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身体のためにも、毎日摂取したい美味しい野菜。ビタミンや食物繊維など栄養をたっぷり含んだ瑞々しい野菜は、調理せずそのまま食べてもヘルシーなご馳走になります。子供のいる家庭では、我が子の健やかな成長を願い、野菜好きになって欲しいと試行錯誤しながら奮闘する親御さんも多いことでしょう。
花屋で手に入るブーケは観賞用ですが、今回ご紹介したい「ベジブーケ®」は野菜をあしらった食べられる花束。日頃から口にしているトマトや人参がブーケになるので、見て楽しんだ後は食べて楽しむこともできる面白さがあります。五感を通して野菜からパワーをもらえるビューティーケアの贈り物です。
旬の野菜がたっぷりと盛り込まれたブーケは、季節を感じるシーズンギフトにもなります。野菜が好きな両親への父の日・母の日ギフト、健康に気遣う祖父母への敬老の日ギフト、子どものいる友人へのお中元・お歳暮に。元気に過ごしてほしい相手に贈りたい、美しく美味しいベジタブルギフトをご紹介します。
見て楽しい、食べて美味しい「ベジブーケ」とは
ベジブーケとは、野菜・果物・ハーブ・エディブルフラワー(食用花)などを束ねた「野菜(ベジタブル)」の「花束(ブーケ)」。野菜ブーケの第一人者、小山美千代氏が経営する有限会社伊藤苗木の商標登録商品です。今回はベジブーケの生みの親である小山氏に、その魅力について話を伺いました。
ベジブーケの誕生はおよそ20年前、小山氏が結婚を機に農業に携わるようになったことが始まりです。種まきから野菜の成長を見守り、育てることに喜びを得ていたものの、当時としては真新しく珍しい品種の野菜は販売が芳しくなかったそうです。
生産者としては手ごたえを感じ、端正込めた野菜がなぜ消費者に喜んでもらえないのかと、小山氏は疑問を抱きました。そこで思い浮かんだのが野菜のブーケ。「まずは味よりも、形や色艶を感じ取ってもらおう」と、目で見て楽しむことを重視したベジブーケが誕生しました。
「とにかく美味しく食べて、元気になってもらいたい」をモットーに、贈り物ならではのサプライズ感と季節感を意識しながら、できる限り野菜を傷付けないよう心がけて製作しています。青果の香りや色彩、栄養をたっぷり含んだ旬ならではの味わいは、五感を通して印象に残ります。初夏のハーブや夏野菜など、心を尽くして束ねられたベジブーケはひとつとして同じものがありません。
いざ野菜でブーケを作ったものの、世間に受け入れられるか自信を持てない時期もあったと小山氏は振り返ります。しかし、時間をかけてベジブーケの魅力を発信するうち共感する仲間が集い、印西市ふるさと寄附金の返礼品としても推薦されるようになりました。「今でも改良を重ねて少しずつ進化しているんですよ」と小山氏は穏やかに微笑みます。
自然豊かな土地の農家に生まれ、幼少期からフラワーアレンジメントや華道を学ぶとともに、栄養士免許を取得した後にインテリア業界と花業界を歩んできた小山氏。現在はベジブーケの製作のみならず、展示会場で野菜を活用したオブジェを作ったり、デパート催事のブース協力など活躍の場を広げています。
自社農園の野菜を使用したベジブーケのこだわり
ベジブーケを贈り物の候補にするとき、気になるのは相手に喜んでもらえる根拠が秘められているかどうか。見栄えが申し分なくても、安全性や美味しさについて知っておきたいものですよね。野菜がふんだんにあしらわれたベジブーケには、自社農園の野菜ならではのこだわりもたっぷり盛り込まれています。
美しいだけでなく美味しさもピカイチ
ベジブーケは、小山氏が経営する農園で育てられた野菜を中心に、季節の旬野菜を束ねます。農園では夏期だけで120~130種類、年間で200種類もの野菜を育てています。ミニトマトだけでも6種類ほど育てていて、野菜好きにはたまらないバリエーション。新しい野菜も積極的に育てているため、創作意欲をかき立てる贈り物としてシェフへのギフトに選ばれることもあるそうです。
