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時は令和。戦前から脈々と受け継がれる気品と風格ただよう銀座の街は、新旧が織り交ざりながら日本の商業界を牽引し続けています。そんな、ネオ銀座とも言うべき令和の街並みは、新鋭のショップで新たに彩られつつも、居並ぶ高級店の空気感からやはり背筋の伸びる思いを感じます。そう、今回の東京まち歩きは意を決していよいよ「銀座」の繁華街を巡ります。
銀座で贈り物さがしと言えば違和感を覚えるかもしれませんが、国内外のハイブランドがひしめく敷居高き銀座にも、用途様々なギフトショップや手土産の名店が数多く存在。銀座という唯一無二の存在感をまとった品物には、品質の安心感とともに心を惹きつけ高揚させる特殊性があります。そういった、ひとたび贈れば丁寧さと心意気が通じるギフトの数々をご紹介します。
① 熊野筆セレクトショップ
銀座まち歩きのトップバッターを飾るのは、銀座一丁目駅ほど近くの「熊野筆セレクトショップ」です。銀座柳通りと銀座ガス灯通りが交差する道角にある「ひろしまブランドショップ TAU」の2階店舗。デパートの化粧品売り場を彷彿させる清潔感のある店構えに、鮮やかな色味の軸を成す熊野筆がズラリと並べられています。
180年の歴史をもつ熊野筆は、その技法・原材料・製造地(広島県安芸郡熊野町)に規定があり、熊野筆セレクトショップでは熊野町内の老舗31社からセレクトした約1,500種類の書筆・画筆・化粧筆などを取り扱います。拠点となる熊野町の本店は、筆をテーマとした日本で唯一のミュージアム「筆の里工房」館内にあるそうです。
慎ましく上品な淑女に相応しい熊野化粧筆は、ギフトでおすすめしたい逸品。伝統工芸の技術を応用し手仕事で仕立てられた筆は、世界中のメイクアップアーティストにも支持されています。山羊・リス・狸など、きめ細やかで優しい肌触りの毛は試した瞬間に心を射抜かれます。予算に応じて単品やセットをお選びください。
② SOUNDCREATE & LOUNGE
銀座二丁目の並木通り沿い、三木ビル本館の2階では、本格的なオーディオ専門店「SOUNDCREATE & LOUNGE」を見つけました。こちらでは海外ブランドのオーディオ製品を中心に取り扱い、ヴィンテージスピーカーとの組み合わせも提案する、一風変わったスタイルが特徴的です。
店内で目に留まった商品が、1933年にデンマークで誕生したスピーカーブランド「Vifa(ヴィーファ)」のワイヤレススピーカー。最先端・高品質でありながらファッショナブルで、「私を連れて行って。どこにでも置いて」と囁くデザインは生唾もの。ハンドバッグ型の「Oslo」と取っ手付きの「Helsinki」は、高価格帯ながらも音楽通な人への稀有な贈答機会で活躍します。
③ トイズキング・レトロ館
おもちゃ買取専門店「トイズキング」が銀座に構えるレトロ館は、おもちゃの買取だけでなく、レトロ玩具の販売・展示を行なうギャラリータイプのショップになっています。1階の店内は日本造園技法である枯山水から着想をえた和のデザインでまとめられ、落ち着いた内装にポップアイコンのソフビが華を添えています。
ハイクオリティなアートソフビに特化したコーナーも設けられていて、玩具ファンなら一度は訪れてみたいスポット。大人にはどこか懐かしく、子供には真新しい、そんなアーティスティックなソフビに思わず心を奪われます。
もちろん、昔懐かしい変身ヒーローやロボット系のソフビもズラリと並べられています。プレミアムな価値をもったレトロ玩具は、子供の頃には誰も想像していなかった金額で取引されます。当時を知る大人なら、店内を見まわしながら昔話に花が咲きそうです。
④ Big’ Bang’ 隕石直売所
老舗百貨店の銀座松屋からほど近く、銀座三原通りの三丁目付近を歩いていると、「隕石直売所」という不思議な看板を発見し、気になって訪れてみました。こちらは巷で話題沸騰中の隕石王子®が、所持金3万円から隕石歩き売りで開業に至ったと言われる隕石直売所「Big’ Bang’(ビッグバン)」の銀座本店です。
