INDEX
① COTSWORLDS(コッツウォルズ)
赤と白のストライプのポップな軒が目印の「COTSWORLDS(コッツウォルズ)」。イギリス製輸入雑貨のお店で、お菓子からステーショナリー、おもちゃ、ファッション小物など、英国スタイルを満喫することができます。 店内に入るとずらりと並んだアヒル達がお出迎え。誰しも一度はラバーダックと出会ったことがあるかと思いますが、こんなにもバリエーションがあることをご存じでしたか? 日本ではお風呂に浮かべて遊ぶ子供のおもちゃというイメージですが、イギリスでは大人にも人気があるそう。世相を反映した時の人をモチーフにしたラバーダックもあり、話のタネになりそうです。 実は、このお店を訪れたのには目的があります。ユーモラスでかわいらしく、洗練されたデザインが高い人気のホーンジーという英国陶器メーカーの陶磁器です。完全に個人的な趣味ですが、2000年に惜しまれつつ解散したこちらのメーカーのヴィンテージマグカップを、数年前からこつこつ集めては時折眺めて楽しんでいます。浮足立ちながらお店を訪れただけあり、たくさんの商品を見ることができました。 いろいろ迷って、マグカップではなくコーヒーカップとソーサーのセットを購入。ゆ薬の色味や貫入の入り方が一点一点異なるので、ヴィンテージは出会った時が買い時です。一件目ですでに大満足です。② Giovanni(ジョヴァンニ)
大好きな趣味の世界に興奮冷めやらぬまま、イギリスから次はイタリアへ向け出発します。COTSWORLDSのお隣にある「Giovanni(ジョヴァンニ)」は、イタリア製のステーショナリーと雑貨のお店です。 中世貴族の書斎に迷い込んだような内装の店内には、ガチョウ羽のペンやベネチアンガラスで作られた繊細な装飾のガラスペン、ルネサンス期に実際使用されていた模様で押すシーリングスタンプなど子供のころ憧れた美しくも実用的な商品が並びます。シーリングワックスやインクは色バリエーションも豊富で、大人のこだわり文房具を探されている方にオススメです。③ 吉祥寺PukuPuku
旅の舞台は、いったん日本に戻ります。Giovanniの3件隣は、アンティークの和食器店「PukuPuku」です。 店先に積み上げられた陶器の食器たちに気を取られつつ中に入ると、店内にも和食器が積み上げられています。江戸時代後期~大正時代までの器を中心に取り扱っており、普段使いに向いた量産品から職人の手仕事で一つずつ製作された大皿まで、具体的なモチーフが描かれた図柄を使用用途によって選ぶことができます。 例えば、紅葉の図案の小鉢に茄子の揚げびたしを入れてみたり、お祝いの席のご馳走を亀が描かれた小皿で取り分けたり。日本人ならではの美的感覚で食の奥深さを器から表現するなど、食器を使い分けるだけで家での食事がより豊かになること間違いなしです。 PukuPukuは、吉祥寺に2店舗を構えており、西公園前店は古い年代のもの、中道通り店には比較的新しい年代の器を中心に取り扱っています。アンティーク品との出会いは一期一会ですので、ぜひ2店舗とも訪れお気に入りの器を探して下さい。④ アーティスタンブール
中道通りから入るわき道に、エキゾチックなランプが灯る店舗を見つけ、引き寄せられるように店内へと入りました。 店名の通り、トルコ産のインテリアを中心に扱うお店で、中にはいるといかにもオリエンタルな商品が陳列され異国の雰囲気が漂います。 トルコ南部の地域でオスマン帝国時代から作られているというモザイクガラスで作られた由緒正しいランプは、日本のそれとは異なる独特の色彩で店内を染め上げます。その鮮やかな光を眺めていると、脳内で名曲「異邦人」が流れ始めました。 絨毯に施されている独特の幾何学模様はトルコキリムと呼ばれ、豊穣、繁栄といった願いが込められたモチーフが取り入れられています。積まれた絨毯は手織りで柄が一点一点異なり、好みのものを探すのも楽しい時間。手触りの素晴らしいシルクの絨毯に触れると、かの地で絨毯を織る職人に思いを馳せることができます。 店主はトルコ出身ですが、日本語が堪能で絨毯の作られ方や手入れ方法、ランプを作る職人の話など会話の花を咲かせてくれ、プレゼントをする際のお土産話にもなりそうだと感じました。⑤ Billboard(ビルボード)
中道通り商店街から北に歩を進め、昭和通り沿いにある1990年開店の「Billboard(ビルボード)」を訪れました。欧米製のポストカードを中心に扱う店で、階段を降り半地下になった店内に入ると、個性豊かでおしゃれなカードたちがずらりと棚を埋めています。 バースデーカードや結婚祝いのカード、クリスマスカードなど、日常的にカードを贈る習慣のある欧米ならではのシーンに合わせた豊富なカードが揃います。商品はアメリカ製、フランス製が多め。手書きのPOPがところどころに貼られており、思わずくすりと笑ってしまう書き込みも。絶妙な色遣い、大胆な構図のイラストは見るだけで楽しく、絵画のように額に入れて壁に掛けても良さそう。 パズルのなったバースデーカードや仕掛けの付いたメッセージカードを選べば、もらう側も楽しいはず。価格もお手頃なので、家族や仲のいい友達に、気軽に一言添えて渡してみるはいかがでしょう。 おしゃれな内装と比べると硬派な看板。ギャップがたまりません。⑥ CHECK & STRIPE(チェックアンドストライプ)