ベジブーケには最低12種類(農閑期)、平均20種類以上の野菜・ハーブ・エディブルフラワー・フルーツを盛り込みます。「こんなに素敵な野菜があるんだけどいかが?」と、まるで農家から直接提案されているようで興味深くもあります。美味しさにこだわって作られた野菜をお試し気分で食べられるので、野菜が好きな人の好奇心をくすぐりそうです。
小山氏が育てる野菜は、見た目からハリや瑞々しさが伝わってくるものばかり。そんな野菜作りで最も大切にしていることは「土」だと言います。里山で集めた落ち葉を数年間発酵させることで栄養豊富な腐葉土をつくり、自家製の肥料と混ぜて土を作ります。野菜や果物から放たれる鮮やかさは、長い年月をかけ作られた土から育まれたものなのです。
鮮度にこだわった朝採り野菜を使用
野菜の美味しさを左右する要素のひとつに鮮度も挙げられます。ベジブーケの素材には、自社農園で栽培された朝採り野菜を使用。朝採った野菜は、午前のうちに水揚げなど下処理を行ない、午後にブーケに仕上げ、夕方には発送します。そのため、翌日の午前中には新鮮さを保った状態で手元に届くのです。
できる限りフレッシュな状態でベジブーケが届くように逆算して作業の工程を組んでいる配慮、そして手間を惜しまず労力を費やす不断の努力から、小山氏の心づくしを感じます。「今日ですと、お野菜の他に紫バジルとマリーゴールドも入れようと思案していて」と丁寧に話す小山氏の言葉に終始癒されました。
手にした瞬間、明るい気持ちになる
フラワーアレンジメントを嗜み、花屋を経営していた経験を備える小山氏が、フラワーブーケから着想を得て生まれたベジブーケ。花でつくるブーケとの違いにツヤ・立体感・重さなどが挙げられますが、中でも深みのある色合いを一番に感じてもらいたいと小山氏は話します。手にした瞬間に明るい気持ちになれるよう、カラフルな野菜やエディブルフラワーを添えることも意識しているそうです。
色使いが肝となるベジブーケにおいて、赤などの単一色でまとめても暑苦しい印象にならないのが面白いところ。赤色系を中心にまとめられた作品例をみると、赤色の中にも微妙なグラデーションがあり、柔らかな印象の野菜ブーケに仕上げられています。また、香りの記憶は深く刻まれます。ベジブーケの箱を開封したとき、季節のハーブの香りで部屋が満たされるイメージで束ねているそうです。
ひとつとして同じものはなく、その時々でことなる表情のベジブーケが完成する点も野菜を使った魅力です。「野菜そのものが美しくデザインされたものだから、自然の造形美を感じることができるのです(小山氏)」。自身の役割を「鮮度を保った状態で野菜をきちんと束ね、間違わず配送先に送ること」と表現する小山氏の言葉からは、野菜への敬意と信頼感が窺えます。
食べる人への見えない思いやりも
ベジブーケに使われる野菜・ハーブ・果実は、すべて食用を目的とした手法でブーケに加工しているため、安心して食べることができます(花も観賞用ではなくエディブルフラワーを使用)。また、ブーケに使うテープや支えなどの資材は、口に入れても安全な素材が選ばれています。見えるところから見えないところまで、ベジブーケを取りかこむ環境には行き届いた配慮が隠れています。
ハレの日におすすめしたい、心温まる野菜のブーケ
誕生日や結婚祝い、就任祝い、開店祝いなど、ハレの日のギフトに選ばれることが多いベジブーケ。「お野菜も晴れてるときにより元気に見えるので、慶事のシーンにぴったりだと感じます(小山氏)」。甘いものが苦手な人にも喜んでいただけるところも大きな魅力。青果の生命力を感じ、エネルギーに満ち溢れた贈り物になるでしょう。
べジブーケには、使用されている野菜品種が記載されたカードが添付されます。読み物としても面白いだけでなく、カードを眺めながら親子で野菜当てクイズを楽しんだり、「この野菜は初めて口にするかも」なんて会話をするのも素敵な時間です。
そんなベジブーケには、青果ならではの注意点もあります。それは、確実に受け取っていただける日時を指定すること。インパクトのある贈り物をサプライズで届けたいと考えるかもしれませんが、ベジブーケを贈る際には相手に在宅日時の確認をして鮮度の良さも楽しんでいただきましょう。