店内に足を踏み入れてみると、アクセサリーのショーケースや小さなカフェスペースがあり、その至る所に隕石グッズが陳列されています。ひときわ目立つ値札を見ると、いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…、なんと一億六千万円。店主の隕石王子®に聞くと、超隕石®は願い事が100万倍返しで叶う宇宙パワーを秘めていると言います。
浮足立った気持ちを抑えるべく、まずはコーヒーをいただきます。もちろん提供されるドリンクも隕石色一色。注文した「隕石アメリカーノ」は、珈琲豆の容器にメテミックボールと呼ばれる球体が入っていて、その場で隕石王子®が直々に豆を挽いてくれます。メテミックボールは、隕石を衛生的に使えるようセラミックに練り込まれ、隕石の遠赤外線効果と波動で食べ物や飲み物の味がまろやかになるそうです。
店内のカウンターに座りながらコーヒーを飲んでいると、店員さんや常連さんとの会話も盛り上がります。隕石王子®はビジネスに関する知識や経験がとても豊富で、コーヒー1杯で貴重な話を聞けるのはラッキーだと感じます。店内に飾られた絵画は、なんと隕石王子®が中心となって手掛けたのだとか。写真の絵画は既に成約済で、後日病院に届けられるそうです。
隕石グッズはアクセサリーや置き物など様々なバリエーションがあります。驚愕の値段が付いた品々も多いですが、宇宙パワーシールや隕石王子®の著書などは入門編として比較的にお求めやすい価格。仕事の充実や気の巡りの改善が期待できる、隕石の粉やカップ&ソーサーなどもあります。何かを成し遂げたい人は、この地を訪れてみると活路を見出せるかもしれませんよ。
⑤ 伊東屋(itoya)
銀座のメインストリートである銀座通り沿いには、1904年(明治37年)創業、文房具の文房具専門店「伊東屋(itoya)」が鎮座。レッドクリップが目印の12階建て「G.Itoya」と、あづま通りを挟んだ「K.Itoya」からなる本店は、銀座を象徴するスポットのひとつとして知られます。
K.Itoyaは実用性のある筆記具・画材・地球儀などが揃い、G.Itoyaには万年筆やボールペンを中心に、革小物やグリーティングカードなどギフトシーンでも重宝する豊富なラインナップが揃います。どのフロアも目を惹くステーショナリーばかりで、日本一の文具の総合デパートと称される所以を感じ取ることができます。
カスタムメイドボールペン「Mighty」やカスタマイズカード「My Emblem」など、伊東屋ではギフトで使いやすいサービスが充実。伊東屋本店に訪れるなら、商品に目星を付けていくよりも、店内を徘徊して目に留まった商品からシーンを考えてみると良いかもしれません。贈るうえで大切な裏付けやストーリー性は、伊東屋がしっかりと保証してくれます。
⑥ 煉瓦亭(れんがてい)
銀座は国内外の名店がひしめき合う美食の街。迷いに迷ったランチは、明治創業・洋食の元祖と名を馳せる「煉瓦亭(れんがてい)」で日本における洋食の原点を辿ります。平日でもお昼時には行列をなすため、ある程度は待つことを覚悟してから臨みましょう。
西洋料理を日本的にアレンジしキャベツの千切りを添えた「ポークカツレツ」や、煉瓦亭が元祖と言われるドミグラスソースを使った「ハヤシライス」など、日本洋食界を牽引してきた老舗のメニューは何度来ても楽しめるエンタメ性があります。席の間隔が広く取られ、心穏やかに料理の味を堪能することができます。
気分にマッチして注文した「明治誕生オムライス」。煉瓦亭ではもともと賄い料理だったそうですが、ミンチ肉が入ったケチャップライスは旨味の染み出た絶品感がたまらない一品。想像よりも薄く柔らかく焼き上げられた卵で包み込まれ、老舗の味でありながら現代に通ずるヘルシーさを兼ね備えています。
