本記事は、東京で「気になるスポット」を散策した体験談のコラムです。第6弾の今回は、中央区の日本橋人形町エリアをぐるっと一周散策したコースをご紹介します。プレゼント探しを兼ねた休日デートに、ぜひ参考にしてみてください。

東京メトロ日比谷線と都営浅草線が通る人形町の駅。かつて、江戸歌舞伎や人形浄瑠璃などの芝居見物で賑わい、人々の娯楽の街として栄えていました。その芝居見物の一連の流れとして、茶屋をはじめとする飲食店も多く立ち並びました。

現在は、オフィスビルがそびえ立つ一方で、神社が存在感を放ち、歴史ある飲食店が昔と変わらず活気をみせています。今回のまち歩きでは、伝統的な七福神(神社)巡りから、趣きある甘酒横丁の散策、おしゃれな専門店めぐりまで、魅力的なお散歩コースを見つけました。本格的な冬を迎える前に、ふらっと小さな旅に出掛けてみませんか?
① CLASSICS the Small Luxury のハンカチーフ

人形町駅のA5出口からスタートし、ファミリーマートを通り過ぎた一つ目の交差点を左に進むと、ほどなく見えてくるのがハンカチーフ専門店「
CLASSICS the Small Luxury(クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ)」。こちらでは、色とりどりの素敵なハンカチーフをお買い物できます。

刺繍のオーダーもでき、イニシャルや可愛いモチーフを選ぶことも可能です。様々なデザインのハンカチーフがあり、どれにしようか迷ってしまうほど。自分へのご褒美や、誕生日の近い友達へのプレゼントなどに、とっておきの一枚を見つけてくださいね。
② 椙森神社/富塚碑〔恵比寿神〕
椙森神社は、
恵比寿神が
祀られています。平安時代には、
平将門の乱を
鎮定するために、
藤原秀郷が戦勝祈願をしたところといわれています。また、江戸時代には火災によって寺社が焼失し、その再建費用のために
富興行が行われたそうです。
当椙森神社は、遠く一千年の昔、未だ江戸が武蔵野の原と言はれた時代の創建です。江戸時代には、江戸三森の一つであり、又、江戸商人の発祥の地としても栄えて来ましたが、神社が街の中心にあるため、江戸三富の一つにも数えられるほど数多くの富籤が興行された事が記録に残されています。
境内の案内看板より引用
富籤とは、賭博の一種で現代の宝くじのようなもの。宝くじの元祖として、祈願しに訪れる方もいるようです。
③ 末廣神社〔毘沙門天〕
次に向かった
末廣神社は、
毘沙門天を祀る神社です。毘沙門様は勝負事にご利益があるとされ、崇められています。

このあたりには、1617年頃に遊女町が造られ、その
氏神様として信仰を集めていました。小さな境内ですが、柔らかな木漏れ日が差し込み、神聖さを感じる神社です。
④ 人形町「花」で親子丼を堪能
末廣神社の付近で美味しそうなお店を発見しました。「
人形町 花」です。惹かれたのは、親子丼!食べ歩きもいいなと考えていましたが、美味しそうなメニューを見つけてしまったからには、入らないわけにはいきません。11時過ぎでしたが、人形町は12時前からどこのお店も混雑しはじめるため、早めの昼食をとることに。

注文したのは「鳥玉手箱(¥1,200)」です。もも肉、胸肉、せせり肉の3部位が入っており、濃厚そうな丹波の卵黄がぷっくりと乗っています。お米は、白米か特製の出汁と牛蒡で炊いた茶飯から選びます。ひつまぶしのように柚子胡椒、大葉、擦り胡麻の薬味で、味を変えながらいただきます。

最後には、鳥出し汁をかけて、お茶漬けで〆ても。ぷりっとした鶏肉とトロトロの濃厚卵が茶飯と絡まり、とっても美味しかったです。食べ歩きをするつもりで「ご飯少な目」オーダーしましたが、とっても満たされました。さて、食べ歩きはできるのでしょうか?
⑤ 笠間稲荷神社〔寿老神〕