ベジブーケ
ベジブーケ®10両手いっぱいの野菜を抱えて楽しめる「ベジブーケ®」。結婚祝いのシーンで「実のある人生」「実を結ぶ」なんて意味合いを込めて贈られることもあるそう。親戚や友人の結婚祝いに贈りたいですね。12種類以上の旬の野菜やハーブがデザインされたハリ艶のあるブーケは柔らかな煌めきを放ち、高揚感もひとしおです。
誕生日プレゼントで貰えたら、野菜から英気をもらえ「新しい1年を頑張ろう」と気合いが入りそうです。産地直送の採れたて野菜はちょっとした贅沢品。お客様の中には自分へのご褒美として贈る方もいます。健康と美容の助けになる野菜をたっぷり摂れるので、身体を気遣ったギフトとして高齢の方や若い男性にも喜ばれるでしょう。
アレンジメントタイプ
ベジブーケ®アレンジメント15ベジブーケを飾りやすい置き型タイプの「アレンジメント」。ブーケアレンジメントから野菜を抜き取ると、あたかも収穫体験の気分を味わえそう。多種多彩な野菜を一度に観察できる稀な機会となり、子供の食育も兼ねた贈り物にしても喜ばれそう。「元気に育ってね」というメッセージを込めて、自分の子供や孫へのプレゼントにうってつけです。
また、置き型タイプなので開店・開業祝いにもふさわしく、お祝い花が並んだ中でも見栄えよく、華やかなセレモニーをより一層引きたててくれます。飲食店の開店祝いなら、空間を彩ったあとにベジブーケの野菜を使って一品つくるなど楽しみがつながります。もちろん御祝い札やメッセージを付けることもできます。
オーダーメイド
ベジブーケ®アレンジメント オーダーメイド30好きな野菜の種類や色合いなど、要望を盛り込むことができる「オーダーメイド」は、よりパーソナライズされたギフトを創ることができる頼もしいプラン。過去には、開店祝いの品としてお客様とシェアできるようにと、複数のオリジナルアレンジメントをオーダーされるケースがあったそうです。
病気を患って糖分や塩分を控えている方や、病み上がりで栄養満点な食事を摂りたい方にも喜ばれそうなベジブーケ。見た目からも元気になるビタミンカラーでまとめたり、穏やかで心休まるグリーン中心の色合いでオーダーしたり、相手の状況に合わせて自由自在です。「私自身が日頃から野菜や自然からパワーをもらっています。元気を届けてあげたい人にぜひ贈ってほしいです(小山氏)」。
小山美千代氏が開催するベジブーケの装飾レッスン
千葉県・印西市の農園に併設するスタジオでは、野菜を使ったベジブーケのコーディネートを学べるレッスンが開催されています。自然豊かな里山で、自然光が差しこむ白を基調とした癒しの空間。「考えごとが尽きない方にも、頭の中をリセットして只々野菜と向き合う時間を味わっていただきたい」という小山氏の想いが込められています。
レッスンは、野菜装飾テクニックや鮮度を保つ方法などの技術を学べるコースが、初級・中級・上級・プロの4段階で設定されています。技術習得だけが目的ではなく、作り手の感性を大切にした創作達成感を味わうことを重視していて、初級コースでは家庭菜園アドバイス・キッチンガーデン・簡単調理法など日々の暮らしに役立つ内容が盛り込まれています。
ベジブーケを社会と交わるきっかけにして貰いたいという気持ちを込め、プロコース修了生には、ワークショップ開催やベジブーケ販売に向けた取り組みを支援しています。そんなベジブーケのレッスンは、それぞれの目的に合ったカリキュラムが提供されるとともに、野菜や植物の魅力を深く感じ取れる無二の体験を味わえるのです。
おわりに
輝きを放つ生き生きとした朝採り野菜を束ねた「ベジブーケ®」は、華やかさと美味しさを兼ね備えつつ、満ちたりた生命力も届けられるパワフルな贈り物。見たことも食べたこともない野菜との出会いを贈ることもでき、野菜好きならずとも胸が躍るハッピーギフトになります。
小山美千代氏の自然と野菜をリスペクトする姿勢、そして誠実さにあふれた人柄から、和やかな気持ちでパワーをもらえたインタビューでした。誕生日プレゼントや結婚のお祝い、敬老の日や母の日の贈り物など、自然の豊かな恵みが詰まったベジブーケを大切な人に贈ってみてはいかがでしょう。