冬季限定のボリューミーな「かきフライ」は、育ち盛りの男性であっても満足できる一品。実はこのカキフライも、最初に考案したのは銀座の煉瓦亭と言われていて、冬場の訪れたならチェックしておきたいメニューです。大ぶりな牡蠣が5個も並べられ、薄めのサクサク衣で胃もたれ感もありません。とろりとしたタルタルソースがまた絶品でした。
⑦ ずかんミュージアム銀座
お腹が満たされたところで、事前にチケット予約をしていた体験型デジタルミュージアム「ずかんミュージアム銀座」に向かいます。子供の学習に人気な「小学館の図鑑NEOシリーズ」の世界に入り込み、動く生き物たちをリアルに体験できる施設です。毎週水曜日のスイスイ割、毎月16日のときめきの日は、通常価格から割り引かれるのでおすすめ。
受付で「記録の石」と呼ばれるアイテムを入手し、冒険が始まる部屋で石に魔法をかけてもらいスタートします。この部屋は360度のスクリーンになっていて、プラネタリウムのように神秘的な空間が広がります。物語がはじまる期待感が高まり、ソワソワと記録の石をチェックする人達が一体となって音声に耳を傾けます。
扉が開き最初のゾーンに足を進めると、スタッフから「記録の石」の使い方をレクチャーしてくれます。まるでポ〇モンのように生き物たちを収集していき、最後には地球に還す記憶の旅。生き物には近づきすぎても遠すぎてもNGで、大きな声を出すと逃げて行ってしまうそうです。
説明を受け終わると、それぞれ思い思いのゾーンに向かい生き物たちを探します。木々に囲まれた「ディープフォレスト」、川や滝が流れる「ウォーターフォール」、水中世界「アンダーウォーター」、アリ目線の「アントビュー」、サバンナ地帯「ワイルドフィールド」など、大人でも興奮する没入感があります。
体験後は、ゴールエリアで生き物たちを地球に解き放ちます。その光景は子供に見せてあげたい神秘的な美しさ。ミュージアム内に隠れている生き物の正確な数はヒミツとのことですが、最後にもらった「記録の証」によると44種類。ゲットした生き物の中からランダムでシール付きの生き物カードを1枚もらえます。
気分が高まった来場者を最後に待ち受けるのがミュージアムショップ。小学館の図鑑NEOシリーズをはじめとして、生き物がプリントされたマシュマロやクッキー、昆虫がランダムに入ったバスボムなど、やっぱり子供を連れてきたかった!と思わしめるほど魅力的なお土産を購入できます。我が子よ、次回は必ず…。
⑧ 緑寿庵清水(りょくじゅあんしみず)
ずかんミュージアムが入る東急プラザの程近く、みゆき通りと銀座コリドー通りが突き当たる角に、1847年創業の老舗にして日本で唯一の金平糖専門店「緑寿庵清水(りょくじゅあんしみず)」があります。2017年に京都から満を持して銀座店をオープンさせました。
店舗は外観から内装まで白一色で統一され、陳列された色とりどりの金平糖や包みが存在感を放ち浮かび上がります。店内では定番ものから新商品まで試食でき、スタッフさんが贈り物えらびの助けとなってくれます。箱に掛けられた梅結びの留め紐は、固い絆を象徴し、無病息災の願いを込めることができます。
桐箱入りのセットや限定品は、より丁寧な気持ちを伝えたいときに相応しい逸品ギフト。「銀製ボンボニエール」や「毬菓」は、最高級の味わいとともに、上質な器を添え贈ることができます。定番スイーツを味わい尽くしていそうな方にも、自信をもって渡せる新鮮味のあるお菓子ギフトです。
⑨ G.C.PRESS
東急プラザ銀座が建つ通りは、通称で西銀座通り(外堀通り)と呼ばれ、老舗店から高級時計店などが居並びます。この一角に店を構える「G.C.PRESS(ジー・シー・プレス)」は、書く文化を伝えるというコンセプトのもと、100種以上ものペーパーアイテムを取り揃えるレター・カード専門店です。
