ホームパーティーや新築のお披露目、ママ友会など、大人になってから友人知人の家にお呼ばれすると、お宅でのマナーや作法に気をつけなければなりません。自分は大丈夫と思っていても、案外と知らないこともあるのではないでしょうか?
今回は、お呼ばれでお宅訪問したときに注意すべき、玄関の上がり方や手土産の渡し方、出されたお茶のいただき方など、全般的な訪問マナーを順番にご紹介します。大人として最低限のマナーを心掛けて、お宅訪問を楽しんでください。
到着するのは約束の何分前か
ビジネスシーンでも気になることが多いのが、約束の何分前に訪問先に到着すべきかということ。相手によっても感覚は違いますが、どんな場面でも無難な到着時間が「約束の5分前」から「時間ぴったり」だといわれています。
訪問先では、約束時間の直前まで身支度や掃除の仕上げをして、きれいな状態で出迎えたいと思うもので、10分以上も前に到着してしまうと、バタバタと準備をさせてしまうかもしれません。「そろそろ来るかな?」と思わせるくらいの時間に到着することがベストでしょうか。
電車やバスが遅れることも想定して、約束の10分前の到着を目指し、身なりを整えてから5分前にインターホンを押すくらいが丁度良いかもしれません。もし遅刻しそうな場合は、「道が混んでいる」とか「道に迷ってしまって」などと、電話やメールで納得のいくような遅延の説明(言い訳)を連絡しましょう。
玄関先での挨拶
相手のお宅でインターホンを押す前に、もう一度身なりをチェックしましょう。秋口や冬場にコートなど上着を着ている場合、玄関に入る前に上着を脱いでおくことが、日本古来から受け継がれる伝統的なマナーです。外の埃をお宅に入れ込まないよう、上着を軽くはたいてから裏返しにして、片腕に掛けてから訪問しましょう。
インターホンを押してドアを開けてもらったら、「この度はお招きいただきありがとうございます」などと、手短に挨拶を済ませます。そして、相手から玄関に入るように促されたら、「お邪魔します」や「失礼します」と挨拶して、中に入るようにしましょう。
訪問先での玄関の上がり方
玄関に上がるときにマナーとして注意すべきことは、靴の脱ぎ方だといわれています。脱ぎ方で気をつけるポイントは「相手にお尻を向けないこと」です。まず、相手に面と向かって前向きで靴を脱ぎ、玄関の段差に上がります。そして、相手にお尻を向けないように、膝をついて座り、靴の向きを玄関方向に変えて、上がり框(まち)と呼ばれる段差の横木に揃えます。
靴の置き方では、置く位置にも気をつけましょう。玄関には、下駄箱を基準として上座と下座があり、絵画や花瓶が置いてある下駄箱は上座、単に靴入れとして使われている下駄箱は下座といわれています。下駄箱のそういった状態を見てから、下座の方に寄せて靴を置くようにしましょう。
靴の始末を終えたら立ち上がり、スリッパが用意されているのであれば、そのときにスリッパを履きましょう。スリッパを履いても、靴下のかかとの部分は隠れないので、お宅訪問するときは、穴の開いていないきれいな靴下を履いていくことがマナーです。
上着や荷物の置き方
訪問先で居間に通されたら、バッグやカバンなどの荷物や、コートなどの上着の置き方にも注意しましょう。バッグやカバンは、ソファやテーブルの上に置くことは失礼にあたるため、基本的には床に置くようにしましょう。置く場所に迷うときは、相手にどこに置けば良いか聞くようにします。
コートは、ハンガーにかけると相手に言われた場合は渡し、そうでない場合は自分のバッグの上などに置いたりしましょう。たとえ折ったとしても、コートなどの上着を椅子の背もたれに掛けたりすることは、マナーとして良く思われないかもしれません。
ただし、自分の荷物以外に、手土産など相手にお渡しするものについては、紙袋に入っていても床には置かないようにします。手土産の置く場所に困ったら、少し大袈裟ですが自分のハンカチを広げて、その上に置くと心遣いが伝わります。
手土産の渡し方とタイミング
手土産を持参した場合、渡すタイミングは、部屋に通されて全員が顔をそろえた時だといわれています。玄関先で手土産を渡すと長話になってしまうため、きちんと品物の説明をするためにも、部屋に入ってから渡すのがタイミングとしては良いでしょう。
手土産は、風呂敷や紙袋に包んで持っていくことがマナーですが、渡すときは風呂敷きや紙袋から出して渡します。渡し方としては、相手に品物の正面が向くように渡し、和室の場合は座ったまま畳をするように、洋室の場合は立ったまま渡すことが正式なマナーです。
手土産を渡すときにかける言葉としては、お菓子などの食べ物であれば、「お口に合うと嬉しいです」や「宜しければお召し上がりください」などと声を掛けましょう。手土産の賞味期限・味の感想・買った場所などを説明すると、会話が盛り上がり、相手のことを想って選んだ気持ちもより伝わります。
出されたお茶のいただき方
訪問先でコーヒーや紅茶などお茶を出されたときの、いただき方についてご紹介します。お茶を出されたら、冷めないうちに早めに口をつけることがマナーとされています。このとき、最低限のマナーとして「いただきます」と声をかけるようにしましょう。
基本的に出されたお茶は、すべて飲み干すことがマナーですが、あまりにも早く飲み干すと、相手に何度も注がせる手間をかけてしまうので、周りのペースと合わせながら飲み進めると良いでしょう。
茶碗に蓋が付いている場合は、片手で茶碗を支えながら、もう片方の手で蓋を持ちあげて、茶碗の右側に上向きで蓋を置き、お茶を飲みます。飲み終わったら茶碗に蓋を乗せますが、奥から手前に向かって乗せると、丁寧な仕草にみえて良いでしょう。
滞在時間の目安
お宅訪問の際、滞在時間はどのくらいがベストなのか悩みますよね。その会によっても違いますが、食事を一緒にする約束をしていない場合、目安としては食事時の前(昼なら11~12時、夜なら16~17時)に帰ることがマナーとされています。
帰らせるように促すことは失礼だと考える人も多いため、帰るタイミングは自分からきっかけを作りましょう。時計を見て、「そろそろ食事時ですね」と声を掛けたり、「電車が混み合う前に失礼します」とやんわり伝えるようにします。
特に、赤ちゃんがいるお家の場合は、決められた時間に授乳や沐浴などを行なうこともあるため、あまり長い時間滞在せず、1~2時間で帰るようにしましょう。
お礼の電話・メール・手紙
お宅訪問を終えたら、おもてなししてくれた訪問先の相手にお礼をしましょう。無事に帰れたか心配してくれる人もいますので、帰宅してすぐに電話やメールなどでお礼を伝えると良いでしょう。
特に、礼儀を尽くす場合には「お礼状」と呼ばれる手紙で、おもてなしのお礼を伝える方法もあります。お礼状を送るときも、訪問日からあまり間を置かず、1~2日後には手紙を送るようにしましょう。
お宅訪問で気をつけるべきマナーについてご紹介しましたが、これまで知らなくて、新たに身についたマナーはありましたでしょうか? ささいなことでも相手の心象は変わるため、知っておいて損はないはずです。楽しい時間を過ごして、相手からの評判も上がるような、大人の対応を心掛けると素敵ですよね。
これからも、贈答マナーに関する、皆様の疑問を解決していきます。「これってどうすればいいの?」という疑問も大募集していますので、ご遠慮なくお問い合わせフォームからご連絡ください。