昭和通りからさらに北へ。大正通りまで出ると、シンプルながらおしゃれな外装のファブリックショップに出会えます。英国リバティ社のプリント生地とオリジナル生地を中心に展開、販売する「CHECK & STRIPE(チェックアンドストライプ)」です。 リバティ社は19世紀のロンドンに百貨店として創業、大衆向けにシルクの代替え品として高級感のある光沢を持ったコットン生地「タナローン」を開発、販売した、手芸の趣味がある人であれば誰もが知る企業です。 リバティプリントは柄の数がとにかく多く、すべての商品を取り扱うお店はありません。柄のセレクトはお店のごとに異なりますので、自分好みの柄を扱うお店を見つけられると嬉しいものです。CHECK&STRIPEでは定番の花柄の他動物モチーフや幾何学模様も取り揃えており、リバティファンはチェック必死です。 大がかりな手芸はちょっと、という方にお勧めなのはCHECK&STRIPEオリジナルのアップリケ。国内の工場で一つ一つ作られた鳥や犬などの素朴で愛らしいアップリケは、アイロンで手軽に布に接着することができるので、無地シャツのワンポイントや布バックへの装飾にオススメです。⑦ アトリエ ニキティキ(NIKI TIKI)
CHECK & STRIPEから東、吉祥寺駅方面へ歩いていくと、ふわりふわりとシャボン玉が漂ってきます。どこから来たのだろうとあたりを見回すと、機械仕掛けのクマのぬいぐるみがシャボン玉を飛ばす楽しいお店を発見しました。「アトリエ ニキティキ(NIKI TIKI)」はドイツやスイスなどのヨーロッパの商品を中心に扱うおもちゃ屋です。 シャボン玉で遊ぶ親子を横目に店内に入ると、白の壁紙と木の床の内装は清潔感があり明るく、陳列されたヨーロッパならではの洗練された雰囲気のおもちゃがよく映えます。おままごとに使う小さいサイズのキッチンや木製のボードゲーム、カラフルながらも温かみのある配色のおもちゃたちは、子供だけでなく大人が見ても思わず笑顔になる品物ばかり。ナチュラルテイストの木製製品は置いておくだけでおしゃれなインテリアにもなりそうです。⑧ HARMONIA SAJILO(ハルモニア サジロ)
2019年にオープンした吉祥寺、西荻窪、軽井沢でそれぞれカフェを展開する「SAJILO(サジロ)」の、スパイスとお茶、生活雑貨を販売するショップ。一歩店内に足を踏み入れると、静謐な空間が広がりセンスの良い家具やディスプレイされた小物が居心地の良い雰囲気を演出しています。 販売しているスパイスはネパールより仕入れたもので、カレー作りに使用するだけでなく肉料理や魚料理、スイーツに飲み物にと使い方次第で、家でも海外の本格的な味を楽しむことができます。ガラスの瓶に詰められたパッケージもおしゃれで、ギフトとしても喜ばれる品物です。 吉祥寺にあるSAJILOのカフェ2店舗では、インドカレーやビリヤニなどを手頃な値段で食べることができますが、どちらも人気店なので並ぶ覚悟が必要かもしれません。⑨ WORLD BREAKFAST ALLDAY
大正通りの東端で気になる看板を発見しました。どうやら店名通り、世界の朝ご飯をテーマにしたご飯が食べられるお店のよう。ちょうどお腹も空いてきたことですしと、ふらりと誘われるまま看板の奥にある店へと向かいます。 愛想のいい店員さんに声をかけ、天気が良いのでテラス席に座りました。店構えはアメリカのカジュアルレストラン風で、ビル脇に並べられた座席はアジアの屋台を連想し、どことなく多国籍感があります。こういうお店、好きです。 早速メニューを開いてみます。セットを頼むのが基本のようで定番の台湾、アメリカ、イギリスに加え、期間限定メニューを選ぶことができます。今回は期間限定のトルコの朝ご飯とトルコのソウルドリンク、アイランを注文しました。 食事を注文し終わると、なにやら小ぶりの手帳を手渡されました。来店客が書いた「自分の定番朝ごはん」ノートです。食事が運ばれてくるまでの待ち時間にレストランに訪れたお客さんの定番朝ごはんを閲覧、自分も記入することができます。 母国語を書く時特有のラフな文字は読めずとも、異国の情緒を感じることができ、添えられたイラストが微笑ましいです。 ノートを眺めている間に、飲み物が運ばれてきました。