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お見舞いの意味とは
「お見舞い」とは、本来それ自体では「誰かを訪問する」という意味があります。「見る」は「人に会う」、「舞う」は「まわる」「めぐる」という意味の使われ方があるため、日本の古語では「見まわる」とか「巡視する」といった意味合いがあります。旧来は、病気やケガで災難があった人を訪れて、慰める行為を指し、現代においては、そういった人に贈る手紙(見舞状)や金品(見舞金・見舞品)を、「お見舞い」という言葉で表現することもあります。 似たような言葉として使われる、「書中見舞い」や「寒中見舞い」の起源は、江戸時代よりも前にさかのぼります。その当時、1年の上半期と下半期それぞれの節目に、お世話になっている人の健康をうかがい、挨拶まわりをする習慣があったことから、それが簡略化されてお盆や年始の贈答習慣につながったとされています。お見舞いの金額相場はいくらか
ここでは、事故や病気に遭って入院した人に贈る「お見舞い」の金額相場についてご紹介します。便宜上、「見舞い金」といわれる現金の相場について示しますが、品物を贈る「見舞い品」の金額相場についても同様と考えてよいでしょう。家族や親戚へのお見舞い相場
父親や母親、兄妹・姉妹などの家族、祖父母や義理の両親、叔父や叔母、いとこなどの親戚が入院した場合、ケガや病気の程度や相手との関係性によってお見舞いの金額は大きく変わってきます。 一般的に、家族や親戚に対しては、「5千円~1万円」がお見舞いの金額相場といわれています。ただし、入院日数が短かったり、検査入院などの場合では、ちょっとした「お花やスイーツ」だけにしてもよいでしょう。また、関係性が深かったり、重い病気やケガの場合は、「2万円~3万円」を包むこともあるようです。 特に、親や兄弟などで懐事情がよくわかっていて、入院治療費が経済的に負担となりそうな場合は、品物よりも現金の「見舞い金」の方が喜ばれるかもしれません。友人や知人へのお見舞い相場
友人や知人に対して贈るお見舞いの一般的な金額相場は、「3千円~5千円」といわれています。すべての人に共通して、忌み数と呼ばれる、4(死)、6(無)、9(苦)の付く数字の金額は、避けることがマナーとされています。また、欧米で不吉な数字とされる13も避けることが無難です。 現金を贈ることは気を遣わせてしまうことがあるため、友人や知人には品物を贈る「お見舞い品」をおすすめします。その場合も、5千円以内の贈り物で、相手にとって負担がなく、入院中でも実用的に使える品物を選ぶようにしましょう。取引先や同僚へのお見舞い相場
仕事でお世話になっている取引先や、職場の上司・同僚・部下へのお見舞いは、相手との関係性によって金額の幅が広く、「3千円~1万円」が相場だといわれています。特に普段からお世話になっている方や目上の方であれば1万円程度を包むこともありますが、この場合も現金より品物の方が気持ちが伝わるのでおすすめです。 上司や同僚であれば、職場の仲間とお金を出し合って、一人当たり3千円で集まった金額分の贈り物をすることもあります。仕事関係の人には、入院中の姿を見せたくないと思う人も少なくないため、事前に確認して自宅に郵送するか、「快気祝い」という形で退院後に品物を贈ると喜ばれるかもしれません。お見舞いのタイミングはいつ頃か
入院した相手に対して、病院にはお見舞いに伺う、もしくは、お見舞いを贈るタイミングとしては、事前に病気やケガの状態を聞いた上で、相手の都合にあわせて行うようにしましょう。 もし、お見舞いを断られたら、励ましのメールや手紙だけにとどめるか、どうしても贈りたい場合は、家族に渡すか自宅に郵送するようにします。病院に直接訪問する場合は、入院直後や手術の前後を避け、入院から4~5日後か手術の2~3日後くらいのタイミングで、アポを取って面会することがマナーとされています。六曜から考えるお見舞いの訪問日
お見舞いの日取りを考える際、迷うようであれば「六曜」で決めるのもひとつの手です。日本では古来から冠婚葬祭の日取りを決めるにあたって、中国から伝来した「六曜」という歴注を目安にしていて、カレンダーにしばしば使われる「大安」「先勝」「先負」「友引」「赤口」「仏滅」に分かれています。 現代では六曜を気にする人はごくわずかですが、運気が悪いとされる「仏滅」や血を連想させる「赤口」は避けることが無難です。また、「先勝」は午後から運気が下がるとされるため、午後に訪問することの多いお見舞いには不向きかもしれません。 逆に、14時~18時の間は「吉」とされる「先負」や何をしても成功するとされる「大安」は、六曜の中ではおすすめの日となります。六曜は、相手が気にしないまでも、こういった知識を話のネタにしてみると、楽しい時間を過ごせるかもしれません。訪問時の注意点