お昼を食べた後は、
笠間稲荷神社に。1859年に藩主
牧野貞直公が、茨城県・笠間稲荷神社から
御分霊を江戸下屋敷に
奉斎したのがはじまりです。
寿老神は長寿の神にしてお導きの神・幸運の神として人々の運命を開拓してくださる福徳長寿の守護神です。
日本橋七福会「日本橋七福神めぐり」より引用
東京洋菓子倶楽部のモンブランで休憩
浜町駅方面に少し足を延ばすと、「
東京洋菓子倶楽部(とうきょうようがしくらぶ)」があります。こちらのお店は、洋菓子を販売しており、生菓子、焼き菓子、チョコレートなど魅力的なラインナップが揃います。

こちらのお店で有名なのは、モンブラン(¥450)。ロールケーキの上に山型に絞られたクリームは、バニラビーンズをきかせたカスタードクリームと生クリームを併せたもの。そのクリームをしっとりとした栗ペーストが覆います。

フォークがすっと入り、舌触りもなめらかな栗ペーストとクリームがとろけあって極上の幸せ。イートインで、ホットコーヒーと共に秋の味覚をゆっくりと堪能してください。
⑥ 弁慶の勧進帳

浜町緑道中腹にある弁慶像。歌舞伎発祥の地ということで、人気演目だった「弁慶の勧進帳」の像を設置したそうです。
⑦ 紙のプロダクト、PAPIER TIGRE

浜町緑道を突き抜け、2つ目の交差点を左に入り進んだところにあるのが「
PAPIER TIGRE(パピエ ティグル)」。店内には、色とりどりの個性的なペーパーアイテムが並びます。ボールペンやクリップボード、扇などもあり、店内を見ているだけでも楽しい気持ちになります。
主に紙を用いたプロダクトやステーショナリーのデザイン、制作、販売を行うブランド。2011年に活動を始め、デスクまわり、家の中、文章をやりとりするシーンなどで活躍する、楽しいアイテムを作り販売しています。
PAPIER TIGREのHPより引用

お店にはティーサロンが併設されており、お煎茶や抹茶ラテ、ほうじ茶ラテなどがいただけます。日本橋浜町とその周辺で人気の和菓子もメニューにあるので、休憩におすすめです。ドリンクはテイクアウトメニューもあるので、ドリンク片手にお散歩しても楽しいですね。
⑧ 水天宮/宝生弁財天〔弁財天〕

安産・子授のお宮として有名な
水天宮は、平日にもかかわらず、多くの妊婦さんやご家族で賑わっていました。1818年、当時の藩主が久留米城下に鎮座していた水天宮の御分霊を、藩邸内に祀ったことからはじまりました。水天宮境内にあるのが、弁財天を祀る宝生弁財天です。芸事をはじめ、学業や金運のご利益があると信仰されています。
⑨ 松島神社〔大国神〕

水天宮からほど近くのビルに佇むのが、
松島神社です。松島神社には、14の御祭神が祀られていて、そのひとつが
大国主神です。大国主神は、国造りの神、農業・商業の神、医療の神、人との縁を結ぶ神として信仰を集めていて、「大国」が「ダイコク」とも読めることから同じ読みの大黒天と習合し、人々から崇められています。
⑩ 重盛永信堂の人形焼き

水天宮前交差点で、ひときわ目立つお店が「
重盛永信堂(しげもりえいしんどう)」。中にこしあんが入った人形焼きと、こしあんが入ったつぼ焼きをいただきました。薄く焼かれたカステラ生地の中に、餡がぎっしりつまっています。べっこう飴のような、コクのある甘みが特徴に感じました。
⑪ 茶ノ木神社〔布袋尊〕
茶ノ木神社は、
倉稲魂大神を御祭神として祀るとともに、日本橋七福神のひとつとして布袋尊を祀っています。倉稲魂大神は農耕・五穀豊穣の神様、
布袋尊は笑門来福・夫婦円満・子宝の神様として、信仰を集めているそうです。
SUNNY COFFEE で足休め

人形町には、ゆったりとくつろげるカフェも点在しています。オシャレな空間で休憩できるのも、お散歩には嬉しいですね。小網神社近くにあるコーヒーショップが「
SUNNY COFFEE(サニーコーヒー)」。ランチやスイーツメニューが美味しそうでした。
⑫ 小網神社〔福禄寿〕