訪れた時期がちょうどクリスマスシーズンということもあり、店内はクリスマスカードを中心とした煌びやかな雰囲気でした。さすが専門店と言わしめるバラエティー豊かなラインナップは一見の価値あり。祝儀袋や不祝儀袋など金封の種類も豊富なので、慶事や弔事の準備に訪れてみると他に新たな発見があって面白いかもしれません。
カレンダーやシールなど好きな組み合わせでギフトセットに仕立ててくれるサービスは、ささやかながらも気の利いた贈り物になりそうです。店員さんの知識も豊富で、迷ったら声を掛けてみると良いでしょう。社内デザイナーが手掛けたオリジナル商品も、季節ごとに新作がお目見えされるのでおすすめです。
⑩ ancora(アンコーラ)
西銀座通りを挟んだ向かいには、2021年にオープンしたばかりの万年筆・文房具ギフトの専門店「ancora(アンコーラ)」があります。こちらは、筆記具メーカーの「セーラー万年筆」と文具・事務用品の「プラス」が共同で立ち上げた新ブランドで、メーカーが仲介業者を介さず販売するDtoCの形態が取られています。
カスタマイズ&ギフトをコンセプトに据え、オリジナルの万年筆を中心に、インクブレンドやパーツを選べるスケッチブックなど、その場で唯一無二の製品を作り出すことのできるサービスを提供しています。店内の一角には、インク工房と名付けられたインクブレンドのコーナーが設置され、不定期でイベントも開催されます。
万年筆ギフトは予算に応じて選ぶことが一般的ですが、こちらの万年筆はストーリー性が豊かで相手のパーソナリティに合わせて選べる新感覚。「誕生石×誕生花」の万年筆はその最たるもので、他にもマリンスポーツを嗜む人に向いた「海と太陽」や宇宙好きには堪らない「BLUE DWARF」など、見ているだけでワクワクするラインナップを成します。
季節に合わせた限定商品も見応えがあり、春には桜・紫陽花・パンジーなど、草花の美しさをそのまま閉じ込めたような商品は女性に喜ばれそうな逸品揃い。結婚記念日に相応しい夫婦万年筆は、蓋栓にダイヤモンドをかたどったデザインとホワイト&ブラックのカラーリングで、さり気ないペア感を演出してくれます。
⑪ 月光荘画材店
銀座の南西エリア、花椿通り沿いには、1917年創業の「月光荘画材店」がレンガ造りの建物に佇みます。日本で初めてコバルトブルーの純国産絵の具を誕生させた由緒ある老舗で、オリジナル製品のみを扱う画材店としては世界唯一。なんと1966年のビートルズ初来日でメンバーに画材を届けたこともあるそうです。
コンパクトな店内には所狭しと色彩豊かな画材が並べられ、スタッフとの距離も近いため個別に相談がしやすい温かみのある雰囲気。絵の具だけでなく画材を含めてすべてがオリジナル商品というこだわりに驚かされるとともに、老舗店がもつ普遍的な空間にタイムスリップ感すら感じます。
水彩画が趣味の海外出身者にギフトを探していたこともあり、店員さんに声を掛けてみると、日本生まれの水彩セットと水彩パレットを紹介してもらいました。水彩画が好きな人にとって、自国にない絵の具や画材は世界観が広がりとても喜ばれるそうです。水含みがバツグンな馬毛の筆をセットにしても素敵です。
店舗を後にしようとすると、地下の喫茶室で個展が開催されているとの情報をキャッチ。月光荘の画室(ギャラリー)は周辺に3つもあり、それぞれで様々な作家の作品を観ることができます。また、食事だけでなく展示やライブも楽しめる「月光荘サロン 月のはなれ」も近くにあり、ルイジアナを起源とするクレオール料理や名物のガンボ(シチュー料理)を堪能できます。
⑫ FUJITAKA TOWEL GINZA
福沢諭吉が設立した日本初の会員制社交クラブに由来する交詢社通りには、今治で最老舗のタオルメーカー「藤高(フジタカ)」の直営店「FUJITAKA TOWEL GINZA」が2018年にオープンしていました。様々なメーカーがしのぎを削る今治タオルにあって、100年の歴史と技術で作り上げられた極みは、ぜひ一度体感してもらいたい逸品です。
