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街歩き No.028 浜田山|京王井の頭線の癒し系タウン、浜田山駅の周辺を “悠悠” ウォーク

街歩き No.028 浜田山|京王井の頭線の癒し系タウン、浜田山駅の周辺を “悠悠” ウォーク

渋谷から吉祥寺へと繋がる京王井の頭線には、明大前や下北沢などのスタイリッシュな街と並び、高級住宅地として知られる「浜田山」があります。

杉並区の中西部に位置し、駅から少し歩けば神田川が流れる浜田山は、都心にアクセスしやすく落ち着いた街並みからベッドタウンとして人気の高いエリア。面積にゆとりのある個人邸やマンションが立ち並び、公園も多い緑豊かな土地は、都心に程近くありながら郊外に引けを取らない穏やかさがあります。

浜田山

ところで、浜田山の地名は、江戸期の内藤新宿(甲州街道に内藤氏が返上した屋敷地に置かれた宿場町)に米問屋として存在した商人「浜田屋弥兵衛」に由来するといわれています。

この一帯は、元は浜田屋の所有地で、浜田屋一族が近隣の村人や、子供たちにお菓子などをふるまったことから親しみを込めて「浜田屋の山」を意味する浜田山の名がこの地に定着したということです。ただ、浜田山は山のような急勾配ではないため、里山のような緑豊かな高台というニュアンスで「山」を使ったようです。

浜田山まち歩きマップ

渋谷から京王井の頭線に乗り、電車に揺られること20分。優しい陽射しが温かい秋日に、浜田山のスポットをゆったりと巡ります。この日のスタートは11時。ランチと食後のお散歩にピッタリなスポットをご紹介します。

① アジア食品専門店 亜州太陽市場

亜州太陽市場

浜田山駅出口の目の前にあるのは「亜州太陽市場(あしゅうたいよういちば)」。都内だと浜田山・吉祥寺に店舗を構え、中国・台湾・韓国・インド・ベトナム・タイなど、アジア各国の食品や調味料が集まるアジア食品専門店です。

広々として明るい店内には、韓国や中国、台湾、ベトナムの袋麺やカレー、調味料や飲料品など、書ききれないほどの食料品が迫るように陳列されており、エスニック料理を好む人も増えてきている中、身近では手に入りにくい本格的なものがここでなら見つかります。

パッケージは各国の言語のままのため、写真を見て味を想像しながら選ぶのも楽しそう。アジア食品が時めく昨今、メディアにも多く取り上げられる注目のお店でした。

② 杉並区立 柏の宮公園

柏の宮公園

浜田山駅から南に向かって徒歩7分の所に大きな公園があります。閑静な住宅街の中に現れる「柏の宮公園(かしのみやこうえん)」は、区立公園としては最大の面積があり、地域の子供からお年寄りまで誰でも楽しめるよう、散歩道・広場・茶室・テニスコートが備わった施設です。

桜やブナの林が優しく包み込んでくれる散歩道は、歩きやすく整備されていながらも、自然を体いっぱいに感じることができます。散歩道を抜けた先の広場では保育園児が元気に駆け回っていて、地域に欠かせない場であることが感じられます。

柏の宮公園

公園の名前になっている「柏の宮」とは、室町時代に武将・太田道灌(おおたどうかん)の命を受けて、家臣の柏木左右衛門という人物が鎌倉鶴岡八幡宮の神霊を勧請して建立させたことに由来します。後に神社のあるこの地域が「柏の宮」と呼ばれるようになり、その名称が公園名として残ったそうです。

③ 下高井戸浜田山八幡神社

下高井戸浜田山八幡神社

柏の宮公園の散歩道を南西へ抜け、神田川を渡った先に「下高井戸浜田山八幡神社(しもたかいどはまだやまはちまんじんじゃ)」が現れます。境内は木がそよぐ音しか聞こえないほど静かで神聖な空気が漂っています。

神田川沿いの気品あふれる住宅街のなかにあるこの神社は、前述した柏の宮公園の名前の由来となった柏木左右衛門が建てた鎌倉鶴岡八幡宮の別殿です。厄除け・勝負事の神様として応神天皇をお祀りしており、創建550年余りこの地域の氏神様として崇敬を集めています。

