INDEX
① 日本野球発祥の地
神保町駅A9出口からあたりを見渡すと、正面に野球ボールを持った巨大な手の彫刻が目に飛び込んできました。その石碑には「日本野球発祥の地」の文字が刻まれています。 この地にはもともと東京大学と開成学校があり、そこで教鞭をとっていたアメリカ人教師が生徒たちに野球を教えたことが日本野球のはじまりだそうです。球場やドームのある場所が発祥地と思い込んでいたので、こんな街中で真相を知ることになり驚きました。② Glitch Coffee and Roasters
日本野球発祥の地から東に2分ほど歩くと、千代田通りに面する雑居ビルの1階にガラス張りのお店が現れます。コーヒー豆の個性を活かしたコーヒーを提供する「Glitch Coffee and Roasters」です。フルーティーさを感じてほしいとの想いから、基本的にコーヒー豆を浅煎りしているとのこと。生産量が少ないコーヒー豆をオークションで袋買いするなど、豆の厳選にも余念がありません。 店内のカウンターには、瓶に入れられたコーヒー豆が10種ほど並んでいます。通常なら、瓶の蓋を開けて香りを試すことができるのですが、今回は説明文や店員さんの解説を参考にしながら、自分好みのコーヒー豆を選びます。店員さんが持つコーヒー豆の情報が豊富なこと!コーヒーに詳しくない私でも、自分好みのコーヒーを選び出せました。 今回は「ゲイシャ」という高級コーヒー豆の中で、コロンビア産とエチオピア産を単品でオーダー。店員さんがハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。どんな味わいのコーヒーがやってくるのか、楽しみが膨らむ時間です。コーヒーは、おちょことビーカーで提供されます。おちょこに描かれたロゴが、家紋のようで雰囲気があります。 エチオピアのゲイシャは、ジャスミンやローズヒップのようなフルーティーさや軽い酸味を感じました。また、さらっとした飲み口なので、ハーブティーを飲んでいるような感覚も得ました。それに対してコロンビアの豆は、赤だしの味噌汁のような香りで、酸味を含むコクのある飲み口でした。聞いてみると、コロンビアの豆は焙煎前に豆を発酵させているため、出汁のような香りを感じるのだそう。実際に飲んで感じたことの答え合わせができたようで、好奇心をくすぐられる体験でした。 普段自宅で飲むコーヒーは手軽に楽しめるものが多いので、プロにハンドドリップしてもらえることに贅沢を感じました。2種類のコーヒー豆を飲み比べできるセットもあるので、同じ産地で作られた異なる品種や、同じ品種の産地違いのコーヒー豆を飲み比べても楽しいですね。コーヒー豆やおちょこなどのグッズも販売されているので、自宅用に購入してみてはいかがでしょう。③ 神田スクエア
グリッチコーヒーからさらに東に歩くと、都会的で洗練された広場にたどり着きます。こちらの複合施設が「神田スクエア」です。メインはオフィスビルではありますが、1階には緑が広がるランドスケープや飲食店などがあり、一般の方も足を休めてくつろぐことができます。 建物を取り囲むように広がるランドスケープは、まさに都会のオアシス。今回の散策時にはアジサイの花が咲いていました。流れる水の音に癒されながら、散歩を楽しむ親子の姿も見られます。傍らの山車蔵や神社も、観察したい寄り道ポイントです。ANGERS ravissant
神田スクエアの施設内には、清爽な空気感を纏う生活雑貨店があります。書斎やリビングなど、机に向かうひとときを彩るライフスタイル雑貨店「ANGERS ravissant(アンジェ ラヴィサント)」です。 クリエイターが製作するオシャレな器や花器、ステーショナリーを取り扱っていて、多様なテイストのアイテムに出会うことができます。女性へのプレゼントに器を、男性へのプレゼントにはステーショナリーを、など豊富な贈答シーンに対応してくれそうです。④ 中外徽章株式会社(トロフィー専門店)
神田スクエアを出て靖国通りを横断すると、トロフィー専門店「中外徽章株式会社」があります。昭和7年創業で、過去には1964年開催の東京オリンピックや、1998年開催の長野冬季オリンピックで納品したことのある歴史ある会社です。 店頭のショーウィンドウには、数々のトロフィーやメダルが並びます。トロフィートップの像は、スポーツだけでなく車や女神などもあり、大会のジャンルに合わせたトロフィーを作れるそうです。あまり間近で見ることのないトロフィーをじっくりと観察することができました。⑤ DOCE ESPIGA(ドースイスピーガ)