店内は温もりのある木目調で、上質なタオルの心地よさを表現しているかのような丁寧さを感じます。ふんわり感を追求した「世界鶴」やまるで絵画のような技術力の結晶「五彩織り」などの高級ラインをはじめとして、日常使いラインに至るまで幅広いラインナップで迎えてくれます。
タオルはどれも同じと思うなかれ。究極のベーシックタオルと銘打たれた「FLAG TOWEL」は、糸づくりの段階から余分な羽毛を落とし、2本の粗糸を紡いだ柔らかくコシの強い逸品。デイリーユースでありながら、羽毛が少なくパイルがよれにくいため、生地感に不安のあるちょっとしたタオルギフトでも自信をもって贈れます。
⑬ 銀座夏野(ぎんざなつの)
並木通りの一本奥の見番通りには、和食の名店が軒を連ねます。その中でも異彩を放つ「銀座夏野(ぎんざなつの)」は、まるで博物館のような多種多彩なお箸を凄まじいラインナップで揃える専門店です。入り口に置かれた壺からはメダカがお出迎えしてくれ、掲げられたお箸の禁じ手にも見入ってしまいます。
店内に歩みを進めると、その数なんと3000種類以上の箸が壁一面に展示されていて、色とりどりの艶感ときらめきが絶えない豪華絢爛な内装に心奪われます。サイズ・素材・色・デザイン、そして価格帯など、ピンからキリまで用意されたお箸は日本有数のラインナップを誇ります。もちろん箸置きの品揃えも充実。
銀座夏野には幾度となく取材やショッピングで訪れている筆者。今回の目的は、食洗機対応のこども箸です。最近めきめきと箸使いが上達している我が子のために、職人手作りの箸を物色します。年齢に応じたサイズの目安が書かれていて安定感のある選びやすさ。店員さんに相談不要な玄人感を出しつつ、大満足な一品をセレクトしました。
⑭ 珈琲専門店 三十間
銀ブラで疲れた足を休めるのには、スターバックスコーヒーもいいですが、静かで落ち着いた雰囲気を楽しむなら珈琲専門店「三十間(サンジッケン)」がおすすめです。コーヒー豆専門店の「やなか珈琲」が運営するカフェで、朝日稲荷神社の赤い旗が目印、外観からしてムーディーさが漂う地下1階の店舗です。
お店の扉を開くと、薄暗い店内にはスタンドライトの明かりがポツポツと光り、ボサノバの心地よいミュージックが流れる静かな空間が出迎えてくれます。筆者が注文したのは「本日の珈琲」と「シフォンケーキ(プレーン)」。コーヒーは2杯分をポットでサービスしてくれ、ふわふわのケーキとともに根を生やしてのんびりと休憩することができます。
⑮ GINZA SIX(ギンザシックス)
銀座には、和光・三越・松屋・東急プラザなど、日本トップレベルの錚々たる百貨店が軒を連ねます。その中でも比較的に新しい「GINZA SIX(ギンザシックス)」は、かつて銀座最古参の百貨店であった松坂屋の跡地に2017年オープンしました。頻繁にテナントの入替えを実施し、常にフレッシュでラグジュアリーなブランドがしのぎを削る、銀座界隈で最大級規模の商業施設です。
フランクミュラー・パティスリー
サッカーの本田圭佑選手が愛用していることで日本でも一躍有名となったスイスの高級腕時計ブランド「フランクミュラー」。ギンザシックスの2階フロアに鎮座する店舗の脇に2022年にオープンした「フランクミュラー・パティスリー」は、世界初となるブティック併設型のパティスリーショップです。
店内に入ると高級感あふれるスイーツが上品に並べられ、見ているだけで鼓動が高まります。卓越した美的感覚と高度な技術によって「時」に彩りを与えてきたフランクミュラーが、スイーツでも甘く優雅な時間を知らせてくれるのでしょう。人気の「和三盆きな粉サブレ」は、徳島県産の和三盆と丹波篠山産の黒大豆きな粉をブレンドしたやさしい食感のサブレ。
アイコン的存在の「フルーツパウンドケーキ」や愛を告白するギフトとして人気の「バーチディダーマ」など、その場で立ち尽くして迷ってしまうほど魅力的なラインナップは圧巻。悩んだ末に筆者が購入した「大吟醸ショコラ」は、生チョコレートに純米大吟醸の豊かな香りが合わさった大人の贅沢スイーツです。