七五三や厄除・厄払、御朱印をはじめ、例大祭など地域に深く根付き、多くの人が訪れます。また、テレビドラマや旅番組の撮影でも度々登場するようで、歴史があるだけに留まらず、マルチに活躍の幅を広げる活気にあふれた神社です。

④ 杉並区立 藤和緑地

藤和緑地

下高井戸浜田山八幡神社を抜けて神田川沿いへ出ると、整備の行き届いた散歩道があります。この神田川沿いに続く散歩道が「藤和緑地」です。

藤和緑地は神田川と緑が調和しており、お散歩やジョギングがしやすい舗装された道や、じゃぶじゃぶ池が備わっている爽やかな緑地です。散歩道はたくさんの公園に通じていてベンチで休憩やランチもしやすいため、ブーランジェリーでパンを買ってピクニック気分というのも楽しめそう。

藤和緑地

緑地ではバードウォッチングもおすすめです。この日の神田川ではカルガモやコサギなどの水鳥を観察することができました。浅く流れの緩やかな川のため水鳥が休む場所にはうってつけです。春には桜を楽しみ、夏にはじゃぶじゃぶ池での水遊びなど、四季や自然に親しむことができて心が和むスポットでした。

⑤ ベトナム食堂 シクロ

シクロ

お散歩をしてすっかりお腹がすいたので、浜田山駅へ戻りランチをいただきます。駅の裏手の通りには飲食店が集まっており、そのレパートリーはイタリア、ベトナム、香港など多国籍感があります。

この日はスパイスの甘い薫りの漂う「ベトナム食堂 シクロ」へ。店先にはシェフの経歴が載った看板が出ており、なんでも本場ベトナムの高級ホテル「レックスホテル」で10年間ベトナム料理を担当し、その後、世田谷のベトナム料理店「サイゴン」で活躍したシェフなんだとか。どうやら本格的なベトナム料理がいただけそうです。

実はベトナムに行ったことも、ベトナム料理を食べたこともなかった筆者。本格的といえど、初めて入るベトナム料理店に緊張を隠せませんが、勢いで飛び込んでみましょう。

シクロ

お店に入ると、外まで漂っていた異国を感じさせる甘いスパイスの薫りとインテリアに気分が上がります。会話を弾ませるマダムがテーブルを囲んでおり、おひとり様もひっきりなし。このことからも地元の人気店であることがうかがえ、お料理にも期待が膨らみます。

シクロ

メニューにはたくさん写真が付いていて、料理名だけでは想像もできない筆者にはとてもありがたい気遣いです。セットメニューが豊富で、炒め物・フォー・チャーハンなどのメインディッシュ単品はもちろん、生春巻きのセットやメインディッシュのハーフサイズを組み合わせることも可能。自分好みのランチセットを作ることができます。

シクロ

私が注文したのは「コム・ガー」に「生春巻き付きサラダ」付きのドリンクセット。コム・ガーとは、鶏肉とお米を一緒に炊き上げたチキンライスです。ナンプラーベースの甘酸っぱいソースをつけていただきます。

勝手にクセが強いと決めつけていたベトナム料理でしたが、どれもあっさりとしてクセが少なく、初心者の私でもとても美味しくいただけました。初心者も玄人も利用しやすいお店のようで、他のメニューも挑戦してみたいと思わせてくれる素敵なお店でした。

⑥ Monsieur Soleil(ムッシュソレイユ)

ムッシュソレイユ

「ベトナム食堂 シクロ」を出ると目の前には小さなパン屋さんがあります。こちらは、フランスパンとフランス菓子のお店。小さなお店には手作りのパンや、タルト、サンドなどたくさんの種類のパンが並びます。地元で人気のお店のため、人気商品は早くに売り切れてしまうことも。美味しいパンに目がない人は立ち寄っておきたいお店です。

⑦ Necklace-necklace(ネックレスネックレス)

ネックレスネックレス

路地を東に進み入っていくと、一際輝きを放つお店がありました。お店の扉を開くと、棚にずらりと並ぶアクセサリーパーツが照明に照らされてキラキラと輝き、まるで宝石箱に入り込んだよう。