トロフィー専門店がある角の細道に入ると「DOCE ESPIGA(ドースイスピーガ)」というポルトガル菓子専門店を発見しました。異国の雰囲気が漂う店舗内外観は、ここだけポルトガルの細道に迷い込んだ気分に。名物のエッグタルトを、意外性ある神田手土産としていかがでしょう?⑥ 山の上ホテル
喫茶店やカレー屋が立ち並ぶ明大通りの坂を上り、明治大学の角を左折すると、アールデコ様式の建築が現れます。名だたる文豪が定宿にした「山の上ホテル」です。今回は、こちらでお昼休憩をとることにします。 足を運んだのはホテルの地下1階にある「コーヒーパーラーヒルトップ」。洋食やスイーツをいただくことができます。店内の壁や照明は、歴史を感じる装飾。その美しさに思わずカメラを向けてしまいます。 料理を注文するとランチョンマットを用意してくれました。華奢な花柄の刺繍に見とれていると、内側に「HILLTOP HOTEL」の刺繍があしらわれていることに気付きました。可愛らしいランチョンマットは、小さめのサイズ感もツボです。 迷った末に注文したのはクラブハウスサンドイッチ。ひとつひとつの素材へのこだわりが伝わる、繊細かつ上品なサンドイッチは、ぺろりと食べ進むもののなかなかのボリューム。名物のロングマカロニグラタンなど、男性でも満足できるメニューが豊富です。 12時間以上かけて、シロフォンで入れた水出しコーヒーも逸品。ケーキと合わせて午後のひとときを過ごすこともおすすめです。丹念に手入れされた洋館での昼食は、自然とゆったりした所作になりそう。喧騒から離れ、心を落ち着かせていただく昼食に、午後からの活力をもらいました。 昼食を終えて、1階のロビー&ホテルショップでお土産を探しましょう。こちらでは、ケーキや焼き菓子をはじめとするスイーツや、先ほど紹介したランチョンマットなどのオリジナルグッズを購入することができます。 ブック型のボックスに入ったフィナンシェやリーフパイは、ちょっとした手土産やプレゼントにオススメ。お菓子を味わったあとも、小物入れとして大切なものをしまいたくなります。今回お土産に選んだのは、ホテルの味が楽しめる「文化人のカレー」。ハヤシソースもあったので、ひとつずつ購入しました。⑦ STYLE’S CAKES & CO.
フルーツタルトが絶品のケーキ屋があるとの情報を得て、足を運んだのが「STYLE’S CAKES & CO.」。こちらは、タルトとキッシュがテーマのスイーツ店です。しかしながら、昼過ぎには完売閉店の看板が…。SNSを確認すると、予約だけでその日の製造分のケーキが完売することもあるそう。人気のタルトを、いつかいただきたいものです。⑧ 三省堂書店(神保町本店)
神田すずらん通りを目指して、靖国通りの交差点まで下ります。面白そうな雑貨に出会えそうな直感に引き寄せられ入ったのは、「三省堂書店」神保町本店の1階にある「神保町いちのいち」です。創り手の想いが伝わる作品や、毎日をちょっと豊かにする日用品を取り扱います。 こちらのポップアップスペースで実演販売していたのは「nicorico」。江戸川区小岩にショップ併設の作業場をもつ工房です。温かみを感じる柔らかいフォルムの花柄をモチーフにしていて、置くだけで一気に明るい雰囲気の食卓に仕上げてくれそうです。 実演中の絵付けを拝見しましたが、フリーハンドで精巧に花柄を描いていく工程は、見事な職人業。様々なクリエイターに出会えるショップでした。⑨ 御菓子処 さゝま(ささま)
すずらん通りを越えて向かった先は、昭和6年創業の和菓子屋「御菓子所 さゝま(ささま)」です。店頭のショーケースには、その時期の和生菓子が展示されています。季節感のある和生菓子を、およばれの際の手土産にしてみてはいかがでしょう。⑩ 神保町シアター
さゝまと同じブロックには、昭和の映画を中心に上映する「神保町シアター」があります。懐かしい映画をスクリーンで見ることができ、ノスタルジックな気分に浸ることができるのでは。ふらりと立ち寄り、その日に上映されている映画との出会いを楽しんでも素敵ですね。「神保町よしもと漫才劇場」も隣接しています。⑪ 神田すずらん通り