玖島(くしま)ローズ
ギンザシックス地下2階には、フェミニンな内装でときめきを感じる、食べるバラの専門店「玖島ローズ(KUSHIMA ROSE)」が店舗を構えます。自社農園で栽培した無農薬の香り高い食用バラを、新鮮なうちにパティシエがひとつひとつ手作りしています。GINZA SIX店には、アフタヌーンティーやドリンク各種を実際に体験できるカフェスペースも設けられています。
店頭のショーケースには、人気の「香るバラのカップケーキ」が陳列。バラのパウダーがたっぷり練り込まれた生地を焼き上げ、バタークリームには香るバラのしずくとバラを18ヶ月漬け込んだローズリキュールが配合される徹底ぶりです。優雅なカップケーキは手土産に最適で、冷凍保存で一か月の賞味期限、3個・6個・9個入りを選べてひとつずつ個包装になっています。
Tea Forte(ティーフォルテ)
同じく地下2階にショップを構える「Tea Forte(ティーフォルテ)」は、二ューヨーク近代美術館(MoMA)で活躍したデザイナーにより生まれた、ニューヨーク発祥のプレミアムティーブランド。ブランドアイコンのティーバッグは、お湯にひたしても潰れず、茶葉の美味しさを引き出しながら目でも愉しめる特別設計。
ティーフォルテとニューヨークボタニカルガーデン(NYBG)のコラボレーションで誕生したティーコレクションは、四角錐のパッケージ先端の持ち手が葉っぱの形をしたユニークなデザイン。植物画の巨匠が描いた絵柄とともに「紅茶の美術館」で至福のティータイムを愉しむことができます。
恵那栗工房 良平堂
恵那栗和菓子を職人こだわりの手作りで販売する「恵那栗工房 良平堂(りょうへいどう)」は、帰省手土産やちょっとしたお礼に活用したい老舗和菓子店。岐阜県美濃地方東部の中津川市と恵那市は恵那栗の産地として有名で、良平堂の栗きんとんや栗福柿は伊勢神宮にも奉納したことのある縁起物として知られます。
特におすすめしたい一品が、日本ギフト大賞2019を受賞した「栗福柿」。柿の名産地である長野県高森町市田の「干し柿」の中に、中山道の大井宿として栄えた恵那の名物「栗きんとん」を包んだ優しい味わいの銘菓です。他にも、人気の栗きんとんや栗どらやき、水まんじゅう、よもぎ大福など、多彩な栗スイーツが目白押しな注目のショップです。
⑯ 白金や(プラチナや)
ギンザシックスを後にしたら、最後は自宅用に銀座のいなり寿司を買って帰路に着きます。銀座には「なみ木」や「吟まめだ」など、いなり寿司の名店が点在しますが、今回は前々から気になっていた歌舞伎座のお膝元に位置する「白金や(プラチナや)」を訪問します。
舞台化粧を落とさず食べれるいなり寿司は、歌舞伎役者界隈で定番の差し入れであるとともに、観劇中の小腹満たしやビジネスシーンでのお土産など「粋な差し入れ」として活躍の幅を広げています。白金やの店内は、シンプルながらもどこか心穏やかになるような洗練された空間が創り上げられています。
お品書きは自信の表れである2つの商品のみ。一番人気の山椒と胡麻を詰め合わせた「連獅子」と、いなり6種が入った「六歌仙姿彩」です(一口いなりの「お部屋見舞い」は2日前までに要予約)。初訪問の筆者は色々な味を楽しみたかったので六歌仙姿彩をオーダー。箱を開けた瞬間から漂う焼き目のついたお揚げの香ばしさと、冗談抜きで箸が止まらなくなる寿司種の味わいは一食の価値があります。
おわりに
寒空の下で歩いた銀座プロムナードは、充実感で心がほっこり温まる気分となりました。さすが銀座と思わせる名店の数々から明日への活力をもらえた街歩き。美食だけでなくアートにギフトに懐の深い銀座は、ひとりのホリデー散歩から友人やパートナーとの休日デートまで、幅広いシーンで使えそうだと感じます。是非とも記事を参考にあなただけの銀ブラを楽しんでみてくださいね。
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