お店を入ってすぐの空間には、アンティークのミニビーズやレジンパーツ・天然石・ガラスビーズが並び、小上がりの空間にはシルク生地やリボン・アンティークビーズ・ボタンなどが並びます。

テーブルが所々に並んでいますが、これは訪れた人がテーブルにパーツを広げてゆっくりとパーツを選んだり、パーツを並べてイマジネーションを膨らませたりするために活用してほしいというお店の素敵な計らい。

ネックレスネックレス

筆者はイヤリングに加工するべく、アコヤガイ真珠のパーツを購入。パーツ単体でも美しく宝物のように感じるのに、イヤリングにしたらなんて素敵だろうかとワクワクが止まりません。

「Necklace-necklace」では、厳選した材料でアクセサリーが作れる簡単なワークショップや、アクセサリーのリメイク、デザインの相談や加工のサービスも行っているとのことで、アクセサリー相談はお店を頼れば間違いありません。

⑧ 日本茶専門店 茶風(さふう)

茶風

「中華料理 しむら」の看板を目印に路地を抜けると、日本茶のお店「茶風(さふう)」があります。茶葉や茶器を販売するお店で、お店の奥には本格的な日本緑茶やほうじ茶、抹茶を和菓子などと一緒に楽しむことができる茶房があります。長い歴史を感じさせる店構えは品質が間違いないことを証明しています。時期によって茶葉が変わるため、行くたびに違う味わいが楽しめます。

⑨ 珈琲焙煎工房 函館美鈴

函館美鈴

茶風から北西に1分ほど進むと、コーヒーの香ばしい薫りが漂ってきます。店内に入ると一層強いコーヒーの薫りに包まれ、胸いっぱいに薫りを吸い込みます。

「珈琲焙煎工房 函館美鈴(はこだてみすず)」は、店内に20~30種類ほどの生豆を揃え、注文を受けてから好みの生豆を好みの焙煎度合いで用意してくれる珈琲豆の専門店。店舗で焙煎したてだからこそ薫り高く、味わい深い新鮮なコーヒーを自宅で頂くことができます。また、少しですがテイクアウトメニューもあります。

函館美鈴

日本でコーヒーが飲まれるようになったのは、海外との貿易が盛んだった函館・横浜・長崎・神戸の元町が最初だったといいます。美鈴珈琲の元祖は1932年、鈴木武二氏が函館市栄町にコーヒーと洋食器のお店「鈴木商店」を開業しました。美鈴と名がつくのはそれから14年後の1946年。函館駅前に直営のコーヒーショップを開店する際についた名前が「美鈴」でした。今では函館を中心に老舗コーヒー店として全国に名を馳せています。

函館美鈴

実は筆者、コーヒーが美味しく飲めるようになったのはつい最近。クセや苦味の強いコーヒーは飲みにくいため、店員さんに飲みやすいものを相談してみます。店員さんはコーヒー豆や淹れ方のことを丁寧に教えてくれ、今回は「ドリップコーヒー AROMA」をお土産に決めます。自宅で淹れてみると芳ばしいコーヒーの香りが部屋に立ち込め、まるでカフェにいるよう。苦味が少なくあっさりとしているけれど深みのある飲める美味しいコーヒーがいただけました。

⑩ CAFE ACHIM(カフェ アチム)

アチム

「函館美鈴」を出るころには、すっかりコーヒーが飲みたい気分に。北に2分ほど歩いたところにあるベーカリーカフェ「CAFE ACHIM(カフェ アチム)」へ。

陽の光が優しく注ぐ店内は落ち着いた雰囲気で、地元のマダムや家族連れがティータイムを楽しんでいます。カフェのドリンクは軽井沢に本店を持つ「丸山珈琲」や、紅茶専門店「amsu tea」から仕入れられていて、どのドリンクを選んでも美味しいものがいただけます。また、店内で焼き上げたパンやデザートは人気が高く、テイクアウトも可能です。

