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現代においては、結婚の考え方も多様化が進み、二人の状況や関係性に応じて、結婚のカタチも様々なスタイルを取るようになってきました。しかし、如何なるカタチであっても、夫婦が歩んできた道のりはかけがえのないものであり、共に過ごす年数を重ねるほど、その絆も深まってくると実感します。
今回は、そんな夫婦の軌跡を物語る、結婚記念日の意味や由来、バラエティに富んだ記念日の種類についてご紹介します。ご自身や両親が結婚して何年目だったかを思い返しながら、節目となる機会に備えてプレゼントを考えてみてはいかがでしょうか。
結婚記念日の意味と由来
結婚記念日とは一般に、夫婦が結婚した日を基準に、節目となる年数をお祝いする日とされています。時代によって移りゆく、結婚記念日の数え方については、次章で詳しく述べることとします。いずれにしても、結婚記念日は、当事者である夫婦二人だけで祝うか、子供が親に、孫が祖父母に対しても祝うケースがあります。
結婚記念日の由来について、元々はキリスト教の習わしに従ったものといわれ、イギリス(英国)が発祥の地として広く知られています。19世紀半ば頃の書物には、結婚5周年を祝う木婚式、15周年の銅婚式、25周年の銀婚式、50周年の金婚式、60周年のダイヤモンド婚式の5種類のみが記されていて、それらの材質を用いたアクセサリーを贈る習慣がありました。
イギリスから始まった結婚記念日という考え方は、やがてアメリカにも伝わり、その過程において、結婚15年目までは毎年祝い、それ以降は5年単位で祝うという現代に通ずる様式になったといいます。現代では、宝石業界によるプロモーションを受けて、それぞれの国や地域で独自の記念日と名称が設定されています。
日本では、夫婦よりも家同士の絆を重んじる傾向が強かったため、旧来は夫婦の節目である結婚記念日を祝う習慣はなかったとされています。日本で最初に行われた結婚祝いは、1887年(明治20年)に、宮城県の千葉泰蔵という人物が金婚式を友人から祝われたことが記録に残されています。その後、1894年(明治27年)の3月9日に、当時の明治天皇・皇后が「大婚二十五年祝典」と呼ばれる銀婚式を取り行ったことが一般にも広まったきかっけといわれています。
結婚記念日の数え方
結婚記念日の基準日に関して、明確な決まりはなく、当人同士が思い入れのある日に設定するものとされています。大抵は、婚姻届を役所に提出した日(入籍日)、もしくは、結婚式(結婚披露宴)の挙行日を結婚記念日にすることが多いようです。
近年では、夫婦別姓を希望したり、法律上の届け出をしない事実婚を選んだり、結婚というカタチそのものが多様化してきています。そのため、二人が結婚の合意に達した日(プロポーズ日)や、付き合いを始めた日(交際開始日)などを、結婚記念日にするカップルも少なくないといいます。
結婚記念日は基準日から経過した年数(周年)によって、それぞれ名称が付けられています。数え方としては、結婚したその年を “0年目” 、1年が経過した日を “1年目” と数え、「〇年経過した」という意味で「〇周年(〇回目)の結婚記念日」と呼ぶことが一般的です。
結婚記念日の種類(結婚記念日歴)
結婚記念日には、その年数によって様々な名称があり、それぞれに夫婦二人の関係性を象徴する意味合いがあります。基本的には、結婚15周年(もしくは20周年)までは1年ごとにお祝いするとされ、15周年(20周年)以降は5年おきにお祝いするのが一般的です。
ここでは、結婚記念日の種類を一覧で示すとともに、代表的な節目の記念日について、その意味をご紹介します。ただし、国や地域によって、別の名称や意味合いがあるため、参考程度のまとめとしてご覧ください。
【1~5周年】真っ白な紙から、根を張る木まで
1周年:紙婚式
「真っ白で白紙のような二人の未来に、幸せな夢や希望を思い描く」という意味を込めて、結婚1周年の節目を「紙婚式(かみこんしき)」と呼んでいます。
特に欧米では、結婚式で使われたウェディングケーキの頭頂部を、結婚1周年(Marriage First Anniversary)の紙婚式に夫婦で食べる風習があります。このため、ウェディングケーキの頭頂部は持ち帰りやすく日持ちがするように、スポンジケーキで作られていることが多いといいます。
2周年:藁婚式、綿婚式
3周年:革婚式、皮婚式
4周年:花婚式、果実婚式
5周年:木婚式
結婚して5周年が経ったことで、「夫婦が一本の木のように根を張り、一体となって固く結ばれた」という意味を込めて、結婚5周年の節目を「木婚式(もくこんしき)」と呼んでいます。
