています。

時期の違い

お中元とお歳暮は、セットという訳ではないため、必ず2つとも贈らなければならないという決まりはありません。どちらか1回で済ませる場合には、一年の締めくくりとして重視される年末時期の「お歳暮」だけを採用する傾向が強いようです。

お歳暮の贈り物

また、数年間にわたってお中元やお歳暮を贈り続けていて、そろそろやめたいと思った経験はないでしょうか。そんなときは、お中元をやめてお歳暮だけにしたり、品物の金額を抑えたり、年末の挨拶状だけにしていくなど、徐々に負担を軽くしていきましょう。

大人なら知っておきたい、お歳暮のマナー

お歳暮は、日頃の感謝を示すささやかな贈り物であると同時に、日本的な文化の中でも特に伝統的でフォーマルな贈答習慣でもあります。旧知の仲であっても正しいマナーに則って礼儀を尽くすことで、相手に対しての心遣いがより伝わるはずです。

お歳暮のマナー

お歳暮ギフトを贈る際は、相手の職業についても注意が必要です。特に利害関係が生じる場合、例えば政治家・公務員・学校教員に対しては、お歳暮などの品物の贈与は禁止されています。また、会社として禁止されている場合もあるため、必要に応じて確認を取るようにしましょう。

意外と知らない、熨斗(のし)のこと

お歳暮ギフトを手渡しする場合は、包装紙で品物を包んでから、外熨斗そとのしを付けます。郵送の場合は、品物の箱に内熨斗うちのしを付けて、その上から包装紙で包みます。近年では、簡易のしと呼ばれる短冊タイプののしが多くなってきています。

お歳暮の熨斗

熨斗は、アワビなどの生モノの代用品として付け始めた経緯があるため、魚介類を贈る場合は熨斗を付けず、水引きだけの掛け紙を付けるのがマナーです。水引きは、一般慶事用を意味する紅白(金銀)の五本一組で蝶結びのものにしましょう。

品物を持参するときの正しい渡し方

相手の自宅や事務所にお歳暮の品物を持参する場合には、風呂敷などで品物を包むのが正式なマナーです。渡すときに風呂敷包みを解き、相手からみて熨斗が正面から読めるように渡します。簡易的に紙袋で持参することもありますが、この場合も渡すときに必ず紙袋から品物を出しましょう。

品物の渡し方

手渡しの場合、原則的には訪問しても良い日時をあらかじめ相手に聞いておき、早朝や食事時を避けます。急な訪問になってしまった場合は、玄関先で品物を渡し、すぐに失礼するのがマナーです。相手が喪中でもお歳暮を贈ることに問題はありませんが、初七日が終わらないうちや、法要の日は避けましょう。

品物を贈る前に確認、送り状のマナー

お歳暮という贈答習慣は、送り主が品物を持参して挨拶を述べるのが本来のマナーであるため、宅配(郵送)の場合には送り状と呼ばれる手紙を添えます。送り状は、品物よりも2~3日前に相手に届くようにすることが望ましいですが、親しい間柄であれば事前にメールや電話で贈ることを伝えて、品物に簡易的なメッセージを同封するだけでも問題ありません。

送り状マナー

ただし、手紙やハガキなどは郵便法で信書に該当し、宅配業者は信書を扱うことはできないため、宅配便に手紙を同封して送ることは法令として禁止されています。宅配便で品物を送る場合は、手紙を別に普通郵便で送る必要があるということに注意しましょう。

お歳暮のお返しはどうするべきか?

日本の伝統的な贈答習慣において、お祝いをもらったときには必ず「お礼(お返し)」をするというのが一般的なマナーとなります。ただし、お歳暮はそれ自体が普段のお礼という意味合いがあり、お祝いの贈り物ではないため、お歳暮に対するお返しは原則的に必要ありません。

お歳暮のお返し

したがって、お歳暮ギフトをもらったらお返しを贈るのではなく、電話かメールでの簡易的なお礼にとどめるようにしましょう。ただし、付き合いの関係性でどうしてもお歳暮のお返しを贈りたい場合、お歳暮の時期を過ぎてから「お年賀」や「寒中見舞い」といった別の贈り物の形をとることがあります。

相手が喪中期間のときの対応

喪中期間の人であってもお歳暮を贈りたいとき、マナーとしては問題ないか悩むところですよね。一般的に、お歳暮は日頃からお世話になっている方への感謝の気持ちであるため、お祝い事ではないという考えから、相手が喪中であっても問題ないとされています。

喪中の対応

ただし、亡くなった方の四十九日が過ぎていないケースでは、お歳暮を控えることがマナーです。特に、新年を迎えてから贈る「お年賀」は慶事を意味するため、喪中の時期ではマナー違反となります。また、お歳暮の「熨斗(のし)」は、一般慶事用に紅白の水引きを使いますが、喪中の人に贈る場合は、無地の奉書紙か短冊を使うようにしましょう。

お歳暮のマナー

ここまで、お歳暮のマナーについてご紹介してきましたが、参考になることはありましたでしょうか? お歳暮ギフトは、お世話になっている人への謝意を伝える、恩返しともいうべき贈り物です。今後も変わらぬ親交を続けていきたい相手に対して、マナーに則って心のこもったお歳暮ギフトを贈ってみてはいかがでしょうか。

河野 ひろこ

河野 ひろこ

ギフトコンシェルジュ/コンテンツライター/縁起物アドバイザー。看護師時代に培ったホスピタリティを活かし、贈り相手の「人となり」を想像したプレゼントの見立てを得意とする。子育てに奮闘しながらも、週に1回以上の東京まち歩きとショップ巡りがライフワーク。

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