アチム

今日は「カフェラテ」と「栗のシフォンケーキ」でエネルギーチャージ。カフェラテの優しい苦味と、ふわっふわのシフォンケーキが相性抜群でいくらでも食べれます。カウンターのショーケースに目をやるとクロワッサンやパンオショコラ、スコーン、ベーコンエピなど美味しそうなパンが並んでおり、パンをテイクアウトしに来た人もちらほら。追加で食べてしまおうかと思うほど美味しそうな焼き上がり。また訪れた際にはショーケースからいただいてみようと思いました。

⑪ ieno textile(イエノテキスタイル)

イエノテキスタイル

テキスタイルクリエイターの南村弾氏を中心に「なんか、いい感じ」を共有できる人のもとへ気持ちのいい「家のテキスタイル」を伝える布の専門店。リネンやシルクなど様々な素材の一枚布から家にあったものを提案してくれます。ナチュラルなテイストのテキスタイルが多いため、家に馴染みやすいものが見つけられるはず。来店予約制なのでお店へ実物を見に行きたい際には事前に連絡するようにしましょう。

駅前の「浜田山メインロード商店街」をゆく

浜田山メインロード商店街

浜田山は、線路に沿った浜田山壱番街商店街、南側の浜田山芳興会や浜田山南レンガ通り商店街など、多くのショッピング通りがある街。浜田山駅の出口を出てすぐには、北に延びる「浜田山メインロード商店街」があります。ここは浜田山の生活の拠点となる商店街で、スーパーや生活用品店などが集結。商店街の終点から駅に向かって商店街を歩きお店を巡ります。

⑫ 和菓子 伊勢屋(いせや)

伊勢屋

深川に本店を構え、都内に数店舗を展開する明治40年創業の和菓子屋さん。お団子・大福・おはぎ・いなり・おかきなどを取り揃えています。また、定番の和菓子をはじめ、季節限定のお菓子も並ぶので、日常使いから親族と集まるような季節のイベントでの手土産にもおすすめです。

伊勢屋

訪れたのは夕方ごろ。品物はほとんど売れてしまっていましたが、「あんこのおはぎ」と秋限定の「実り餅」を夜のおやつに購入し、熱々の緑茶と一緒にいただきました。伊勢屋のあんこは、甘さ控えめの上品なこしあんが使われているものが多いのですが、これがとっても滑らか。また、お餅は歯切れがよく、もたつきません。人気急上昇中の「深川マロン」は次回の楽しみにしようと思いました。

⑬ patisserie voisin(パティスリー・ヴォワザン)

ヴォワザン

商店街の中ほどに現れるシックなパティスリー。浜田山の雰囲気にピッタリな、ラグジュアリーなケーキやチョコレート菓子、焼き菓子などが揃っています。ヴォワザンとは、フランス語で「ご近所」や「近隣」という意味。今では地元に留まらず、多くの人に愛されています。

ヴォワザン

購入した美鈴珈琲のドリップパックに合わせるべく、チョコレート菓子の「オランジェット」を購入。程よい歯ざわりと苦味の少ない爽やかなオレンジピールに、少しビターなチョコレートをかけた一品は少し渋みのきいた飲み物にピッタリ。味のバランスと品の良さが多くの人を引き付けるのでしょうね。

⑭ nic-nic(ニックニック)

> ニックニック

浜田山駅にほど近くなった場所に、可愛らしい雑貨屋さんがあります。「nic-nic(ニックニック)」はレディースウェア・雑貨・ベビー&キッズを中心に、季節のおすすめアイテムを豊富にそろえるお店。ギフトにしやすいグッズも並んでいます。可愛らしいグッズに囲まれて、日常から離れた癒しを感じます。

おわりに

高級住宅街のイメージが先行していた「浜田山」は、エレガントな雰囲気でありながら尖らない、ほっとする時間が流れる素敵な街でした。ゆったりと過ごすのに丁度良いスポットが豊富のため、その日の気分に合わせて過ごし方を変えられるのもグッドポイント。遠方や都心は行く気分ではないけれどお出かけしたい、そんなときに浜田山を訪れてみてくださいね。

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小林 祥子

小林 祥子

システムエンジニアからフリーランスへ転身。趣味はアンティーク集めやギター演奏、お茶(紅茶・中国茶・茶道)、金継ぎ、オイルランプ集めなど多岐にわたる。中国茶エキスパート”シニア”の資格を持ち、インドアライフを追求している。

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