新旧の古本屋がひしめき合う、神田神保町のメインストリートともいえる「神田すずらん通り」に軌道を戻します。江戸時代は「神保小路」、明治時代は「神保町通り」と呼ばれていたものの、東京で初めてすずらん型の街路灯が設置されたことから「すずらん通り」と呼ばれるようになったといわれています。 まずは、明治20年創業の画材専門店「文房堂」。石積みの建築に歴史を感じます。3階には「アートと珈琲を味わう」文房堂ギャラリーカフェがあります。展示品を鑑賞しながらのティータイムは、神保町ならではの知的な過ごし方なのかもしれません。 「本と街の案内所」は、古本屋だけでなく飲食店についてのガイドもしてくれる神保町の案内所です。目的地があるならスムーズにたどり着くことができ、目的地がなくても興味がありそうなスポットを見つけることができます。訪問時は休業日で中には入れませんでした。 ひっそりとした入口を見落としがちな次の目的地は「無用之用 issue+design」。すぐには役に立たないけど頭の奥底に溜まり、ふとした瞬間に新しい着想を生み出す“ 無用の知 ”に出会う書店です。こちらも臨時休業中のため、訪問は叶いませんでしたが、通常はイベントを開催したりアルコールの提供をしたりと、肩の力を抜いて本と向き合えそうな場所です。⑫ さぼうる(喫茶店)
神田神保町で名を馳せる喫茶店にやってきました。趣のある路地にたたずむ蔦の這うレンガ造りの建物が「さぼうる」です。入口には赤い電話やランプが飾られ、訪れる人を迎えてくれます。こちらの名物はナポリタンとクリームソーダ。色鮮やかな喫茶メニューがレトロな店内に映えます。 さぼうるの隣には、姉妹店の「さぼうる2」がありました。食事メニューが豊富で、大盛りのスパゲッティが有名なお店。こんなに近くにあったとは驚きですが、さぼうる2でのランチに始まり、さぼうるで食後のティータイムを楽しんでみても良いかもしれません。⑬ 加賀藩御用菓子司 森八
さぼうるを通り過ぎ、2021年5月8日にオープンしたばかりの加賀金沢の和菓子店「森八」へ移ります。森八は、徳川将軍家への献上品として重用され、日本三名菓の随一とも言われる「長生殿」を作っています。森八インスタグラムアカウントによると、和菓子の消費日本一は石川県なのだそうです。 森八でチェックすべきものは、店内に飾られた菓子木型や焼印。森八が所有する、和菓子作りに欠かせない道具を間近で見ることができます。 今回は、季節の生和菓子「下り藤」と、こしあんの「麩饅頭」をお持ち帰り。自宅でのおやつの時間に彩りと季節感が添えられました。歴史ある和菓子屋が作る繊細な和菓子の数々を、ぜひお試しください。⑭ 山形屋紙店(和紙専門店)
白山通りを西へ渡り、さくら通りへと移ります。通りの左手に現れるのは、日本各地の和紙やオリジナル紙製品・紙小物を扱う「山形屋紙店」です。身近な和紙の用途ですと、便箋やポチ袋、折り紙といったところでしょうか。同じものはひとつとしてない和紙との出会いは一期一会。気に入ったものがあったら即買いが鉄則です。⑮ 神保町ブックセンター
カレーで有名なボンディの場所を確認しながら靖国通りに出ると、「神保町ブックセンター」に出会います。こちらは、書店・喫茶店・コワーキングスペースの複合施設です。 書店には、岩波書店の出版物が並ぶのですが、店舗外の壁面には第1版から最新の広辞苑がその歴史とともに並べられています。時代や流行に合わせて進化を続ける辞典の歴史は、自分の過去と照らし合わせながら振り返りたくなります。⑯ すごろくや(ボードゲーム専門店)
次の目的地は、神保町ブックセンターの数件となりにある神田古書センターの7階。目指すはテーブルゲーム専門店「すごろくや」です。自宅にこもる時間が長くなり、手軽に楽しめるエンターテインメントはないものかと頭を抱えているときに、友人に勧められたカードゲームにはまったため、ぜひとも訪問したいお店でした。 店内には、世界から集められたボードゲームやカードゲームが並びます。家族のだんらんにぴったりな、小学校低学年の子も参加できる易しいルールのゲームから、推理が必要な難易度の高いゲームがあり、一家に何種類も揃えておきたくなります。 店員さんが丁寧にルール説明をしてくれるので、見聞きしたことのないゲームでも、納得した上で購入できるのもうれしいポイントです。今回は3種類のカードゲームを購入しました。コンパクトなので収納場所を必要としない点もカードゲームの魅力ですね。お酒を飲みながらの楽しみが増えました。神保町まち歩きを終えて
神田神保町は、駅を中心としてギュッとまとまったエリアに、新旧の文化が入り混じった濃厚な街でした。新旧かつ様々なジャンルの文化を包含し、斬新な切り口で本に触れたり、趣味を深められるので、自分探しにうってつけだと感じます。目的をもって訪れるもヨシ、無計画にふらりと歩くも楽し。次の休日は、懐の深さをうかがえる街に浸ってみてはいかがでしょう。 余談ですが、今更ながら明大通りに設置されている「鉄腕アトム」のデザインマンホールを見落としていることに気づきました。作中でアトムは、お茶の水小学校に通っていたとのことです。次回の訪問時には、お茶の水博士、アトム、ウランの3種のマンホールをコンプリートしたいと思います。他におすすめしたい街歩きスポット