注文した「アイラン」は、ヨーグルトに塩を加えたトルコでは古くから飲まれているドリンク。ヨーグルトがしょっぱいというのがいまいち想像できず注文してみましたが、飲んでみると確かにしょっぱいヨーグルトでした。不思議な感覚ですが、ミントも効いているので食事のお供にするには良さそうです。ちなみにヨーグルトはトルコ語だそう。食文化にヨーグルトが根付いているんでしょうね。 程なくして「トルコの朝ご飯」も運ばれてきました。まず目に入るのが、これでもかとゴマの付いたドーナツ状のパンです。「シミット」というこのパンは、パンの下に置かれたぶどうシロップを混ぜたゴマペーストをつけ食します。ジャム程強い甘さは無く、ほんのりと甘くゴマの風味が口いっぱいに広がります。 プレートの中央にはトルコ風のスクランブルエッグ、手前に牛肉のソーセージ、酸味と塩味が強めの白チーズと、生野菜が盛り付けられており、全体的に優しい味付けで食べやすく、女性だとちょうどいい量でした。男性だと単品メニューを一品追加してもいいかもしれません。期間限定メニューは二か月に一度変わるので、都度足を運び、料理を通して海外の文化に触れてみてはいかがでしょうか。 腹ごなしに少し歩いて、駅の南側エリアを目指します。繁華街エリアが大きい吉祥寺ですが、ここは住宅地が密接しており、一歩脇道に入ると驚くほど人通りも少なくゆったりした散歩が楽しめます。 少し話はそれますが、住宅(とその間取り)を見るのが好きな方いらっしゃいませんか? 地方色のある住宅はもとより、都会の住宅であっても個性が光る外観を拝んだり間取りを想像してみたり。何もないと感じる道沿いも見まわしてみると、面白い発見があるかもしれません。そういった出会いも街歩きの楽しみですよね。 猫とのつかの間のふれあい。挨拶はスルーするスタンスのようです。⑩ Bellbet(ベルベット)
シンプルな看板を掲げたショップを見つけました。北欧、ヴィンテージ家具、気になる単語が並んでいたので階段をのぼり店舗へ入りました。 日差しがたっぷり入る明るい広々とした店内に、洗練された家具が並んでいます。オランダやデンマークなどで作られた家具は、近づいてみると落ち着いた佇まいの中に味のある風合いを見ることができます。 ショップの方に話を伺うと、1950年代~1970年代に生産された家具が中心で、仕入れ後埼玉県東松山市にある自社工場で職人さんがメンテナンスを施しているのだそう。デザインの中の適度な装飾が現代の住宅にも相性が良く、しっかりと手入れされているため長く使い続けることができます。 セレクションされた家具たちに合いそうな輸入雑貨も取り扱っています。上の画像は、イランの手織りのティッシュボックスカバー。一点一点柄が違います。 リトアニア製の猫の鍋敷き。枠内の愛らしい猫たちは取り外しができパズルになっています。料理が出来上がるまでの待ち時間に遊べるように、という遊び心の効いたデザインです。⑪ 井の頭恩師公園
言わずと知れた吉祥寺のランドマーク。総面積43万㎡という広大な敷地の中に、三鷹の森ジブリ美術館や動物園、北村西望彫刻館など多くの観光スポットを有し、午前中から夕方まで多くの人で賑わいます。吉祥寺まできたら、やはり訪れておきたい場所です。 桜の名所なので訪れたことのある方も多いかと思いますが、古くから歴史がある土地で園内を回ってプチタイムトリップを楽しむこともできるのです。 敷地の多くを占める井之頭池は湧き水で、その清らかさが「井之頭」の名称の由来になったといわれています。湧き水は古くより人々の生活に利用されていました。園内にある御殿場山遺跡では縄文時代の竪穴式住居跡が発掘され、その痕跡を見ることができます。はるか昔から井の頭池のほとりに人が集い生活していたことを想像すると、悠久のロマンを感じます。 園内の西側にある弁財天は、起源を平安時代までさかのぼる由緒正しいお堂です。鎌倉時代末期の戦乱で焼失し、その後三代将軍徳川家光によって再建されました。家光は御用林だったこの地にたびたび鷹狩りに訪れていて、湧き水の美しさを称えた家光の言葉が「井の頭」の名称の由来になったんだとか。 ボード場も実は歴史が古く、1929年(昭和4年)の開設。そのころから池にはたくさんのボートが浮かんでいたのかしら。時代が変わっても井の頭公園の賑わいは変わることなく綿々と続いていくのでしょう。 小さい秋はこの公園で見つけられました。 おわりに 「旅する吉祥寺」をテーマにした街歩きはいかがでしたでしょうか。海外旅行には久しく出かけられていませんが、工夫次第で異文化に触れるチャンスは作れるものだと改めて思いました。 たくさんあるお店の中から、こうしてテーマを決めて回ってみるのも新鮮で楽しいですね。吉祥寺はまだまだ魅力的なお店のあるエリア。また別の機会に、他のオススメショップも紹介したいと思います。他におすすめしたい街歩きスポット