結婚5周年という節目を祝う年であることから、欧米では「Second Marriage Ring」と呼ばれる二つ目の指輪を贈る習慣があります。(セカンドマリッジリングは、10周年のスイートテンに贈るという考え方もあります)
【6~10周年】銅を経て、節目のスイートテンに
6周年:鉄婚式、砂糖婚式
7周年:銅婚式
結婚して7年を迎えると、家族が増えたり財産を築いたりしてくる頃で、夫婦としても重みのある安定的な生活となるため、結婚7周年の節目を「銅婚式(どうこんしき)」と呼んでいます。
結婚記念日は一般的に、その名称にちなんだプレゼントを贈る習慣があります。銅婚式では、銅素材のアクセサリーや食器、もしくは、7周年のラッキーセブンにちなんだ7連ネックレスや7本(77本)の花束などを贈ることが多いといいます。
8周年:青銅婚式、ゴム婚式、電気器具婚式
9周年:陶器婚式
10周年:錫婚式、アルミニウム婚式
錫(すず)やアルミニウムのように、「柔軟で輝きのある夫婦」を例えて、結婚10周年の節目となる日を「錫婚式(すずこんしき)」もしくは「アルミニウム婚式」と呼んでいます。
結婚10周年の節目は、またの名を「スイートテン」と称されることがあります。これは、1990年代にダイヤモンドのシンジケートである英国デビアス社が、ダイヤモンドのプロモーション展開に結婚10周年を当てはめたことが始まりだといいます。当時は、10粒のダイヤモンドを贈る意味合いでしたが、現代でもダイヤモンドのアクセサリーを贈るイベントとして考えられています。
【11~15周年】絹のしなやかさ、水晶の美しさ
11周年:鋼鉄婚式
12周年:絹婚式、麻婚式
絹のようにきめ細かく丈夫な夫婦の絆が続くよう、願いを込められたのが、結婚12周年を記念した「絹婚式(きぬこんしき)」です。結婚式には、シルク製のハンカチやパジャマ、ネクタイなどを贈る習慣があり、さりげない中にも上質なプレゼントが相応しいとされています。
13周年:レース婚式
結婚13周年の節目は、「糸をより合わせて、深く織り込んでいく愛の形」を象徴して、「レース婚式」と呼ばれています。レースは「糸の宝石」とも称されていて、元々宝石を贈る習慣だった結婚記念日にうってつけなプレゼントです。レース婚式の名称にちなんで、レースのテーブルクロスやカーテンなど、生活を彩る品物を贈ることが多いようです。
14周年:象牙婚式
15周年:水晶婚式
結婚15周年を迎えた記念日は、19世紀の発祥当時のイギリスでは銅婚式と称されていましたが、時代とともに変化して「透明で曇りのない信頼感」に例えて「水晶婚式(すいしょうこんしき)」と呼ばれるようになりました。
水晶(クリスタル)は、魔除けや運気向上の効果があるパワーストーンとしても有名で、水晶婚式には水晶の一種である「アメジスト」や「ローズクオーツ」などのアクセサリーを贈る習慣があります。
【16~25周年】深みが増す「いぶし銀」の銀婚式
16周年:黄玉(トパーズ)婚式
結婚記念日は一般に、15周年までは1年ごとに、それ以降は5年おきに祝うことが通例ですが、特にアメリカ式では16~19周年にも、様々な宝石の名が付いた結婚記念日が設定されています。
17周年:紫玉(アメジスト)婚式
18周年:柘榴(ガーネット)婚式
19周年:風信子(ジルコン)婚式
20周年:磁器婚式
陶器よりも高い温度で焼かれる磁器は「割れにくく、長持ちする」ことが特徴で、それを夫婦に例えて、20周年の節目を「磁器婚式(じきこんしき)」と呼んでいます。磁器婚式には、湯飲みやティーカップなどを贈る習慣があり、日本では伊万里焼や九谷焼といった焼き物が有名です。
25周年:銀婚式
明治天皇が取り行ったことでも有名な銀婚式は、結婚記念日の誕生当初から続く、歴史ある記念日です。年月の経った銀は「いぶし銀」とも呼ばれるように、光沢は失われつつも深みのある美しさを醸し出すことから、25周年の節目を「銀婚式(ぎんこんしき)」と呼ぶようになりました。
欧米では「Silver Wedding」とも称されるように、指輪やブレスレットなどのアクセサリーや、カトラリーなどを贈る習慣があります。銀婚式は、日本でも特になじみ深い結婚記念日のひとつで、家族や親戚で盛大に祝うことも多いようです。
【30~50周年】永久的な輝きを放つ、金婚式
30周年:真珠婚式
真珠は、富と健康を象徴する「海の宝石」とも称されています。結婚30周年の節目は、夫婦の人生がこれからも幸多いことを願って「真珠婚式(しんじゅこんしき)」と呼ばれています。
真珠には、長寿の意味合いもあり、30歳で結婚した人はちょうど還暦祝いとも重なることから、非常に縁起の良い宝石といわれています。真珠婚式では、女性にはパールのネックレス、男性にはネクタイピンやカフスボタンを贈ることが定番です。