日本橋七福神で最後に訪れ、賑わいを見せていたのが
小網神社です。銭洗弁天があり、お金を清めることもできました。洗ったお金は、お財布に入れておくと種銭となりお金を呼び込んでくれるそうです。
健康長寿の福禄寿と財運向上・学芸成就の弁財天は、神社と同じ境内地に合った万福寿寺におまつりされていました。~中略~ 社殿(昭和4年建立)が戦災を免れたり、同神社の御守を受け戦地に赴いた兵士全員が無事帰還したことなどから、近年「強運厄除の神」として信仰を集めています
日本橋七福会「日本橋七福神めぐり」より引用
⑬ オーストリア陶器、GMUNDNER KERAMIC

小網神社から日本橋小学校の裏手に回ると、大きなティーカップが目を引くお店を発見しました。「
GMUNDNER KERAMIC(グムンドナーケラミック)」というオーストリアから来た陶器のお店です。
グムンドナー・ケラミックはヨーロッパ・オーストリアの由緒ある陶業地グムンデンに位置するオーストリアの500年の歴史持つグムンデン焼きの中で生まれ、今ではオーストリア最大の陶器メーカーです。
GMUNDNER KERAMIC のHPより引用

“グリュンゲフラムト”という緑色が伝統ある色。柄はすべて手書きで、可愛いトナカイの柄もありました。色鮮やかで温かみのある食器が、パーティーを飾ってくれそうです。大きさや形、柄などが異なる400~500点が揃うショップ。パーティーシーズンを迎える今、頼れるお店です。
⑭ 地球儀専門店、GLOBE SHOP TOKYO

グムンデンのお店からほど近く、「地球儀」という看板が目を引く専門店を発見しました。学習用からインテリア用まで、様々な地球儀が並びます。驚いたのは、タッチペンで地球儀を触れると、人口や通貨などの特徴を教えてくれる地球儀。子供だけでなく、大人も勉強になりそうな地球儀でした。
⑮ 人形町からくり櫓

人形町のシンボルと言っても過言ではないのが「人形町からくり櫓(やぐら)」。水天宮側に「江戸落語からくり櫓」、人形町交差点側に「町火消しからくり櫓」があります。毎日11時~19時の1時間おきに、約2~3分のからくりを見ることができます。歴史ある人形町の街が生んだ粋な演出ですね。
⑯ ほうじ茶専門店、森乃園で甘味をいただく

軍鶏鍋で有名な「玉ひで」のある交差点から、北東に伸びる道が「甘酒横丁」です。交差点入ってすぐの位置に、大正3年創業のほうじ茶専門店「
森乃園(もりのえん)」があります。1階ではほうじ茶ソフトの購入ができ、ベンチも用意されています。2階が甘味処となっており、人気商品のほうじ茶パフェやほうじ茶ぜんざいを味わうことができます。

スタッフは満腹状態が続くものの、ほうじ茶わらびもち(お茶付き¥980)をいただくことに。ひんやりしたわらびもちにほうじ茶の甘みと苦みがほどよく感じられ、身体が休まる一品です。別注のほうじ茶ラテ(¥650)は黒蜜の甘さが効いた飲みやすいラテでした。次回はほうじ茶パフェを食べたいところです。
甘酒横丁をぶらり散策

甘酒横丁には、有名な鯛焼き屋さん「柳屋」もあります。その創業は大正5年!東京の鯛焼き御三家の一つです。平日の夕方でしたが行列ができており、その人気ぶりをうかがえます。

いい香りが漂うお店は「人形町今半」のお総菜屋さん。コロッケ、メンチカツ、アジフライだけでなく、季節限定と思わしき、肉まんや豚まんがありました。近くには魚の味噌漬け専門店もあります。時刻は15時過ぎ、そろそろ夕飯を購入して帰りましょうか。

こうして約4時間半!のお散歩が終了しました。すき焼き、親子丼、蕎麦など美味しそうな飲食店が並び、魅力的な食べ歩きグルメも多く、1日では人形町を食べつくせませんでした。2回以上来て、ようやく楽しみ方をマスターできそうです。

人形町は、ビジネス街に老舗や神社が存在し、ビジネスマンが昼休憩中に参拝している姿も印象的でした。歴史と現代が入り混じる街に、お散歩を通じ「共栄」という言葉が浮かびました。神社巡り、満腹旅、あなたはどんな過ごし方をしますか?充実のお散歩をお楽しみください。
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