ここでは、お見舞いで病院を訪問するときの注意点とやってはいけないことについて説明します。訪問する時間帯としては、基本的に相手の都合を聞いた上で決めましょう。特に、午前中の早い時間や夕方の食事前には検診が入ることが多いため、午前中や夕方は避け、昼食後の14時頃が比較的都合がよいとされています。 お見舞いの滞在時間は、相手の病気やケガの状態によっても異なりますが、患者は体力が低下しているため、長時間の滞在は絶対に禁物で、軽い挨拶程度で30分~1時間の滞在にとどめましょう。相手や同室の患者さんに迷惑がかかるため、大人数での訪問や子供・赤ちゃんを連れて行くのは控えます。 布団や点滴に引っかかる可能性を考えて、ジャラジャラとした装飾品を避けて、清潔感のある服装を心掛け、外の埃を持ち込まないように、病室の前で服を払ってから入室しましょう。病状を悪化させないように、マスクをして菌をうつさない心遣いも必要です。また、療養中はニオイにも敏感になるため、特に女性はメイクを出来るだけ控えることがマナーです。お見舞いの渡し方
お見舞いを相手に渡すときは、日本伝統のしきたりに則って、礼を尽くすことが一般的なマナーとされています。お見舞い金を直接手渡しする場合、現金をそのまま渡すことはマナー違反で、必ず祝儀袋に入れて、袱紗に包んで持っていきましょう。 お見舞い金を包むのに適した袋は、紅白の「結び切り」もしくは「あわじ(あわび)結び」の水引きが付いた祝儀袋か、赤い帯の入ったお見舞い用の封筒、気心の知れた仲であれば白無地の封筒でも良く、相手との関係性や包む金額によって判断します。また、お見舞い金は、事前に用意していたと思わせないために、「新札(ピン札)」ではなく「旧札」を入れることが一般的なマナーです。 品物の場合も、紅白の「結び切り」か「あわじ(あわび)結び」の付いた熨斗(のし)を利用します。お見舞いの際に熨斗を付けると、病気やケガの完治が延びてしまうという考え方もあるため、熨斗が印刷されていない「掛け紙」を使うケースもあるようです。郵送にする場合や、相手への心遣いを一言添えたい場合は、品物だけでなく、便箋やレターなどにメッセージを書いた「添え状」と呼ばれる手紙を同封するようにしましょう。お見舞い品に喜ばれるもの
現金は気を遣わせてしまうと思うときや、相手のことを思いやったお見舞いを考えたい場合、品物としてお見舞い品を贈ってみるのが良いかもしれません。ここでは、お見舞い品として相応しい品物のアイデアをご紹介しますので、相手の状態や趣味趣向に合わせた品物選びの参考にしてみてください。 まず、お見舞いの定番といえば「花」を想像する人も多いかと思います。手頃で気分の晴れる素晴らしい贈り物ですが、お見舞いには不向きとされる花の種類もあるため、注意が必要です。ニオイが強い百合やお葬式を連想させる菊、血を連想させる赤いバラ、首から花を落とすため縁起の悪い椿などが代表的です。お見舞いに相応しいとされる花は、長持ちするプリザーブドフラワーや簡単に飾れるアレジメントフラワー、季節感のある爽やかな色の花がおすすめです。 菓子折りやフルーツ(果物)も定番ですが、消化に悪い食べ物だったり、切ったり剥いたりするのに手間がかかる食べ物は避けましょう。プリンやゼリーなどのやわらかい食べ物や、日持ちのする焼き菓子や羊羹が喜ばれます。また、紅茶やコーヒー、フルーツジュースなどのドリンク系は、入院中から退院後まで、あって困らない贈り物だといえます。食事(もちろん飲み物も)や、特定の栄養素などの制限が治療の一環となっている場合もあります。食べ物を贈る際は、必ず事前に本人に確認しましょう。気付かずに持参してしまった場合は、「お手数をおかけしますが」と一言添えて、ご家族に持って帰っていただきましょう。
相手の趣向がよくわかっている場合、入院中のヒマ潰しに、塗り絵や本などを贈るケースもあります。子持ちの母親だったり、患者が子供の場合、絵本やぬいぐるみも選択肢として良いかもしれません。 実用的なお見舞い品のアイデアとしては、肌寒い季節であればストールやブランケット、何枚あっても困らない上質なタオル、相手が家族ならパジャマやクッションなどが考えられます。少し変わり種として、商品券(Amazon・Apple Storeギフト券)や美容グッズも、人と被らず喜ばれる品物です。 お見舞いを贈るということは、「良いとき」だけでなく「悪いとき」も相手を気遣い、支えたいという意思を伝えることができます。折角の機会に悪印象を与えないよう、マナーや礼儀を心得て、相手が喜んでくれるお見舞いを贈ってみてくださいね。