35周年:珊瑚婚式、翡翠婚式
40周年:ルビー婚式
45周年:サファイア婚式
50周年:金婚式
結婚50周年という大きな節目には、「腐敗も変色もない、永久的な輝きをもつ」意味合いから、「金婚式(きんこんしき)」と呼ばれる結婚記念日が設定されています。
金婚式は、その名のごとく、発祥の地でもあるイギリスでもゴールドのアクセサリーなどを贈る習慣があります。ただし、金は非常に高価であることから、一般的には子供や孫が、夫婦二人で使えるような日用品や食べ物などを贈ることが多いようです。
【55~70周年】非常に稀な長寿の結婚記念日
55周年:エメラルド婚式
60周年:ダイヤモンド婚式
長寿と一族の繁栄を意味する、非常に稀な結婚記念日が、結婚60周年の「ダイヤモンド婚式」です。イギリスでは、結婚記念日の誕生当時の習わしである60周年、アメリカでは75周年で祝うとされています。
世界で最も堅いといわれているダイヤモンドは、結婚60年という稀有な記念日に最も相応しく、まさに最上級の節目を象徴する宝石です。日本では、金婚式やダイヤモンド婚式を迎える夫婦に、自治体がお祝いの品を贈るサービスもあるようです。
65周年:ブルースターサファイア婚式、碧玉婚式
70周年:プラチナ婚式
結婚70年(もしくは75年)を迎える夫婦は、まるで奇跡ともいえる事柄であるため、結婚70周年(75周年)の記念日を稀少な貴金属に例えて「プラチナ婚式」と呼んでいます。
欧米では、70周年以降の結婚記念日についても設定している地域があり、75周年にはダイヤモンドと金、80周年には樫(かし)、85周年にはワインを贈るといった風習もあるようです。
結婚記念日で定番のプレゼント
結婚記念日は、夫婦によって様々な過ごし方がありますが、ホテルやレストランでディナーをしたり、家で豪華な食事をつくったりすることが比較的多いといわれています。また、結婚記念日とどちらかの誕生日が同じ、もしくは、予算的に少し余裕がある場合は、プレゼントを贈って記念日のお祝いをすることがあります。
結婚記念日で定番のプレゼントといえば、それぞれの結婚記念日の名称になっている材質のアクセサリーなど、イギリス式のお祝いがよく知られています。例えば、25周年の銀、30周年の真珠、40周年のルビー、50周年の金、60周年のダイヤモンドなどが代表的で、それぞれの宝石が付いた指輪やネックレス、腕時計を贈る習慣があります。
また、3周年の皮婚式には革小物(レザーアイテム)を贈ったり、4周年の花婚式には季節の花束、7周年の銅婚式には銅の食器、12周年の絹婚式にはシルクのパジャマやスカーフなど、それぞれの名称にちなんだプレゼントを贈ることが定番といわれています。
結婚記念日をアクティブに過ごしたいのであれば、船のクルージングやヘリコプターでの遊覧、まとまった休みが取れれば海外旅行もおすすめです。他にも、お互いの共通の趣味があれば、カヤックや熱気球、パラグライダー、ダイビング、バギーなどの体験を予約してみても素敵です。
両親や祖父母の結婚記念日にプレゼントを贈るケースでは、ネクタイやハンカチなどの小物、写真館での写真撮影を贈るフォトギフト、本人たちに選んでもらえる商品券やカタログギフトなどが喜ばれます。いずれにしても、節目となる結婚記念日を祝うことで、これまでの夫婦の軌跡を実感できるとともに、感謝と労いを伝えることができる貴重な機会になります。
結婚記念日のお祝いの熨斗・水引き
結婚記念日などの、何度でも繰り返してよいお祝い(一般慶事)では、何度でも結べるという意味を込めて「蝶結び(花結び)」の水引き、もしくは、慶事と弔事の両方で使われる「あわじ(あわび)結び」の水引きを使うことがマナーです。水引きの色と本数は、紅白の五本一組が主流ですが、本数が多いほど丁寧な意味になるため、金額に合わせて、三本・五本・七本の中から選びます。
ご祝儀袋や熨斗紙の表書きには、単に「御祝」と書いたり、該当する結婚記念日の名称を用いて「金婚式御祝」や「御金婚御祝」などと書いたりすることが一般的です。ただし、結婚記念日という概念は欧米文化が発祥とされ、日本古来の習慣ではないため、熨斗は使わずに包装紙とリボンを付けて、メッセージカードを添えるだけでも良いとされています。
結婚記念日は、それぞれの夫婦で独自に設定する、唯一といっていいほどのスペシャルな記念日です。今年は夫婦にとって結婚何周年となるか思い返しながら、夫婦の絆を確かめ合う結婚記念日の過ごし方を考えてみてはいかがでしょうか。ディナーをしたりプレゼントを贈ったりしながら、これまでの思い出を語り合い、愛の溢れる記念日をお過ごしください。